ビジネスで書類や商品を受け取った際、どのような受領連絡メールを送るべきか迷うことはありませんか?「受け取りました」だけでは簡素すぎるし、かといって何を書けばよいのかわからない。
受領連絡メールは、相手の不安を解消し、信頼関係を構築するための重要なビジネスコミュニケーションです。適切な受領連絡により、取引先との良好な関係を維持し、今後のビジネスチャンスにもつながります。
この記事では、コピペですぐに使える受領連絡メールのテンプレート集と、電子帳簿保存法・インボイス制度に対応した実務運用方法を解説します。件名20選・本文16例を用意しているので、あらゆるシーンに対応できるでしょう。
受領連絡メールの3つの基本原則
受領連絡メールは、相手の不安を解消し、スムーズな取引を実現するための重要なコミュニケーションツールです。効果的な受領連絡には、以下の3つの原則があります。
受領連絡メールの件名テンプレート20選
件名は「用件・対象・期日や次の流れ」を明記し、開封前に内容を判断できるよう工夫します。以下のテンプレートを参考に、実際の状況に合わせて調整してください。
用途 | 件名テンプレート | 使用場面 |
---|---|---|
基本の受領連絡 | 【受領のご連絡】[資料名・案件名]([版・日付]) | 一般的な書類受領時 |
見積書受領 | 【見積書受領】[No.◯◯]確認予定:[◯/◯] | 見積書の受領確認 |
請求書受領 | 【請求書受領】[◯月分]支払予定:[◯/◯] | 請求書の受領・支払予定連絡 |
契約書受領 | 【契約書受領】原本確認後返送予定[◯/◯] | 契約書類の受領確認 |
商品・サンプル | 【商品受領】[伝票No.◯◯]外装確認済み | 物理的な商品の受領 |
応募書類 | 【応募書類受領】[職種名]選考スケジュールご案内 | 採用関連書類の受領 |
申請書類 | 【申請書受領】受付番号[◯◯◯◯] | 各種申請の受付確認 |
提案依頼書 | 【RFP受領】質問期限:[◯/◯]提案予定:[◯/◯] | RFP・入札資料の受領 |
電子データ | 【データ受領】クラウド共有確認済み(期限:[◯/◯]) | クラウド共有データの受領 |
検収書 | 【検収完了】[案件名]請求書発行可能 | 検収完了の通知 |
国際対応 | 【Receipt confirmed】[Document name]/ 受領確認済み | 海外取引先との連絡 |
返送予定あり | 【原本受領】押印後返送予定[◯/◯] | 署名・押印が必要な書類 |
評価・テスト | 【サンプル受領】評価開始・結果報告予定[◯/◯] | 試作品・サンプルの受領 |
自動返信 | 【自動返信】書類受領のお知らせ(送信専用) | システム自動応答 |
誤送信確認 | 【宛先確認】受領済み・開封前につき確認要 | 誤送信の可能性がある場合 |
一部未着 | 【一部未着】不足:[◯◯]について確認要 | 送付物の一部に不備がある場合 |
社内報告 | 【社内共有】[案件名]受領報告(返信不要) | 社内への一斉報告 |
会議調整 | 【資料受領】打合せ日程調整のご提案 | 受領後の会議調整が必要な場合 |
差し替え対応 | 【差し替え版受領】旧版破棄・最新版で進行 | 資料の差し替えがあった場合 |
最終確認 | 【受領完了】本件これにて完了 | 一連のやり取りの終了時 |
受領連絡メールの本文テンプレート16選
本文は「挨拶・受領内容・次の流れ・配慮の言葉」の流れで構成します。相手との関係性と状況に応じて、適切なテンプレートを選択してください。
社外向けテンプレート
1. 基本パターン(資料・書類一般)
[会社名][部署名] [ご担当者名]様 いつもお世話になっております。 [自社名]の[氏名]です。 下記の資料を確かに受領いたしました。 ■ 対象:[資料名・版数] ■ 受領日時:[◯/◯(◯)◯:◯◯] ■ 次の流れ:[◯/◯]までに内容確認いたします 内容に相違がございましたら、 お手数ですがご連絡をお願いいたします。 引き続きよろしくお願いいたします。 [署名]
2. 見積書受領(検討期間を明示)
[会社名] [ご担当者名]様 いつもお世話になっております。 [自社名]の[氏名]です。 見積書(No.[◯◯])を拝受いたしました。 ■ 見積番号:[◯◯] ■ 金額:[¥◯◯○,○○○(税込)] ■ 検討期限:[◯/◯]までにご回答いたします 詳細を確認のうえ、期限内にご連絡いたします。 ご丁寧な資料をありがとうございました。 今後ともよろしくお願いいたします。 [署名]
