「Re:」と「Fw:」を見かけない日はないほど、ビジネスメールで当たり前に使われています。しかし意外と多くの人が、正確な意味や適切な使い方を理解していません。
「手動で追加すべき?」「削除したほうが丁寧?」「何回も続いたらどうする?」こうした疑問を抱えながら、なんとなく使っている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、ReとFwの基本的な違いから実務での活用法、よくあるトラブルの解決策まで、ビジネスメールで必要な知識をすべて解説します。明日からすぐに使える実践的なテンプレートも豊富に用意しました。
・Re: = 返信(ラテン語「〜に関して」が語源)
・Fw: = 転送(英語「Forward」の略)
・どちらもメールソフトが自動で付加するため手動入力は不要
・削除せずそのまま使用が現在の標準マナー
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ReとFwの基本的な意味と重要な違い
項目 | Re:(返信) | Fw:(転送) |
---|---|---|
基本的な意味 | 相手からのメールへの返信 | 受信したメールの転送 |
語源 | ラテン語「〜に関して」 | 英語「Forward」の略 |
付加のタイミング | 返信ボタンを押したとき | 転送ボタンを押したとき |
RFC5322での扱い | 国際標準として明記 | 各社独自実装(標準なし) |
手動追加の必要性 | 不要(自動付加) | 不要(自動付加) |
Re:(返信)の詳しい解説
「Re:」は、相手からのメールに返信すると自動的に件名の先頭に付加される記号です。多くの人が「Reply(返信)」の略だと思っていますが、実際の語源はラテン語の「Re」で、「〜に関して」「〜について」という意味があります。
この仕様は、メールの国際標準規格であるRFC5322(Internet Message Format)に明記されており、世界中のメールソフトで共通して使用されています。つまり、元のメール「○○」に対して「○○に関しての返信」という意味で「Re: ○○」となるのです。
・メールソフトが自動で付加するため手動入力は不要
・国際標準のため世界中で認識される
・削除せずそのまま使用するのが現在のマナー
・相手にとって返信メールであることが一目で分かる
Fw:(転送)の詳しい解説
「Fw:」または「Fwd:」は、受信したメールを第三者に転送する際に自動的に付加される記号です。英語の「Forward(転送・前進)」の略で、メールの内容をそのまま別の人に送る機能を表します。
興味深いことに、「Fw:」についてはRFC5322には明確な記載がありません。これは各メールソフトメーカーが独自に実装した機能が事実上の標準となったものです。そのため、Outlook では「FW:」、Gmail では「Fwd:」など、メールソフトによって表記が微妙に異なります。
・転送理由を本文で必ず説明する
・個人情報が含まれる場合は事前に許可を取る
・不要な情報は削除してから転送する
・受信者が混乱しないよう配慮する
現在のビジネスマナー:削除 vs 残す
「Re:」や「Fw:」を削除すべきか残すべきかは、長年議論されてきました。現在の結論は明確です:基本的には削除せず、そのまま使用するのが標準的なビジネスマナーです。
残すべき理由
削除・変更すべき場面
ただし、以下の場合は件名の整理や変更を検討してください。
状況 | 対処法 | 変更例 |
---|---|---|
Re:が3つ以上連続 | 件名を整理する | 「Re: プロジェクト進捗(継続協議)」 |
話題が完全に変わった | 新しい件名に変更 | 「新企画のご提案」 |
緊急性が増した | 【緊急】等を追加 | 「【緊急】Re: 契約書の件」 |
新しい参加者がいる | 経緯を含めた件名に | 「プロジェクト進捗共有(○○様向け)」 |
実務で即使える!場面別テンプレート集
返信メール(Re:)の実践テンプレート
1. 質問に対する回答
件名:Re: 見積書についてのお問い合わせ 田中様 いつもお世話になっております。 △△商事の山田です。 見積書に関するご質問にお答えいたします。 > 納期はどのくらいでしょうか? ご発注確定から約10営業日でお納めいたします。 > 支払い条件を教えてください 月末締め翌月末払いでお願いしております。 その他ご不明な点がございましたら、 お気軽にお声がけください。 よろしくお願いいたします。 ―――――――――――――――――――――― △△商事株式会社 営業部 山田太郎 TEL:03-1234-5678 Email:yamada@example.com ――――――――――――――――――――――
2. 会議日程の調整
件名:Re: 来週の打ち合わせ日程について 佐藤様 お疲れ様です。 鈴木です。 来週の打ち合わせの件、承知いたしました。 以下の日程でいかがでしょうか。 【候補日時】 ・4月15日(月)14:00-16:00 ・4月16日(火)10:00-12:00 ・4月17日(水)15:00-17:00 会議室は弊社で手配いたします。 ご都合のよい日時をお知らせください。 よろしくお願いいたします。 ―――――――――――――――――――――― ○○株式会社 企画部 鈴木花子 ――――――――――――――――――――――
