【例文付】検収依頼メールの書き方完全ガイド

ビジネス連絡

検収依頼メールは、納品物の品質・数量・仕様が発注通りかを確認してもらうための重要な連絡です。件名で用件を明確にし、本文は検収対象・方法・期限・不合格時の対応を具体的に記載することで、スムーズな検収プロセスが実現できます。

適切な検収依頼により、納品から支払いまでの流れを滞りなく進め、双方にとって円滑な取引関係を築くことが可能になります。

検収依頼メールの5つの基本原則

効果的な検収依頼メールには、以下の5つの原則があります。これらを守ることで、相手にとって分かりやすく、効率的な検収プロセスが実現できます。

  1. 件名に用件と案件名を明記
    「【検収依頼】」または「【検収のお願い】」で始め、案件名と期限を含めます。受信者が一目で内容と緊急度を判断できるようにしましょう。
  2. 本文は要点を順序立てて構成
    検収対象→検収方法→期限→不合格時の対応→アクション依頼の順で、一画面に収まるよう簡潔にまとめます。
  3. 資料は期限付きリンクで共有
    大容量ファイルは期限付きクラウドリンクを使用し、有効期限を明記します。相手の受信環境への配慮も重要です。
  4. 宛先設定を適切に行う
    検収を行う担当者をTo、情報共有が必要な関係者をCcに設定し、責任の所在を明確にします。
  5. 法的要件との整合性を確保
    下請法が適用される取引では、支払期日は受領日から60日以内に設定する必要があります。検収完了を待たずに支払期日を設定することが重要です。

検収依頼メールの件名テンプレート20選

そのまま使える件名テンプレートを20パターンご紹介します。【 】内を実際の情報に置き換えてください。

場面 件名テンプレート 適用タイミング
基本 【検収依頼】【案件名/納品物】のご確認(期限:【8/20】) 最も汎用性の高い基本形
納品完了 【検収のお願い】納品完了のご報告と手順共有 納品が完了した時の連絡
部分検収 【検収依頼】部分検収のお願い(第1期:3点) 段階的な検収が必要な場合
再検収 【再検収のお願い】修正反映分の合否ご確認 修正後の再確認が必要な場合
立会い 【検収立会い】日程のご提案(所要30分) 現地での立会い確認が必要
検収書 【検収書のご返送】テンプレ添付(PDF/Word) 検収書の作成・返送を依頼
クリエイティブ 【検収依頼】クリエイティブ一式(サムネ/本文/LP) デザインや記事の確認
システム 【検収依頼】システム機能A/B(テストID・手順付き) システム開発の成果物確認
リマインド 【検収リマインド】期日:【8/20(火)17:00】 期限が近づいた時のフォロー
完了通知 【納品完了】検収・ご指摘受領のお願い 納品完了と検収開始の通知
請求連動 【検収・請求連絡】合格後のご請求タイミングについて 検収と請求の関係を説明
サンプル 【検収依頼】量産前サンプル(写真・仕様書同梱) 量産前の試作品確認
据付 【検収依頼】現地据付後(写真・試運転ログあり) 設備設置後の確認
再送 【再送】検収資料リンク(有効:【8/31】) 資料の再送が必要な場合
変更 【変更点あり】差替版の再検収のお願い 修正版の確認依頼
方法確認 【検収方法の確認】承認フロー/承認者のご指定 検収手順の事前確認
期限短縮 【短期】検収期限短縮のお願い(背景あり) 急遽期限を早める必要がある
共同案件 【共同案件】相互検収の手順共有(パートナー各位) 複数社が関わる案件
多言語 【英語版あり】検収依頼(JP/EN併記) 日英両対応が必要な場合
最終 【最終のご連絡】本件検収の可否につきまして 最終的な確認として
件名作成のポイント
用件を先頭に明記し、案件名と期限を含めることで、受信者が優先度と対応時間を判断しやすくなります。

検収依頼メールの本文テンプレート12選

実際のメール本文で使える、状況別のテンプレートをご紹介します。コピーして【 】内を置き換えるだけで使用できます。

1. 基本パターン(初回・一括検収)