3. 請求書受領(支払予定を明示)
[会社名] [ご担当者名]様 いつもお世話になっております。 [自社名]の[氏名]です。 [◯月分請求書]を受領いたしました。 ■ 請求書番号:[◯◯] ■ 請求金額:[¥◯◯○,○○○] ■ 支払予定日:[◯/◯(◯)] 適格請求書の要件を満たした形式で保管し、 予定日にお支払いいたします。 内容に差異がございましたらご指摘ください。 引き続きよろしくお願いいたします。 [署名]
4. 契約書受領(返送手続きあり)
[会社名] [ご担当者名]様 いつもお世話になっております。 [自社名]の[氏名]です。 契約書の原本を拝受いたしました。 ■ 契約件名:[◯◯に関する業務委託契約] ■ 返送予定:[◯/◯(◯)]までに押印済み原本を返送 ■ 控えPDF:先行してお送りいたします 内容を確認後、速やかに手続きを進めさせていただきます。 よろしくお願いいたします。 [署名]
5. 商品・荷物受領(外観確認済み)
[会社名] [ご担当者名]様 いつもお世話になっております。 [自社名]の[氏名]です。 商品(伝票No.[◯◯])を受領いたしました。 ■ 受領日時:[◯/◯(◯)◯:◯◯] ■ 外装状態:問題なし ■ 数量:[◯点](明細通り) 内容物の詳細確認を行い、不備があれば 改めてご連絡いたします。 迅速な発送をありがとうございました。 [署名]
6. 英語併記版(国際取引)
Subject: Document Receipt Confirmation / 書類受領のご連絡 Dear [Name], Thank you for your continuous support. いつもお世話になっております。 We have received the following document: 下記の書類を受領いたしました: ■ Document: [Document name] ■ Received: [MM/DD/YYYY HH:MM] ■ Next step: Review by [MM/DD] If you have any questions, please contact us. ご質問がございましたらお知らせください。 Best regards, よろしくお願いいたします。 [Name/氏名]
社内向けテンプレート
7. 社内向け基本パターン
お疲れさまです。[氏名]です。 下記の資料を受領いたしました。 ■ 案件名:[◯◯プロジェクト関連資料] ■ 送付元:[部署名・氏名] ■ 確認予定:[◯/◯]までに内容確認 確認後、必要に応じてご連絡いたします。 よろしくお願いいたします。 [署名]
8. 上司向け(丁寧語)
[部長・課長]様 お疲れさまです。[氏名]です。 [案件名]の資料を拝受いたしました。 ■ 資料内容:[◯◯について] ■ 確認状況:[◯/◯]までに詳細確認予定 ■ 報告予定:確認完了後、改めてご報告いたします ご査収のほど、よろしくお願いいたします。 [署名]
9. 一斉報告(Bcc使用前提)
お疲れさまです。[氏名]です。 Bccにて一斉送信で失礼いたします。 [案件名]の受領報告です。 ■ 受領内容:[◯◯資料一式] ■ 送付元:[会社名・担当者名] ■ 共有先:[部署名]メンバー各位 本メールは報告のみです。 返信は不要です。 よろしくお願いいたします。 [署名]
10. 誤送信の可能性がある場合
[会社名] [ご担当者名]様 いつもお世話になっております。 [自社名]の[氏名]です。 本日、貴社よりメールを受領いたしましたが、 当方宛ではない可能性があります。 ■ 受領時刻:[◯:◯◯] ■ 添付ファイル:未開封のまま保管中 ■ 対応:宛先をご確認いただけますでしょうか お心当たりがない場合は、 こちらで適切に処理いたします。 よろしくお願いいたします。 [署名]
11. 一部未着・不備がある場合
[会社名] [ご担当者名]様 いつもお世話になっております。 [自社名]の[氏名]です。 資料を受領いたしましたが、 一部未着の項目がございます。 ■ 受領済み:[◯◯、◯◯] ■ 未着:[◯◯] ■ 確認要:送付状況をお教えください お手数をおかけいたしますが、 ご確認をお願いいたします。 よろしくお願いいたします。 [署名]
