見積依頼をもらった瞬間が、いちばん成約に近い状態です。そのため、見積依頼メールへの返信次第で、受注をグッと近づけることにもなります。
とはいえ、「どんな内容を盛り込むべき?」「どんな件名にすればいい?」「いつまでに返信すべき?」といった悩みを持つビジネスパーソンは少なくありません。
実際、見積依頼への迅速で適切な返信により、受注率の向上が期待できるという調査結果もあります。見積依頼は相手が具体的な検討段階に入っている証拠であり、初期対応の質が成約に直結する重要なタイミングです。なお、営業訪問後のお礼メールや商談後のフォローアップとは異なり、見積依頼返信メールでは「具体的な数字と期限」の明示が特に重要になります。
そこで本記事では、見積依頼への返信から受注まで、すぐに使える完成テンプレート6種を用意しました。最短30秒で送れる基本形から、状況別の対応、返信率を上げる工夫までご紹介します。
見積依頼返信メールを成功に導く7つの前提
見積依頼への返信は、相手の購買意欲を維持・向上させるための設計がすべて。「受け取りました」だけでは足りません。スピード・件名・受付確認・次アクション・期日明示・追加質問・信頼感まで、型で抜けをなくしましょう。
- スピード
返信は当日〜翌営業日午前が基本。間に合わない場合も、まずは受領+回答予定日を先出し。 - 件名
御礼+用件一言+期日(例:受領の御礼と受付のご連絡〔回答予定:8/20〕)。依頼メールにRe:でぶら下げるのが無難。 - 本文の骨子
御礼 → 受付の明示 → 次アクション(期日 or 追加質問) → 小さな提案(10–20分)。 - レイアウト
1文短く、短文×空行でブロック化。スマホでも読みやすく。 - 宛先
To=動かす人/CC=共有。宛名直下に「CC:氏名」を明記すると共有漏れ防止。 - ファイル/URL
見積はPDF推奨。重い場合はDLリンク+有効期限。ファイル名は日付・版数を入れる(例:見積書_ABC社_2025-08-14_v1.pdf)。 - 敬語
尊敬(相手)/謙譲(自分)/丁寧を使い分け、二重敬語は避ける。
見積依頼返信メールの基本テンプレート
見積依頼への返信メールの基本は、以下のテンプレをコピーして、[ ]内を自分の情報に置き換えるだけで完成です。最も使用頻度の高い「追加確認あり」の型をベースにしています。
件名:見積依頼の御礼と受付のご連絡(回答予定:[8/20])
[相手会社名] [部署名] [氏名] 様 CC:[関係者名] 様 このたびはお見積をご依頼くださり、誠にありがとうございます。 ご依頼は確かに拝受しました。下記の段取りで進めます。 ・回答予定:[8/20(火)午前] ・担当:[自社/氏名・直通・メール] 迅速化のため、確認を2点のみお願いいたします。 1)数量・納品先の変更有無 2)希望納期(最短/指定日:[ ]) ご多忙のところ恐れ入りますが、ご確認のうえご返信いただけますと幸いです。 不明点がございましたら、遠慮なくお知らせください。 ご協力のほど、よろしくお願いいたします。 ―― [自社名] [部署名] [氏名] 直通:[電話]/Mail:[メール]/Web:[URL]
追加確認を通じて相手の要望を正確に把握し、より精度の高い見積を提供するテンプレート。確認事項は2-3点に絞り、相手の負担を最小限に抑えます。
見積依頼返信メールの件名テンプレート20選
件名は開封率を左右する重要な要素です。相手が一目で内容と緊急度を把握できるよう、具体的で簡潔に作成しましょう。
目的 | 件名テンプレート | 使用場面 |
---|---|---|
基本受領 | 【御礼】見積依頼を拝受いたしました([会社名][氏名]) | シンプルな受領確認 |
期日明示 | 見積依頼の御礼と受付のご連絡(回答予定:[8/20]) | 回答期日を明確化 |
追加確認 | 見積依頼の御礼/確認事項2点(回答短縮のため) | 詳細情報が必要 |
即時回答 | 【御礼】見積書の送付(PDF添付・要目のご確認) | 即座に見積提供 |
仕様確認 | 見積依頼の御礼/仕様確認のお願い(差分一覧あり) | 仕様の明確化が必要 |