【会社名】
【部署名】
【氏名】 様

お世話になっております。【自社名】の【氏名】です。

本日、【納品物(例:Webページ一式 v1.2)】の納品が
完了いたしました。つきましては、下記の要領にて
ご検収をお願いいたします。

■ 検収対象
・【対象A】/【対象B】/【対象C】

■ 検収方法
・【検収書への記名押印/返信メールでの合否連絡/承認ボタン】

■ 期日
・【8/20(火)17:00】まで

■ 不合格時
・ご指摘点を箇条書きでお知らせください。
  修正後、再納品→再検収にて対応いたします。

資料一式(有効:【8/31】):【URL】

ご協力のほど、よろしくお願いいたします。

――――――――――――――――――――
【署名】
――――――――――――――――――――

2. 部分検収(段階合格)

【会社名】
【部署名】
【氏名】 様

お世話になっております。【自社名】の【氏名】です。

第1期分(3点)の部分検収をお願いいたします。
合格後に第2期へ移行いたします。

■ 今回の対象:【A-1/A-2/A-3】
■ 期日:【8/20(火)17:00】
■ 合格基準:仕様書 p.4/UIガイド p.7 に準拠

合格のご連絡をもって、次工程の着手といたします。
ご確認のほど、よろしくお願いいたします。

――――――――――――――――――――
【署名】
――――――――――――――――――――

3. 再検収(修正反映)

【会社名】
【部署名】
【氏名】 様

お世話になっております。【自社名】の【氏名】です。

先日のご指摘(①②③)を反映し、差替版(Rev.B)を
共有いたします。お手数ですが、再検収をお願いいたします。

■ 変更点:p.6金額/p.9図差替/p.12文言修正
■ 期日:【8/21(水)】

迅速な修正対応を心がけました。
ご確認のほど、よろしくお願いいたします。

――――――――――――――――――――
【署名】
――――――――――――――――――――

4. 立会い検収(現地/オンライン)