12. データ受領(クラウド共有)
[会社名] [ご担当者名]様 いつもお世話になっております。 [自社名]の[氏名]です。 共有いただきましたデータを確認いたしました。 ■ 共有方法:[クラウドサービス名] ■ データ内容:[◯◯関連ファイル一式] ■ アクセス期限:[◯/◯]まで ■ ダウンロード:完了済み データは適切に保管いたします。 ありがとうございました。 よろしくお願いいたします。 [署名]
13. 検収完了通知
[会社名] [ご担当者名]様 いつもお世話になっております。 [自社名]の[氏名]です。 [案件名]の検収書を受領いたしました。 ■ 検収内容:[◯◯システム開発] ■ 検収日:[◯/◯] ■ 次の流れ:請求書発行のご手配をお願いいたします これをもって検収完了となります。 品質の高い成果物をありがとうございました。 請求書をお待ちしております。 [署名]
14. 差し替え版受領
[会社名] [ご担当者名]様 いつもお世話になっております。 [自社名]の[氏名]です。 差し替え版の資料を受領いたしました。 ■ 新版:[Ver.2.1](本日受領) ■ 旧版:[Ver.2.0](破棄いたします) ■ 確認事項:変更点を中心に確認いたします 今後は最新版で進行いたします。 迅速な対応をありがとうございました。 よろしくお願いいたします。 [署名]
15. 自動返信システム
件名:【自動返信】書類受領のお知らせ 平素よりお世話になっております。 書類を受領いたしました。 担当者が確認後、改めてご連絡いたします。 ■ 受付日時:[◯/◯ ◯:◯◯] ■ 対応開始:[営業日○日以内] ■ 本メール:送信専用(返信不可) お急ぎの場合は下記までお問い合わせください。 電話:[000-0000-0000] メール:[contact@company.com] [会社名]
16. 最終完了通知
[会社名] [ご担当者名]様 いつもお世話になっております。 [自社名]の[氏名]です。 [案件名]に関する全ての書類を受領いたしました。 ■ 受領完了:[◯/◯] ■ 保管状況:適切に管理いたします ■ 本件:これにて完了とさせていただきます 長期間にわたりお世話になりました。 今後ともよろしくお願いいたします。 [署名]
よくある失敗例と改善方法
受領連絡メールでよく見られる問題点を理解し、適切な対応方法を身につけることで、プロフェッショナルなコミュニケーションを実現できます。
よくある失敗例 | 改善方法 | 改善効果 |
---|---|---|
「受け取りました」だけの簡素な連絡 | 受領内容・日時・次の流れ・連絡先を明記 | 相手の不安解消と追加確認の削減 |
件名が曖昧で内容が分からない | 「用件+対象+期日」を件名に含める | 開封前の優先度判断が可能 |
目上の方に「返信不要」と直接的に記載 | 「ご返信には及びません」など丁寧な表現 | 相手への配慮を示し関係性を保持 |
To・Ccの使い分けが不適切 | To=主宛先、Cc=共有、一斉送信はBcc | 個人情報保護と効率的な情報共有 |
電子取引データの保存義務を軽視 | 電子帳簿保存法に準拠した保存体制構築 | 法的コンプライアンスの確保 |
インボイス要件への理解不足 | 適格請求書の記載事項は発行者責任と認識 | 税務処理の適正化 |
実務で注意すべきポイント
宛先設定とセキュリティ
- To:メインの宛先(返信や対応を期待する相手)
- Cc:情報共有の相手(基本的に返信不要)
- Bcc:一斉送信時に必須(他の受信者にアドレスが見えない)
一斉送信でToやCcを使用すると、個人情報漏えいの原因となるため注意が必要です。
電子取引データの適切な保存
メールで受領した請求書・見積書・契約書などは、以下の要件を満たして保存する必要があります:
- 真実性の確保:タイムスタンプ付与または事務処理規程の策定
- 可視性の確保:検索機能(取引年月日・取引先・取引金額)の提供
- 電子データでの保存:紙への出力保存は原則認められません
インボイス制度対応
- 記載事項の確認:登録番号・税率別消費税額などの記載は発行者側の責任
- 保存期間:課税期間末日の翌日から2月経過後7年間
- 電子取引の場合:電子帳簿保存法に準拠した電子保存が必要
よくある質問
Q1. 受領連絡はどのタイミングで送るべきですか?
