請求書再送メールの5つの基本原則
効果的な請求書再送メールには、以下の5つの原則があります。これらを守ることで、相手に負担をかけずに必要な情報を伝えられます。
- 件名で用件と対象を明確化
「【再送】請求書送付のお願い—4月分(案件名)」のように、再送である旨と対象を一目で分かるように記載します。
- 本文は必要情報を体系的に構成
お詫び→再送理由→請求情報→添付/リンク→受領確認→お礼の順で整理し、相手が必要な情報を素早く把握できるようにします。
- 元メールの事実を引用
前回の送信日時と件名を記載することで、相手が元メールを探しやすくし、行き違いを防げます。
- 添付の到達性を考慮
PDFサイズの目安や、届かない場合のクラウドリンクなど、確実に受け取ってもらう手段を用意します。
- 適切なTo/Ccの使い分け
対応を求める相手をTo、情報共有のみの相手をCcにし、Bccの乱用は避けて透明性を保ちます。
請求書再送メールの件名テンプレート20選
そのまま使える件名テンプレートを20パターンご紹介します。【 】内を実際の情報に置き換えてください。
場面 | 件名テンプレート | 適用タイミング |
---|---|---|
基本 | 【再送】請求書送付のお願い—【4月分/案件名】 | 最も汎用性の高い基本形 |
差替再送 | 【差替再送】請求書(宛名訂正済)—【No.1234】 | 訂正版の送付時 |
期限明記 | 【再送】請求書のご確認—受領のお願い(【8/20 17:00】まで) | 受領期限がある場合 |
柔らかい表現 | 念のための再送:請求書送付の件(行き違いご放念ください) | 圧迫感を避けたい場合 |
部門宛 | 【再送】請求書のご確認—経理部門各位 | 特定部門への送付時 |
内訳訂正 | 【再送】請求書の内訳訂正について(差替版添付) | 計算ミス等の訂正時 |
容量配慮 | 【再送/到達確認】請求書PDF(2MB以内) | 添付容量が心配な場合 |
リンク送付 | 【再送】リンクで請求書送付(有効:【8/31】) | クラウドリンクでの送付時 |
受領確認 | 【再送】請求書受領の可否ご確認(返信一言で可) | 受領確認を重視する場合 |
検収済 | 【再送】検収済:請求書の送付依頼 | 検収完了後の請求時 |
月次請求 | 【再送】月次固定費の請求書—【8月分】 | 定期的な月次請求時 |
部分請求 | 【再送】部分請求(第1期分3件) | 分割払いの一部請求時 |
支払日指定 | 【再送】支払サイクル都合の受領希望:【8/20】 | 支払日程に制約がある場合 |
一連書類 | 【再送】見積→注文→請求の一連書類(まとめ) | 関連書類をまとめて送付時 |
英語併記 | 【再送】Re-sending invoice for 【Project/Month】 | 外国人取引先への対応時 |
送付先変更 | 【再送】請求書の送付先変更について(差替案内) | 送付先の変更があった場合 |
口座確認 | 【再送】口座情報最終確認のお願い | 振込先の確認が必要な場合 |
最終連絡 | 【最終のご連絡】請求書受領の可否につきまして | 複数回送付後の最終確認 |
配慮重視 | 【再送】(行き違いでしたらご放念ください) | 特に丁寧な対応が必要な場合 |
社内向け | 【社内】請求書再送の依頼(【取引先名】宛) | 社内での再送依頼時 |
ビジネス心理学では、「面子を潰さない」コミュニケーションが関係維持の鍵とされています。「念のため」「行き違いでしたらご放念ください」といった表現は、相手に「見落とし」の責任を感じさせず、自然な協力を引き出す効果があります。また、「受領済みの一言で結構です」という表現は、返信の心理的ハードルを下げ、レスポンス率を向上させます。
請求書再送メールの本文テンプレート14選
実際のメール本文で使える、状況別のテンプレートをご紹介します。コピーして【 】内を置き換えるだけで使用できます。
1. 基本形(未着の可能性に配慮)
【会社名】 【部署名】 【氏名】 様 いつもお世話になっております。 【自社名】の【氏名】です。 先日お送りいたしました請求書につきまして、 念のため再送させていただきます。 ■ 対象:【案件名/期間】 ■ 請求書No.:【1234】 ■ 金額:【¥123,456】 ■ 送付方法:PDF添付(2MB以内) ■ 前回送信:【8/15(木)10:12】件名「【 】」 お手数をおかけいたしますが、 受領の可否につきまして、一言ご連絡いただけますでしょうか。 なお、行き違いで既にご確認いただいている場合は、 本メールはご放念ください。 引き続きどうぞよろしくお願いいたします。 ―――――――――――――――――――― 【署名】 ――――――――――――――――――――
2. 添付容量制限の可能性