【会社名】
【部署名】
【氏名】 様

お世話になっております。【自社名】の【氏名】です。

立会いでの検収をご提案いたします(所要30分)。

■ 候補日時
・【8/20(火)10:00】
・【8/21(水)16:00】

■ 実施形式:【現地据付先/オンライン(URL)】
■ 当日連絡先:【TEL】

ご都合の良い日時をお知らせください。
お忙しい中恐縮ですが、よろしくお願いいたします。

――――――――――――――――――――
【署名】
――――――――――――――――――――

5. クリエイティブ検収

【会社名】
【部署名】
【氏名】 様

お世話になっております。【自社名】の【氏名】です。

クリエイティブ一式の検収をお願いいたします。

■ 対象:サムネ3案/本文(最終稿)/LP(PC/SP)
■ 合格基準:キーワード/ブランドガイド準拠/NGワード無し
■ 期日:【8/20(火)】

問題なければ公開日程へ進めさせていただきます。
ご確認のほど、よろしくお願いいたします。

――――――――――――――――――――
【署名】
――――――――――――――――――――

6. IT・システム検収

【会社名】
【部署名】
【氏名】 様

お世話になっております。【自社名】の【氏名】です。

機能A/Bの検収をお願いいたします。

■ ステージング環境
・URL:【URL】
・ID:【user】/PW:【pass】

■ 検証手順:テスト手順書 p.2〜p.5
■ ログ確認:【URL】(有効:【8/31】)
■ 期日:【8/22(木)】

動作確認でご不明点がございましたら
お気軽にお知らせください。

――――――――――――――――――――
【署名】
――――――――――――――――――――

7. 検収書返送依頼

【会社名】
【部署名】
【氏名】 様

お世話になっております。【自社名】の【氏名】です。

検収合格の証として、検収書へのご記名
(またはPDFでのご承認)をお願いいたします。

■ 様式:添付(Word/PDF)
■ 返送先:【メール/アップロード先】
■ 期日:【8/20(火)】

ご対応いただき次第、請求手続きに入らせていただきます。
お忙しい中恐縮ですが、よろしくお願いいたします。

――――――――――――――――――――
【署名】
――――――――――――――――――――

8. 検収リマインド

【会社名】
【部署名】
【氏名】 様

お世話になっております。【自社名】の【氏名】です。

念のためのご連絡です。検収期日は【8/20(火)17:00】と
なっております。

ご都合が難しい場合は、新たな期日をご提案ください。
行き違いでご対応済みでしたら、本メールはご放念ください。

お忙しい中恐縮ですが、ご確認のほど
よろしくお願いいたします。

――――――――――――――――――――
【署名】
――――――――――――――――――――

9. 期限短縮のお願い

【会社名】
【部署名】
【氏名】 様

お世話になっております。【自社名】の【氏名】です。

誠に恐縮ですが、社内締切の前倒しにより、
検収期日を【8/19(月)】へ繰上げできないか
ご相談させていただきたく存じます。

難しい場合は、代替案をご提案ください。

急なお願いで申し訳ございません。
ご検討のほど、よろしくお願いいたします。

――――――――――――――――――――
【署名】
――――――――――――――――――――

10. 据付・現地作業後検収

【会社名】
【部署名】
【氏名】 様

お世話になっております。【自社名】の【氏名】です。

本日据付・試運転が完了いたしました。
検収をお願いいたします。

■ 現場写真:【URL】
■ 試運転ログ:【URL】(有効:【8/31】)
■ 立会い要否:【要/不要】

設置工事は予定通り完了しております。
ご確認のほど、よろしくお願いいたします。

――――――――――――――――――――
【署名】
――――――――――――――――――――

11. 電子検収システム

【会社名】
【部署名】
【氏名】 様

お世話になっております。【自社名】の【氏名】です。

電子ワークフローに検収承認タスクを起票いたしました。

■ 手順:【URL】→「検収承認」→コメント入力→送信
■ 期日:【8/20(火)】

承認完了次第、検収完了通知と請求処理へ進めます。
システムでご不明点がございましたら
お気軽にお知らせください。

――――――――――――――――――――
【署名】
――――――――――――――――――――

12. 検収完了お礼

【会社名】
【部署名】
【氏名】 様

お世話になっております。【自社名】の【氏名】です。

ご検収いただき、誠にありがとうございました。
合格の旨、確かに承りました。

次工程(量産/運用移行)へ進めさせていただきます。
請求書は【8月末】に発行予定です。

今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

――――――――――――――――――――
【署名】
――――――――――――――――――――

よくある問題と改善事例

検収依頼メールでよく見られる問題点と、より効果的な改善例をご紹介します。適切な表現により、スムーズな検収プロセスが実現できます。

用語・表現の改善事例

改善前 改善後 改善ポイント
ご査収ください ご検収のほどお願い申し上げます 検収では品質・数量・仕様の確認が目的
確認してください 検収をお願いいたします(手順・基準・期限を明記) 検収の具体的な方法と基準を説明
検収完了後60日以内にお支払いします 支払期日は受領日から60日以内で設定いたします 下請法では検収の有無を問わず受領日起算

構成・内容の改善事例

改善前 改善后 改善ポイント
検収方法や基準が曖昧 手順・基準・不合格時の処理を本文に明記 相手が迷わずに対応できる情報提供
大容量ファイルを添付 期限付きクラウドリンクと有効期限を明記 受信環境への配慮と確実な配信
期限の設定根拠が不明 契約条項や法的要件に基づく期限設定を説明 期限の合理性と法的整合性の確保

法的配慮の改善事例

改善前 改善后 改善ポイント
検収期間を無制限に設定 契約書の検査期間条項に基づいた期限設定 契約との整合性確保
下請法の要件を無視した期日設定 受領日から60日以内の支払期日設定(検収完了を待たない) 法的要件の遵守
検収書の法的位置づけが不明 検収書の役割(証憑・請求根拠等)を明確化 書類の位置づけと重要性の説明

検収依頼の法的注意点

検収依頼を行う際に知っておくべき法的な要件と注意点をご説明します。特に下請法が適用される取引では、以下の点に注意が必要です。

下請法における支払期日の基本ルール

  1. 支払期日は受領日が起算点
    下請法では、支払期日の起算は「受領日」であり、「検収完了日」ではありません。検収が長引いても、受領日から60日以内(特定建設業者は50日以内)に支払いを完了する必要があります。
  2. 検収の有無は支払義務に影響しない
    検収が完了していない、または不合格であっても、受領日からの支払期日は変わりません。検収を理由とした支払遅延は下請法違反となる可能性があります。
  3. できる限り短い期間での支払いが求められる
    法律上は60日以内ですが、実際にはできる限り短い期間での支払いが推奨されています。30日以内での支払いを目標とすることが望ましいとされています。