A. 書類や商品を受け取ったら24時間以内、できれば即日中に送ることが理想的です。相手の「届いたかな?」という不安を早期に解消することで、信頼関係を構築できます。すぐに詳細確認ができない場合でも、まず受領した旨を連絡し、確認完了予定日を明示しましょう。
Q2. 電子帳簿保存法で受領連絡後の保存義務はありますか?
A. メール添付の請求書・見積書などの電子取引データは、電子データでの保存が義務化されています。受領連絡を送った後は、真実性・可視性の要件を満たした方法で保存する必要があります。単にメールボックスに残すだけでは不十分な場合があるため、専用システムの導入を検討しましょう。
Q3. インボイス制度で受領側が注意すべき点は?
A. 適格請求書の記載事項(登録番号・税率別消費税額など)は発行者側の責任です。受領側は、適格請求書の要件を満たしているかを確認し、7年間の保存義務を果たすことが重要です。電子データで受領した場合は、電子帳簿保存法に準拠した保存が必要です。
Q4. 目上の方への受領連絡で注意すべき点は?
A. 「拝受いたしました」「ご査収ください」など、より丁寧な敬語表現を使用しましょう。また、「返信不要」と直接的に書くのではなく、「ご返信には及びません」「お気遣いなく」といった配慮ある表現を選ぶことで、相手への敬意を示せます。
Q5. 一斉送信で受領報告をする場合の注意点は?
A. 必ずBccを使用し、本文冒頭に「Bccにて一斉送信で失礼いたします」と明記しましょう。ToやCcでの一斉送信は、全受信者のメールアドレスが他の受信者に見えてしまい、個人情報漏えいの原因となります。また、返信不要である旨も明確に記載してください。
Q6. 商品の外装に問題があった場合の連絡方法は?
A. まず受領の事実を連絡し、問題の詳細を客観的に記載しましょう。「外装に軽微な損傷を確認しましたが、中身に影響はございません」など、具体的な状況を伝えます。写真を添付する場合は、ファイルサイズに注意し、相手に負担をかけないよう配慮してください。
Q7. 受領連絡に必要最低限含めるべき情報は?
A. 「何を・いつ・どの版数・次の流れ・連絡先」の5要素は必須です。これらを一画面で確認できるよう簡潔にまとめることで、相手が追加の確認をする手間を省けます。特に次のアクションと期日を明示することで、スムーズな業務進行が可能になります。
Q8. 誤送信の可能性がある場合の対応方法は?
A. 添付ファイルを開封せず、丁寧に宛先確認を依頼しましょう。「当方宛ではない可能性がございます。宛先をご確認いただけますでしょうか」と伝え、開封していない旨も併せて連絡します。相手の面子を潰さない配慮ある表現を心がけてください。
受領連絡メールの送信前チェックリスト
□ 件名に用件・対象・期日が明記されているか
□ 受領内容(何を・いつ・どの版)が正確に記載されているか
□ 次のアクションと期日が明示されているか
□ 相手との関係性に応じた適切な敬語を使用しているか
□ To・Cc・Bccの宛先設定が適切か
□ 添付ファイルの版数・ファイル名が正しいか
□ 誤字脱字がないか
□ 送信先アドレスに間違いがないか
□ 署名が適切に設定されているか
□ 電子取引データの保存準備ができているか
まとめ
受領連絡メールは、単なる事務的な連絡ではなく、相手への配慮と信頼関係構築のための重要なコミュニケーションツールです。適切なテンプレートを活用し、法的要件を満たした運用を行うことで、プロフェッショナルな取引環境を実現できます。
- 迅速な対応:24時間以内の連絡で相手の不安を解消
- 必要情報の明示:「何を・いつ・どの版・次の流れ・連絡先」を一画面で
- 適切な敬語表現:相手との関係性に応じた丁寧な言葉遣い
- 法的要件への対応:電子帳簿保存法・インボイス制度の遵守
- セキュリティへの配慮:適切な宛先設定と個人情報保護
これらのポイントを意識することで、受領連絡メールが単なる業務連絡から、相手との信頼関係を深める貴重な機会に変わります。テンプレートを参考にしながら、自社の業務スタイルに合わせてカスタマイズし、効率的で心のこもったコミュニケーションを実現してください。
参考文献・引用情報