【会社名】 【部署名】 【氏名】 様 いつもお世話になっております。 【自社名】の【氏名】です。 先日お送りいたしました請求書について、 添付容量の制限により届いていない可能性があるため、 リンクにて再送いたします。 ■ 対象:【案件名/期間】 ■ 請求書No.:【1234】 ■ 金額:【¥123,456】 ■ ダウンロード:【URL】(有効期限:【8/31】) ■ 補足:必要に応じて分割送付も承ります 恐れ入りますが、受領の確認だけご返信いただけますでしょうか。 ご不便をおかけして申し訳ございませんが、 よろしくお願いいたします。 ―――――――――――――――――――― 【署名】 ――――――――――――――――――――
3. 宛名訂正の差替再送
【会社名】 【部署名】 【氏名】 様 いつもお世話になっております。 【自社名】の【氏名】です。 先日お送りいたしました請求書につきまして、 宛名に誤りがございましたため、 訂正版を再送いたします。 ■ 対象:【案件名/期間】 ■ 請求書No.:【1234】 ■ 金額:【¥123,456】 ■ 訂正内容:宛名(正:【正式名称】/誤:【旧名称】) ■ 適格請求書要件:登録番号・税率別金額・税額記載済み 大変失礼いたしました。 差替版にてご処理をお願いいたします。 今後このようなことがないよう気をつけてまいります。 何卒よろしくお願いいたします。 ―――――――――――――――――――― 【署名】 ――――――――――――――――――――
4. 金額訂正の差替再送
【会社名】 【部署名】 【氏名】 様 いつもお世話になっております。 【自社名】の【氏名】です。 先日お送りいたしました請求書について、 金額に誤りがございましたため、 差替版を再送いたします。 ■ 対象:【案件名/期間】 ■ 請求書No.:【1234】(差替版) ■ 正しい金額:【¥123,456】 ■ 誤った金額:【¥98,765】 ■ 訂正理由:【消費税計算の誤り】 この度は大変失礼いたしました。 差替版をご査収くださいますよう、お願いいたします。 再発防止に努めてまいります。 今後ともどうぞよろしくお願いいたします。 ―――――――――――――――――――― 【署名】 ――――――――――――――――――――
5. 期日前の穏やかな再送(経理部門向け)
【会社名】 経理部門 ご担当者様 いつもお世話になっております。 【自社名】の【氏名】です。 先日お送りいたしました請求書につきまして、 支払サイクルのご都合上、【8/20(火)】までに ご確認いただけますと幸いです。 ■ 対象:【案件名/期間】 ■ 請求書No.:【1234】 ■ 金額:【¥123,456】 ■ 支払期日:【8/31】 もしご都合が難しい場合は、 新しい受領予定日をお知らせください。 ご協力のほど、よろしくお願いいたします。 ―――――――――――――――――――― 【署名】 ――――――――――――――――――――
6. 二通目(背景と引用を含む)
【会社名】 【部署名】 【氏名】 様 いつもお世話になっております。 【自社名】の【氏名】です。 度々のご連絡となり恐縮ですが、 社内処理の都合により、再度ご連絡いたします。 —— 前回送信内容 —————————— ・送信日時:【8/15(木)10:12】 ・件名:【請求書送付のお願い—4月分】 ・概要:【4月分請求書/¥123,456/No.1234】 ———————————————————— 【8/21(水)】までに受領の可否について ご一報いただけますと幸いです。 行き違いで既にご対応いただいている場合は、 本メールはご放念ください。 何卒よろしくお願いいたします。 ―――――――――――――――――――― 【署名】 ――――――――――――――――――――
7. 最終確認(クロージング条件明記)
【会社名】 【部署名】 【氏名】 様 いつもお世話になっております。 【自社名】の【氏名】です。 請求書の件につきまして、 これが最終のご連絡となります。 ■ 対象:【案件名/期間】 ■ 請求書No.:【1234】 ■ 金額:【¥123,456】 ■ 最終確認期限:【8/21(水)正午】 期限までにご確認が難しい場合、 今月の計上は翌サイクルに回させていただく 可能性がございます。 ご迷惑をおかけいたしますが、 ご了承いただけますと幸いです。 引き続きどうぞよろしくお願いいたします。 ―――――――――――――――――――― 【署名】 ――――――――――――――――――――
8. 社内向け(担当者への再送依頼)
【部署名】 【氏名】 様 お疲れさまです。 【部署名】の【氏名】です。 【取引先名】宛ての請求書再送を お願いいたします。 ■ 希望受領日:【8/20】 ■ 請求書No.:【1234】 ■ 金額:【¥123,456】 ■ テンプレート:【社内リンク】に下書き済み 送付後、受領の可否をご共有ください。 よろしくお願いいたします。 ―――――――――――――――――――― 【署名】 ――――――――――――――――――――