概算提示 | 見積依頼の御礼/概算提示(正式版は[8/20]) | 先行して概算を提供 |
内訳説明 | 見積依頼の御礼/内訳と前提条件の共有 | 詳細説明が必要 |
納期相談 | 見積依頼の御礼/納期見通しのご連絡 | 納期調整が必要 |
期限延長 | 見積依頼の御礼/回答期限のご相談([8/22→8/26]) | 回答遅延の場合 |
DLリンク | 見積依頼の御礼/DLリンクの共有(有効期限:[8/31]) | 大容量ファイル |
追加資料 | 見積依頼の御礼/追加資料の送付(1枚サマリ) | 補足説明資料 |
比較表 | 見積依頼の御礼/比較表(1枚)のご案内 | 複数プランの比較 |
最終版 | 見積依頼の御礼/最終版見積の送付(v2) | 修正版の提供 |
辞退 | 見積依頼の御礼/お見積り辞退のご連絡(代替案あり) | 対応困難な場合 |
NDA要請 | 見積依頼の御礼/NDA締結のお願い | 機密情報を含む |
単価表 | 見積依頼の御礼/数量変更時の単価表(添付) | 柔軟な価格設定 |
有効期限 | 見積依頼の御礼/見積有効期限のご案内([9/30]) | 期限設定の明示 |
英語版 | 見積依頼の御礼/英語版見積の送付(En) | 海外案件対応 |
担当変更 | 見積依頼の御礼/担当変更のご挨拶(新:[氏名]) | 担当者交代時 |
Re:返信 | Re:【見積依頼】〇〇の御見積の件(受付・回答予定のご連絡) | 元件名を残したい場合 |
見積依頼返信メールの本文テンプレート6選
1) 受領お礼+即見積送付(PDF添付|基本形)
[相手会社名] [氏名] 様 見積のご依頼、ありがとうございます。 見積書(PDF)を添付いたします。 ・有効期限:[9/30] ・数量変更時の単価表:別紙 ・要点は本文末尾に記載 (要点) 商品:[ ]/数量:[ ] 単価:¥[ ]/合計:¥[ ](税別) 納期見込:[ ] 恐れ入りますが、内容をご確認のうえ、ご意見をいただけますと幸いです。 ご不明点や調整のご要望がございましたら、お知らせください。 引き続き何卒よろしくお願いいたします。 ※編集痕防止のためPDF形式です。DLリンクでの共有も可能です。 ―― 署名
即座に見積を提供できる場合の基本形。要点を本文に記載することで、添付ファイルを開かなくても概要を把握できる配慮が重要です。
2) 受領お礼+追加質問(追加確認あり)
[相手会社名] [氏名] 様 見積のご依頼、誠にありがとうございます。 正確なお見積のため、下記3点の確認をお願いいたします。 1)対象範囲(含む/含まない) 2)数量の幅(最小〜最大) 3)希望納期(最短/指定日:[ ]) ご返信を頂戴次第、[8/20]までに正式見積をお戻しします。 お手数をおかけしますが、ご協力のほど、よろしくお願いいたします。 ―― 署名
詳細情報が必要な場合のテンプレート。確認事項は3点以内に絞り、相手の負担を軽減。回答期限を明確に示すことで信頼感を構築します。
3) 受領お礼+回答期限を明示(基本形)
[相手会社名] [氏名] 様 見積のご依頼をありがとうございます。受付いたしました。 正式なお見積は[8/20(火)午前]までにご提示します。 途中経過が必要でしたら、概算を先行で共有いたします。 ご要望がございましたら、お知らせください。 引き続き何卒よろしくお願いいたします。 ―― 署名
シンプルな受領確認テンプレート。期限を明確化し、概算の先行提供オプションで柔軟性をアピール。短文で読みやすさを重視。
4) 受領お礼+遅延の相談(期日延長|遅延・謝罪)
[相手会社名] [氏名] 様 見積のご依頼、ありがとうございます。 恐れ入りますが、社内確認に時間を要しており、回答予定[8/22]を [8/26]へ変更させていただけないでしょうか。 先行して概算の共有は可能です。必要でしたらお申し付けください。 ご迷惑をおかけしますが、ご了承いただけますと幸いです。 引き続き何卒よろしくお願いいたします。 ―― 署名
回答が遅れる場合の誠実な対応テンプレート。謝罪と代替案(概算先行)をセットで提示し、相手への配慮を示します。
