「ご教示」と「ご教授」の違いは? 正しい使い分けとテンプレート例文

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ビジネスメールで「教えてください」と伝えたい時、「ご教示」と「ご教授」のどちらを使うべきか迷った経験はありませんか?

実際の法令や公的資料を調べてみると、この2つには明確な使い分けの基準があります。間違って使うと相手に違和感を与えたり、場合によっては失礼にあたったりすることも。

この記事では、文化庁の敬語指針や関係法令をもとに、正しい使い分け方法を具体的なメール例文と共に解説します。

3秒で分かる使い分け
ご教示:手順・方法・連絡先など「具体的な情報」を教えてもらう時
ご教授:技術・知識など「専門的な指導」をお願いする時

「ご教示」と「ご教授」の基本的な違い

ご教示:具体的な情報・手順を教わる時

「教示」は行政法の分野でよく使われる用語で、具体的な方法や手順、情報を示すことを意味します。

法令での使用例
行政不服審査法第82条では、不服申立ての「方法・期間・提出先を教示する」と規定されています。つまり「教示」とは、やり方や手続きを具体的に示すことなのです。

ご教示を使うべき場面:
– 申請書の提出方法や期限を聞く
– 会議の場所や時間を確認する
– 連絡先や窓口を尋ねる
– 手続きの流れを教わる

ご教授:専門的な知識・技術を学ぶ時

「教授」は学校教育法第83条で大学の目的として「学芸を教授研究する」と定められているように、専門的・継続的な教育や指導を意味します。

教授の本来の意味
文部科学省の資料でも、教授は「学生を教授し、その研究を指導する」職務と説明されています。つまり体系的な学問や技術の指導に使われる言葉です。

ご教授を使うべき場面:
– 専門技術の指導をお願いする
– 研究手法について学ぶ
– 業務スキルの訓練を依頼する
– 長期的な指導をお願いする

実務で使える判断基準

迷った時は、以下の基準で判断してください:

判断ポイント ご教示 ご教授
内容 情報・手順・方法 知識・技術・スキル
期間 一回で完結 継続的な指導
関係性 情報提供者に依頼 専門家・指導者に依頼
具体例 「締切日をご教示ください」 「営業手法をご教授ください」

ビジネスメールで使える例文集

「ご教示」を使った例文

件名:申請書類の提出方法について

○○部 △△様

いつもお世話になっております。
株式会社××の□□です。

来月の会議で使用する資料の提出について、
以下の点をご教示いただけますでしょうか。

・提出期限
・提出形式(PDF or 紙媒体)
・提出先のメールアドレス

お忙しい中恐れ入りますが、
よろしくお願いいたします。

□□
件名:当日の受付手順について

○○様

お疲れさまです。
来週の研修参加についてご連絡いたします。

当日の受付手順と集合場所について
ご教示いただけますと幸いです。

また、持参すべき資料がございましたら
併せてお知らせください。

よろしくお願いいたします。

「ご教授」を使った例文

件名:プレゼンテーション技術のご指導について

○○部長

いつもお世話になっております。
営業部の□□です。

この度、お客様向けプレゼンテーションの
スキル向上を図りたく、ご相談いたします。

お時間をいただき、効果的な
プレゼンテーション手法について
ご教授いただくことは可能でしょうか。

1時間程度のお時間をいただければと
考えております。

ご多忙の中恐縮ですが、
ご検討いただけますと幸いです。

□□
件名:マーケティング分析手法について

○○先生

いつもお世話になっております。

弊社の事業戦略策定にあたり、
市場分析の手法についてご教授を
お願いできればと考えております。

データ分析の具体的なアプローチや
競合分析の進め方について、
ご指導いただけますでしょうか。

お忙しい中恐れ入りますが、
ご検討のほどよろしくお願いいたします。

よくある間違いと正しい表現

よくある間違い 正しい表現 理由
「提出方法をご教授ください」 「提出方法をご教示ください」 手順の説明なので「教示」
「操作方法をご教授ください」 「操作方法をご教示ください」 具体的な方法なので「教示」
「研修内容をご教示ください」 「研修をご教授ください」 技能指導なので「教授」
「ご教授いただきたく存じます」 「ご教授ください」 過剰敬語を避ける

場面別の使い分けガイド

社内での使い分け

上司・先輩への依頼
ご教示:「会議の議題をご教示ください」「手続きの流れをご教示願います」
ご教授:「営業ノウハウをご教授ください」「マネジメント手法をご教授願います」

社外での使い分け

取引先・お客様への依頼
ご教示:「貴社の窓口をご教示ください」「納期をご教示いただけますか」
ご教授:「業界の動向についてご教授ください」「技術的なご指導をお願いします」

より自然な代替表現

文化庁の敬語指針では、「平易で分かりやすい表現」が推奨されています。状況に応じて以下の表現も活用しましょう。

場面 代替表現 使用例
情報確認 お聞かせください 「詳細をお聞かせください」
説明依頼 ご説明ください 「手順をご説明いただけますか」
確認依頼 ご確認ください 「内容をご確認ください」
助言依頼 ご指導ください 「今後の進め方をご指導ください」

敬語レベルの調整方法

相手との関係性に応じて、敬語レベルを調整することも大切です。

丁寧度別の表現パターン

【基本レベル】
「○○についてご教示ください」

【丁寧レベル】
「○○についてご教示いただけますでしょうか」

【最上級レベル】
「○○について、お教えいただければ幸いです」

【カジュアル】
「○○について教えていただけますか」

メール作成時のチェックポイント

送信前の最終確認

  • 具体的な情報 → 「ご教示」を使用
  • 専門的な指導 → 「ご教授」を使用
  • 相手との関係性に適した敬語レベル
  • 過剰敬語になっていないか
  • 代替表現でより自然にできないか

よくある質問

「ご教示ください」と「ご教授ください」、どちらが丁寧ですか?

丁寧さに違いはありません。重要なのは使い分けです。情報や手順を聞く時は「ご教示」、専門的な指導をお願いする時は「ご教授」を使いましょう。

期間の長短で使い分けるという説は正しいですか?

公的な資料では期間による明確な区分はありません。内容の性質(情報提供か専門指導か)で判断するのが適切です。

「ご指導ください」との違いは何ですか?

「ご指導」は幅広い場面で使える表現です。迷った時は「ご指導」を使うか、より具体的な「お教えください」「ご説明ください」などを選ぶのも良いでしょう。

社内メールでも使うべきですか?

社内の関係性によります。かしこまった場面では適切な敬語を使い、普段のやり取りでは「教えてください」など、自然な表現で十分です。

間違って使ってしまった場合は?

大きな問題にはなりませんが、今後は正しく使い分けることが大切です。相手が違和感を感じる可能性があるため、適切な表現を心がけましょう。

まとめ

「ご教示」と「ご教授」の使い分けは、内容の性質で判断するのがポイントです。

使い分けの基本ルール

  • ご教示:手順・方法・情報など、具体的なことを教わる時
  • ご教授:知識・技術・スキルなど、専門的な指導をお願いする時
  • 迷った時は「ご指導」「お教えください」などの代替表現も活用
  • 相手との関係性に応じて敬語レベルを調整

適切な敬語を使うことで、相手に好印象を与え、スムーズなコミュニケーションにつながります。この記事の例文を参考に、自信を持って敬語を使い分けてください。

参考文献・引用情報