検収書の法的位置づけ

検収書は納品物の品質・数量・仕様が合格であることを証明する重要な書類です。経理処理や売上・経費計上の起点となり、場合によっては請求書の代替として使用されることもあります。ただし、適格請求書制度との整合性に注意が必要です。

法的要件のポイント:
・受領日から60日以内の支払期日設定(下請法)
・検収完了を待たない支払義務
・契約書の検査期間条項との整合性
・検収書の適格請求書制度への対応

検収依頼メールの運用ルール

検収依頼メールを効果的に運用するための3つの重要なルールをご紹介します。

  1. 明確な構成と具体的な情報提供
    検収対象・方法・期限・不合格時の対応を一画面で分かるよう構成し、相手が迷わずに対応できる情報を提供します。
  2. 適切な資料共有と期限管理
    大容量ファイルは期限付きクラウドリンクを使用し、有効期限を明記します。相手の受信環境への配慮も重要です。
  3. 法的要件との整合性確保
    下請法や契約条項に基づいた適切な期限設定を行い、検収プロセスが法的要件を満たすよう注意します。

よくある質問と回答

Q1. 「検収」と「査収」はどう使い分けるべきですか?

A. 検収は仕様・数量・品質の検査を伴う受領、査収は主に内容確認の丁寧語です。検査を要する納品物の場合は「検収」を使用します。検収では品質基準との照合や動作確認が含まれます。

Q2. 検収書は必ず必要ですか?

A. 契約や運用によって異なります。検収書が請求書の代替になる場合もありますが、適格請求書制度との整合性に注意が必要です。重要な取引では検収書の作成をお勧めします。

Q3. 検収期日はどのように決めるべきですか?

A. 契約の検査期間条項と社内運用に合わせて設定します。下請法が適用される場合、支払期日は受領日から60日以内に設定する必要があります。検収完了を待たずに支払期日を決めることが重要です。

Q4. 不合格の指摘を受けた場合の対応は?

A. 再納品→再検収の段取りを明記します。修正箇所・基準・再検収の期日を提示し、迅速な対応を心がけましょう。修正内容は具体的に説明することが重要です。

Q5. 検収が進まない場合の催促方法は?

A. 低圧迫のリマインド+背景説明を行います。「念のため」の確認として、必要性(社内締切等)を一言添え、代替案も提示すると関係性を損ないません。

Q6. 立会い検収はどのような場合に有効ですか?

A. 現地作業や設備設置、システム導入時に有効です。写真・ログ・試運転記録を添えると判断が速く、後日のトラブル防止にもなります。

送信前の確認チェックリスト

90秒でできる送信前チェック:
□ 件名に用件(検収依頼)+案件名+期日を記載
□ 本文に検収対象・方法・期限・不合格時の対応を明記
□ 資料リンクは有効期限付きまたは適切な添付形式
□ 合格基準の根拠(仕様書ページ・テスト手順)を記載
□ To/Ccの設定が適切(責任者と関係者の明確化)
□ 下請法・契約条項に適合した期日設定を確認

まとめ

検収依頼メールは、納品から支払いまでの流れを円滑に進めるための重要なコミュニケーションツールです。明確な検収対象と方法の提示適切な期限設定法的要件への配慮を心がけることで、双方にとって効率的な検収プロセスが実現できます。

今回ご紹介した20の件名テンプレートと12種類の本文例を状況に応じて活用し、改善事例を参考にメール品質を向上させてください。継続的な実践により、信頼関係の構築と業務効率化の両立が可能になるでしょう。

次のアクション:
次回検収依頼を行う際は、今回のテンプレートを活用して相手への配慮と法的要件の遵守を両立させてください。検収プロセスの改善により、取引先との信頼関係強化と業務効率化を実現できます。