5) 受領お礼+辞退(代替案の提示|辞退)
[相手会社名] [氏名] 様 見積のご依頼に御礼申し上げます。 誠に恐縮ですが、現体制では品質基準を満たしかねるため、今回は辞退いたします。 代替として[パートナー社名]様をご紹介可能です。ご希望でしたらお知らせください。 今回は辞退いたします。 今後ご縁がございましたら、あらためてよろしくお願いいたします。 ―― 署名
対応困難な場合の丁寧な辞退テンプレート。代替案の提示で関係維持を図り、将来の機会につなげる配慮が重要です。
6) 英語簡易版(海外窓口向け)
Subject: Thank you for your RFQ – Acknowledgement & ETA (by Aug 20) Dear [Name], Thank you for your RFQ. We will get back to you by Aug 20 (AM). If convenient, please confirm: 1) Quantity / delivery address 2) Desired delivery date (earliest / specific date) Should you have any questions, please let me know. Best regards, -- Signature
海外案件向けの簡潔なテンプレート。要点を絞り、明確な期限設定で国際ビジネスマナーに対応します。
見積依頼返信メールの送信タイミングと運用ルール
返信タイミングの鉄則
タイミング | 推奨度 | 理由・対応方法 |
---|---|---|
当日中 | ◎最適 | 相手の関心が最も高い状態 |
翌営業日午前 | ◎最適 | 24時間以内の対応で信頼構築 |
翌営業日午後 | ○良い | 遅れる場合は受領確認を先送り |
2営業日後 | △注意 | 必ず受領確認+回答予定日を明示 |
3営業日以降 | ×遅い | 相手の熱量低下、競合に遅れるリスク |
件名・宛先のルール
件名のルール
・基本は「御礼+用件+期日」
・依頼メールへRe:返信が基本
・内容が大きく変わるときのみ新件名
宛先のルール
・To = 動かす人(依頼者・決裁者)
・CC = 共有する人(関係者・同席者)
・本文の宛名直下に「CC:氏名」を明記
ファイル・URLの運用ルール
- 見積書はPDF推奨
表示崩れ・改ざん対策。必要に応じて編集版(Excel等)を別添 - ファイル名に日付・版数を記載
例:見積書_ABC社_2025-08-14_v1.pdf - 大容量はDLリンク+有効期限
本文に内容の一言と期限を明記
見積依頼返信の置換パーツ早見表
項目 | 記載例 | 注意点 |
---|---|---|
[回答予定日] | 8/20(火)午前 | 曜日・時間帯まで明記 |
[担当者] | 自社/山田・直通080-xxxx | 連絡先もセットで |
[確認事項] | 数量・納品先・希望納期 | 3点以内に絞る |
[有効期限] | 9/30まで有効 | 具体的な日付で明示 |
[ファイル名] | 見積書_ABC社_v1.pdf | 日付・版数を含める |
見積依頼返信メールのよくある失敗と対策
失敗パターン1:返信が遅い
NG例 | OK例 | 改善ポイント |
---|---|---|
3日後に初回返信 | 当日中に受領確認+回答予定日 | まず受領確認を優先 |
「検討中です」のみ | 「8/20午前に回答予定」 | 具体的な期日を明示 |
進捗連絡なし | 中間報告「概算先行可能」 | 途中経過の共有 |
失敗パターン2:情報不足
NG例 | OK例 | 改善ポイント |
---|---|---|
「見積書です」のみ | 要点を本文に記載+PDF添付 | 概要を本文で確認可能に |
金額のみ記載 | 金額・納期・有効期限・前提条件 | 判断に必要な要素を網羅 |
担当者不明 | 担当者名・直通・メール明記 | 窓口を明確化 |
失敗パターン3:敬語・表現の間違い
間違い | 正しい表現 | 分類 |
---|---|---|