3. 報告書への返信
件名:Re: 3月度売上報告書 営業部の皆様 お疲れ様です。 部長の田中です。 3月度の売上報告書を拝見いたしました。 目標を上回る成果を上げていただき、 ありがとうございました。 特に新規開拓での成果が顕著で、 チーム一丸となった取り組みの成果だと思います。 4月度も引き続きよろしくお願いいたします。 田中
転送メール(Fw:)の実践テンプレート
1. 社内での情報共有
件名:Fw: 【重要】システムメンテナンスのお知らせ 営業部の皆様 お疲れ様です。 システム管理者の山田です。 IT部門から重要なお知らせが届きました。 営業活動に影響する可能性がありますので、 ご確認をお願いいたします。 【影響内容】 ・顧客管理システムが一時停止 ・営業資料の閲覧ができない時間帯あり ・事前準備をお願いします 詳細は以下のメールをご覧ください。 ―――――――――――――――――――――― ----------転送メッセージ---------- From: IT部Subject: 【重要】システムメンテナンスのお知らせ 各部署担当者様 下記日程でシステムメンテナンスを実施いたします。 【日時】4月20日(土)22:00-翌6:00 【対象】顧客管理システム、社内ポータル ご迷惑をおかけしますが、ご協力をお願いいたします。 IT部
2. 顧客からの要望を上司に転送
件名:Fw: 新サービスに関するお問い合わせ 課長 お疲れ様です。 営業の佐藤です。 ○○商事様から新サービスについて お問い合わせをいただきました。 検討の価値がある内容だと思いますので、 ご相談させてください。 明日の朝礼後にお時間をいただけますでしょうか。 以下、お客様からのメールです。 ―――――――――――――――――――――― ----------転送メッセージ---------- 差出人:○○商事 田中様 件名:新サービスに関するお問い合わせ いつもお世話になっております。 貴社の新サービスについて詳しく お聞かせいただけませんでしょうか。 (以下詳細内容)
3. 外部への転送(許可確認済み)
件名:Fw: セミナー開催のご案内 高橋様 いつもお世話になっております。 △△商事の鈴木です。 弊社で開催するセミナーのご案内を お送りいたします。 貴社の事業にも関連する内容かと思い、 主催者の許可を得て転送いたします。 ご興味がございましたら、 ぜひご参加をご検討ください。 ―――――――――――――――――――――― △△商事株式会社 鈴木 ―――――――――――――――――――――― ----------転送メッセージ---------- (セミナー案内の詳細)
よくあるトラブルと解決策
問題1:Re:が無限に続く場合
状況 | 問題点 | 解決策 | 改善例 |
---|---|---|---|
Re:Re:Re:Re:が続く | 件名が読みにくい | 回数を括弧で表示 | 「Re: 企画書の件(4回目)」 |
話題が分散 | 内容が把握しづらい | 要点を件名に含める | 「Re: 企画書(スケジュール調整)」 |
長期間の中断後 | 経緯が分からない | 新規メールで再開 | 「企画書の件(再開)」 |
問題2:転送で起こりがちなトラブル
問題3:メールソフト別の挙動の違い
メールソフト | 返信表記 | 転送表記 | 特徴 |
---|---|---|---|
Microsoft Outlook | RE: | FW: | 大文字表記、重複回避機能 |
Gmail | Re: | Fwd: | スレッド表示で整理 |
Thunderbird | Re: | Fwd: | 設定でカスタマイズ可能 |
Apple Mail | Re: | Fwd: | シンプルな表示 |
国際ビジネスでの注意点
海外とのビジネスメールでも「Re:」「Fw:」は共通して使えますが、一部の地域では独自の表記があります。
国・地域 | 返信記号 | 転送記号 | 備考 |
---|---|---|---|
日本・アメリカ・イギリス | Re: | Fw: / Fwd: | 標準的な表記 |
ドイツ・オーストリア | AW: | WG: | Antwort(回答)の略 |
フランス | RE: | TR: | Transmission(転送) |
スウェーデン・ノルウェー | SV: | VS: | Svar(回答)の略 |
・「Re:」「Fw:」は世界共通なので安心して使用
・相手の国の表記を見かけても驚かない
・重要な内容は件名だけでなく本文でも明確に
・時差を考慮した返信タイミングを心がける
・文化的な違いにも配慮する
効率化のための高度なテクニック
メール管理の自動化
「Re:」「Fw:」を活用した効率的なメール管理方法をご紹介します。
・フィルタ機能で「Re:」付きメールを自動分類
・「Fw:」メールは共有フォルダで管理