9. 社内向け(誤送付の是正報告)
【上司名】 様 お疲れさまです。 【部署名】の【氏名】です。 先ほどの請求書誤送付につきまして、 以下のとおり対応いたしました。 ■ 誤送付先:【A社】 ■ 正送付先:【B社】 ■ 対応内容:正先へ差替版送付完了(宛名・金額確認済み) ■ 再発防止:承認フローを一段追加 今後このようなことがないよう、 十分注意いたします。 対応報告は以上です。 ―――――――――――――――――――― 【署名】 ――――――――――――――――――――
10. PDFとデータを分離送付
【会社名】 【部署名】 【氏名】 様 いつもお世話になっております。 【自社名】の【氏名】です。 セキュリティの都合上、 PDFとCSVデータを分けて再送いたします。 ■ PDF請求書:本メール添付(2MB以内) ■ CSVデータ:別メールでパスワード付きZIP ■ パスワード:お電話にて別途お伝えいたします ■ 対象:【案件名/期間】 ご不便をおかけいたしますが、 よろしくお願いいたします。 ―――――――――――――――――――― 【署名】 ――――――――――――――――――――
11. 受領確認のみを求める簡易版
【会社名】 【部署名】 【氏名】 様 いつもお世話になっております。 【自社名】の【氏名】です。 請求書を再送いたしました。 ■ 対象:【案件名/期間】 ■ 請求書No.:【1234】 ■ 金額:【¥123,456】 お手数ですが、「受領済み」の一言のみ ご返信いただけますでしょうか。 よろしくお願いいたします。 ―――――――――――――――――――― 【署名】 ――――――――――――――――――――
12. 月次固定費(定例再送)
【会社名】 【部署名】 【氏名】 様 いつもお世話になっております。 【自社名】の【氏名】です。 毎月の定例請求書について、 見落とし防止のため前月と同様の件名・体裁で 再送いたします。 ■ 対象:【8月分:運用保守費】 ■ 請求書No.:【1234】 ■ 金額:【¥123,456】 ■ 支払期日:【8/31】 定例処理となりますが、 ご査収のほどよろしくお願いいたします。 ―――――――――――――――――――― 【署名】 ――――――――――――――――――――
13. 英語併記パターン
Subject: Re-sending invoice — 【Project/Month】 Dear 【Name】, I'm re-sending the invoice in case the previous email didn't reach you successfully. Details: ■ Invoice No.: 【1234】 ■ Amount: 【¥123,456】 ■ Project: 【Project Name】 Could you kindly confirm receipt when convenient? If attachments don't work, I can share a cloud link with an expiry date. 【日本語】 請求書が未着の可能性があるため、再送いたします。 ■ 請求書No.:【1234】 ■ 金額:【¥123,456】 ■ 案件:【案件名】 受領のご確認をお願いいたします。 添付が届かない場合は、期限付きリンクでも 共有可能です。 Kind regards, 【Name】 ―――――――――――――――――――― 【署名】 ――――――――――――――――――――
14. 受領後の完了確認
【会社名】 【部署名】 【氏名】 様 いつもお世話になっております。 【自社名】の【氏名】です。 請求書受領のご連絡をいただき、 ありがとうございます。 ■ 対象:【案件名/期間】 ■ 請求書No.:【1234】 ■ 金額:【¥123,456】 ■ 支払予定日:【8/31】 迅速なご対応に心より感謝いたします。 引き続きどうぞよろしくお願いいたします。 ―――――――――――――――――――― 【署名】 ――――――――――――――――――――
よくある問題と改善事例
請求書再送メールでよく見られる問題点と、より効果的な改善例をご紹介します。適切な対応により、取引先との関係を良好に保てます。
情報提供の改善事例
改善前 | 改善後 | 改善ポイント |
---|---|---|
請求書を再送します。以上。 | 対象・請求書No.・金額・前回送信事実を一画面に整理 | 必要な情報を包括的に提供 |
添付ファイルをご確認ください。 | PDFサイズ明記・届かない場合のリンク代替案も提示 | 到達性への配慮 |