拝見させていただきます | 拝見いたします | 二重敬語 |
ご確認していただけますでしょうか | ご確認いただけますでしょうか | 過剰敬語 |
お見積もりさせていただきます | お見積もりいたします | 二重敬語 |
恐縮です | 恐れ入ります | より適切な表現 |
見積依頼返信メールの差がつく上級テクニック
返信がない時のフォロー戦略
2通目(2–3営業日後|軽い確認)
件名:見積依頼の件(ご状況の確認) [相手会社名] [氏名] 様 先日ご依頼の件につき、受付のご連絡を差し上げております。 差し支えない範囲でご状況をお知らせいただけますと幸いです。 必要でしたら、要点のみ10〜20分でご説明いたします(候補:[A/B])。 ご協力のほど、よろしくお願いいたします。 ―― 署名
3通目(7–10営業日後|価値を足して再接続)
件名:参考資料(1枚サマリ)の共有 [相手会社名] [氏名] 様 ご検討の一助となりそうな近似案件のサマリ(1枚)を共有いたします。 短時間での補足が必要でしたら、10分ほどお時間を頂戴できますと幸いです(候補:[A/B])。 引き続き何卒よろしくお願いいたします。 ―― 署名
業界・規模別の配慮ポイント
業界・規模 | 重視される要素 | メール作成のコツ |
---|---|---|
製造業・大企業 | 詳細仕様・品質保証 | 技術資料・品質基準を重視 |
IT・スタートアップ | スピード・柔軟性 | 迅速対応・カスタマイズ対応をアピール |
小売・サービス業 | コスト・納期 | 価格競争力・短納期を強調 |
官公庁・自治体 | 手続き・透明性 | formal語調・詳細条件を明記 |
中小企業 | 信頼性・実績 | 導入事例・アフターサポートを重視 |
送る前の最終チェックリスト
90秒で確認(コピペミス防止)
□ 社名・氏名・案件名・日付の誤字なし
□ 回答予定日または追加質問が本文にある
□ To/CCが適切(本文にCC:氏名を明記)
□ 見積PDF添付 or DLリンク(有効期限/中身の一言)
□ 数字+単位の統一、二重敬語なし
□ 文末が基準どおり(基本形/追加確認あり/遅延・謝罪/辞退)
よくある質問
Q1. 返信はいつまでにすべき?
A. 原則当日〜翌営業日(24時間以内)です。間に合わない場合も「受領+回答予定日」を先出しします。Q2. 件名はどうする? Re: は消す?
A. 基本は「御礼+用件+期日」。依頼メールにRe:で返信し、内容が大きく変わるときのみ新件名にします。Q3. 回答期限の伝え方は?
A. 本文の冒頭近くで日付と時間帯(例:8/20(火)午前)を明記。遅れる見込みが出たら理由+新期限+代替(概算など)を提示します。Q4. 添付はPDFがよい?
A. PDF推奨(表示崩れ・改ざん対策)。大容量はDLリンク+有効期限。必要に応じて編集版(Excel等)を別添します。Q5. CC/Bccの扱いは?
A. To=動かす人、CC=共有。本文の宛名直下に「CC:氏名」を記すと共有漏れを防げます。Bccは慎重に使用します。Q6. 辞退や期限延長の言い回しは?
A. 辞退は定型の二行結び、延長は謝意+代替案(概算先行など)を添えて伝えます(本稿テンプレを参考にしてください)。まとめ
見積依頼への返信メールは、受注につながる重要なビジネスコミュニケーションです。迅速で丁寧な対応が、相手の信頼獲得と受注確率向上のカギとなります。
成功のポイント
1. 迅速な対応:当日〜翌営業日24時間以内に返信
2. 明確な期日設定:回答予定日を具体的に明示
3. 相手目線の配慮:追加確認は最小限、代替案も提示
6つのテンプレートを状況に応じて使い分けて、見積依頼への対応品質を向上させてください。適切なメールコミュニケーションが、必ずビジネス成果につながります。
今すぐ実践
次回の見積依頼には、相手の状況に最も適したテンプレートを選択してください。[ ]内を置き換えるだけで、プロフェッショナルな返信メールが完成します。
署名テンプレート(共通)
―― [自社名] [部署名] [氏名] 〒[郵便番号] [住所] 直通:[電話] Mail:[メール] Web:[URL]