・重要度に応じて件名にタグを追加
・定期的な整理で古いスレッドを整理
・テンプレート機能を活用して時短
チーム内でのルール統一
組織内で統一したメールルールを作成することで、さらに効率的なコミュニケーションが実現できます。
【メールルール例】 ■ 件名に関するルール 1. 返信時の「Re:」は削除しない 2. 話題変更時は件名を変更する 3. 緊急時は【緊急】を先頭に追加 4. プロジェクト名は [○○PJ] で統一 ■ 転送に関するルール 1. 転送理由を必ず本文に記載 2. 不要な部分は削除してから転送 3. 機密情報は転送前に確認 4. 外部転送は上司の許可を得る ■ 管理に関するルール 1. 「Re:」が3つ以上は件名整理 2. 月1回の不要メール整理 3. 重要メールはフラグ設定 4. 共有事項は専用フォルダへ
まとめ
「Re:」と「Fw:」は、現代のビジネスコミュニケーションに欠かせない機能です。正しい理解と適切な使い方をマスターすることで、メールでのやり取りがより効率的で分かりやすくなります。
・Re: = 返信、Fw: = 転送と覚える
・基本的には自動付加されたものをそのまま使用
・3回以上連続したら件名を整理
・転送時は必ず理由を説明
・チーム内でルールを統一する
これらの知識を活用して、より円滑で効率的なビジネスメールコミュニケーションを実現してください。適切なメールマナーは、あなたの仕事の質と信頼性を大きく向上させます。
よくある質問
Re:やFw:は手動で追加したほうがよいですか?
いいえ、手動で追加する必要はありません。メールソフトが返信や転送の際に自動で付加するため、手動で追加すると二重になってしまいます。自動で付加されたものをそのまま使用するのが正しい方法です。
Re:が何個も続いたときはどうすればよいですか?
「Re:」が3つ以上連続した場合は、件名を整理することをお勧めします。例えば「Re: プロジェクト進捗(継続協議)」や「Re: 企画書の件(4回目)」のように、状況を分かりやすく表現してください。話題が完全に変わった場合は、新しい件名でメールを作成することも有効です。
転送メールで最も注意すべき点は何ですか?
個人情報や機密情報の取り扱いです。転送前に、個人情報が含まれていないか、機密性の高い内容ではないかを必ず確認してください。必要に応じて元の送信者に転送の許可を取り、転送理由も明確に説明することが重要です。
海外とのメールでもRe:、Fw:は使えますか?
はい、「Re:」「Fw:」は国際標準(RFC5322)に基づいているため、世界中で使用できます。ただし、国によっては独自の表記(ドイツの「AW:」など)もありますが、「Re:」「Fw:」を使用しても全く問題ありません。
メールソフトによって表記が違うのはなぜですか?
「Re:」は国際標準で統一されていますが、「Fw:」については標準規格に明確な記載がないため、各メールソフトが独自に実装しているからです。Outlookでは「FW:」、Gmailでは「Fwd:」のように違いがありますが、機能は同じです。
削除したほうが丁寧だという意見もありますが?
以前はそのような意見もありましたが、現在は削除せずに残すのが標準的なマナーです。効率性と分かりやすさの観点から、国際的にもこの方針が主流になっています。相手にとって返信・転送メールであることが一目で分かるメリットの方が大きいためです。
スマートフォンでも同じように使えますか?
はい、スマートフォンのメールアプリでも、PCと同様に返信時は「Re:」、転送時は「Fw:」または「Fwd:」が自動で付加されます。iOS、Android問わず、標準的な機能として実装されているため、特別な設定は不要です。
組織内でのメールルールはどう決めればよいですか?
まず基本的なマナーを共有し、その上で組織特有の要件があれば追加ルールを設定してください。重要なのは、全員が守れる現実的なルールにすることです。また、定期的に見直しを行い、業務の効率化につながっているかを確認することも大切です。
参考文献・引用情報
- RFC 5322 – Internet Message Format 日本語訳
- 返信メールのタイトルにつく「Re」ってなに? – FMVサポート : 富士通
- メール返信の際、件名のRE:やFW:はどうしたらいい?ビジネスメールの基本について現役サラリーマンが解説!
- メールのFwとは?意味と使い方、ReやTOなどとの違いも解説! | Indeed
- 「re」の意味とは?ビジネスで使えるメール術も紹介 | TRANS.Biz
- 転送するときも配慮が大切 | ビジネスメールの教科書
- メール関連のRFC | SendGridブログ
- 受信したメールの「件名」欄の先頭に表示されている「Re:」または「Fw:」の意味を教えてください。 – FMVサポート : 富士通
- メールに関する主要なRFCとは? 違反しがちなポイントをチェック – ベアメールブログ
- RFC5322: メールの基準を理解する – 必須ヘッダから正規表現まで – Customers Mail Cloud ブログ