確認してください。 | 「受領済み」の一言のみで結構ですとハードルを下げる | 相手の負担軽減 |
コミュニケーションの改善事例
改善前 | 改善后 | 改善ポイント |
---|---|---|
【至急】請求書再送 | 【再送】または「念のための再送」で圧迫感を軽減 | 相手への配慮 |
添付が届いていないようなので | 「念のため再送」「容量制限の可能性」で原因を推定 | 相手を責めない表現 |
すぐに確認してください | 「お手数ですが」「ご都合のよいときに」で丁寧に依頼 | 謙虚な姿勢 |
請求書再送メールの運用ルール
請求書再送メールを効果的に運用するための3つのコツをご紹介します。
- 相手の立場に立った情報整理
「この人は今、何を知りたいだろう?」と考えて、対象・請求書番号・金額・前回送信日時を整理します。相手の手間を最小限にすることで、スムーズなやり取りが実現できます。
- 「届かない」を前提とした準備
メール環境は千差万別です。PDFの容量目安を明記し、届かない場合のクラウドリンクを事前に準備しておくと、二度手間を避けられます。「備えあれば憂いなし」の精神です。
- 社内ルールの統一と透明性の確保
To/Ccの使い分けに迷うことはありませんか?「対応してほしい人はTo、知っておいてもらいたい人はCc」という基本ルールを社内で統一しておくと、余計な混乱を避けられます。
・主要メールサービスの添付容量制限:Gmail(25MB)、Outlook(20MB)、Yahoo(25MB)
・PDFの適正サイズ:2-5MB(スマホでも開きやすい容量)
・インボイス制度必須記載:登録番号・税率別金額・消費税額
・個人情報保護:Bcc多用は誤送信リスク増大のため避ける
・再送間隔の目安:初回から2-3営業日(相手の処理時間を考慮)
よくある質問
Q1. 「【再送】」という件名は強い印象を与えませんか?
A. 相手によっては圧迫感を感じる場合があります。「念のための再送」「ご確認のお願い」など、より柔らかい表現を使うことも効果的です。相手との関係性に応じて使い分けましょう。
Q2. どれくらいの間隔で再送すべきですか?
A. 緊急度にもよりますが、初回送付から2〜3営業日後が一般的です。二回目以降は1週間程度の間隔を空け、期限を明記することで相手の理解を得やすくなります。
Q3. 受領確認は何を求めればよいですか?
A. 「受領済み」の一言で十分であることを明記します。詳細な返信を求めると相手の負担が増えるため、簡潔な確認で済むことを伝えましょう。
Q4. 添付ファイルが届かないと言われた場合は?
A. PDFの容量を2〜5MB以内に調整し、期限付きクラウドリンクで代替送付します。主要メールサービスは25MB程度の制限があるため、事前に容量を確認しましょう。
Q5. インボイス制度で注意すべき点はありますか?
A. 適格請求書の必須記載事項(登録番号・税率別金額・税額等)を確認します。差替再送の際は特に、必要項目が満たされていることを一言添えると親切です。
Q6. 経理部門に再送する際のコツはありますか?
A. 請求書番号・金額・対象月を冒頭に明記し、受領希望日を一行で示します。To/Ccは担当者をTo、関係者を最小限Ccにして、処理の流れを明確にしましょう。
Q7. このテンプレートの制約や注意点はありますか?
A. 以下の点にご注意ください。業界や企業文化により適切な表現は異なるため、社内の慣例に合わせた調整が必要です。また、海外取引では文化的背景を考慮し、より直接的な表現が好まれる場合もあります。クラウドリンクの有効期限は確実に管理し、期限切れによる二度手間を避けましょう。
送信前の確認チェックリスト
□ 件名に用件(再送)・対象・補足を明記
□ お詫び→再送理由→請求情報→添付/リンク→受領確認の順序
□ 前回送信の事実(日時・件名)を引用
□ 添付は容量目安内(2-5MB)・期限付きリンクの準備
□ To/Ccの線引き・Bcc乱用回避
□ 数字・敬語・句読点の統一性を確認
□ インボイス要件(該当する場合)の記載確認
□ クラウドリンクの有効期限設定(推奨:1-2週間)
□ 送信タイミング(営業日の営業時間内)の確認
まとめ
請求書の再送メールは、相手への配慮と必要情報の明確化のバランスが重要です。適切な件名設定、体系的な本文構成、到達性への配慮を心がけることで、円滑な支払いサイクルと良好な取引関係を維持できます。
今回ご紹介した20の件名テンプレートと14種類の本文例を状況に応じて活用し、改善事例を参考にメール品質を向上させてください。継続的な実践により、効率的な債権管理と顧客満足度の向上が可能になるでしょう。
請求書の未着や訂正が発生した際は、今回のテンプレートを活用して迅速で丁寧な対応を行ってください。事前に社内でのフローと責任者を明確にしておくことで、より効果的な債権管理が実現できます。