【決定版】「ご共有」は間違い?ビジネスメールで使える言い換え表現40選とテンプレート

ビジネス連絡

ビジネスメールで「ご共有してください」「ご共有いたします」と書こうとして、「これって正しい敬語なの?」と迷った経験はありませんか。

実は「ご共有」という表現に違和感を持つビジネスパーソンは少なくありません。年配の方や従来の敬語に慣れた方からは「聞き慣れない」「なんとなく変」という声も聞かれます。

でも安心してください。適切な言い換え表現を知っていれば、相手に好印象を与えながら、スムーズに情報を伝えることができます。この記事では、文化庁の公式指針に基づいて「ご共有」問題を解決し、今すぐ使える実践的なテンプレートを40種類ご紹介します。

3秒で分かる「ご共有」問題の答え

答え:「ご共有」は間違いではないが、もっと良い表現がある

  • 文法的には正しい:「ご+漢語」の原則に適合(文化庁「敬語の指針」より)
  • でも違和感を持つ人が多い:特に50代以上のビジネスパーソン
  • 解決策:目的別の動詞を使う:周知する、報告する、送付するなど

「ご共有」に違和感を持つ人が多い3つの理由

まずは「なぜ違和感があるのか」を理解しましょう。理由が分かれば、適切な対策も見えてきます。

理由1:比較的新しいビジネス用語だから

「共有」という言葉がビジネスシーンで頻繁に使われるようになったのは、IT化が進んだ2000年代以降のこと。それまでは「連絡」「報告」「通知」という言葉が一般的でした。

文化庁の「国語に関する世論調査」でも、敬語の使い方については世代による違いが大きいことが報告されています。新しい表現ほど、年配の方には馴染みにくい傾向があります。

理由2:「する」の敬語化への慎重さ

「共有する」のような「〜する」動詞(サ変動詞)の敬語化は、日本語として微妙なバランスが求められます。文化庁の「敬語の指針」でも、すべてのサ変動詞に「ご〜する」形が適用できるわけではないと説明されています。

理由3:目的が伝わりにくい

「共有」だけでは、具体的に何をして欲しいのかが曖昧です。「資料を見て欲しいのか」「意見を聞きたいのか」「周知して欲しいのか」が分からず、受け手が困惑する場合があります。

状況別・相手別の「ご共有」の言い換え表現40選

実際のビジネスシーンで使える言い換え表現を、状況と相手に応じて整理しました。

【情報を伝える】周知・通知系

基本表現 丁寧表現 依頼表現 使用場面
お知らせします お知らせいたします お知らせください 一般的な情報伝達
周知します 周知いたします 周知してください 社内規程・方針の伝達
通知します 通知いたします 通知してください 公式な発表・変更事項
案内します ご案内いたします 案内してください イベント・会議の告知
連絡します ご連絡いたします 連絡してください 個別の連絡事項

【データ・資料を送る】送付・提供系

基本表現 丁寧表現 依頼表現 使用場面
送付します 送付いたします 送付してください ファイル添付・郵送
提供します ご提供いたします 提供してください データ・情報の提供
配布します 配布いたします 配布してください 資料の一斉配布
回覧します 回覧いたします 回覧してください 部署内での順次確認
転送します 転送いたします 転送してください メールの横展開

【結果・状況を伝える】報告・説明系

基本表現 丁寧表現 依頼表現 使用場面
報告します ご報告いたします 報告してください 進捗・結果の報告
説明します ご説明いたします 説明してください 手順・内容の解説
紹介します ご紹介いたします 紹介してください 人・サービスの紹介
発表します 発表いたします 発表してください 公式発表・プレゼン
伝達します 伝達いたします 伝達してください 上層部からの指示伝達

今すぐ使える!ビジネスメールテンプレート15選

実際のビジネスシーンで頻出する場面別に、コピペで使えるテンプレートを用意しました。

【社内周知】新制度・ルール変更

件名:【重要】新経費精算システム導入のお知らせ(9月1日開始)

各部署の皆様

お疲れさまです。
総務部の◯◯です。

9月1日より経費精算システムが変更となりますので、
下記の通りお知らせいたします。

■実施日:9月1日(金)8:00〜
■主な変更点:
・申請方法:紙→Web入力に変更
・承認フロー:部長承認後、総務確認
・精算日:毎月末日→15日・末日の月2回

操作マニュアルを添付いたします。
事前に目を通していただき、不明点は
8月30日までにご連絡ください。

ご協力のほど、よろしくお願いいたします。

【進捗報告】プロジェクト状況

件名:Aプロジェクト進捗報告(第3週)

プロジェクト関係者各位

お疲れさまです。
プロジェクトマネージャーの◯◯です。

第3週の進捗状況をご報告いたします。

■全体進捗:計画比95%(ほぼ予定通り)
■完了タスク:
・要件定義書の最終確認 → 完了
・システム設計書の初版作成 → 完了
・テストケースの洗い出し → 完了

■今週の課題:
・外部ベンダーとの調整に時間を要した
・一部機能の仕様変更が発生

■来週の予定:
・詳細設計書の作成開始
・プロトタイプの初期検証

詳細は添付の進捗表をご確認ください。
何かご質問がございましたら、
お気軽にお声がけください。

【資料送付】取引先への提案書送付

件名:ご提案書送付のご連絡【新システム導入について】

株式会社◯◯
情報システム部 田中様

いつもお世話になっております。
△△ソリューションズの山田です。

先日お打ち合わせをさせていただきました
新システム導入に関するご提案書が
完成いたしましたので、送付いたします。

■提案内容:顧客管理システムの全面刷新
■導入効果:業務効率30%向上(試算)
■導入期間:3ヶ月間
■費用:詳細は提案書6ページ参照

内容についてご不明な点やご要望がございましたら、
いつでもお気軽にご連絡ください。
9月10日頃にお電話でフォローアップを
させていただく予定です。

ご査収のほど、よろしくお願いいたします。

【会議資料】議事録の送付

件名:8月30日定例会議 議事録

会議参加者各位

お疲れさまでした。
企画部の◯◯です。

本日の定例会議の議事録を
お送りいたします。

■会議概要:
・日時:8月30日(水)14:00-15:30
・参加者:7名
・主なテーマ:来期事業計画の検討

■決定事項:
1)新商品ラインナップの方向性承認
2)マーケティング予算の配分決定
3)次回会議日程:9月13日(水)14:00

■宿題・アクションアイテム:
・田中さん:競合調査(9/10まで)
・佐藤さん:コスト試算(9/12まで)
・山田さん:スケジュール詳細作成(9/15まで)

議事録の詳細は添付ファイルをご確認ください。
修正点などございましたら、
9月5日までにご連絡ください。

【情報収集】取引先への情報提供依頼

件名:市場動向に関する情報提供のお願い

株式会社◯◯
マーケティング部 鈴木様

いつもお世話になっております。
△△企画の田中です。

来期の事業計画策定にあたり、
市場動向について情報をお教えいただけませんでしょうか。

■お聞きしたい内容:
・業界全体の成長予測
・主要競合他社の動向
・新技術導入の市場反応

■用途:社内企画書の参考資料
■期限:9月15日頃まで
■形式:メール本文またはファイル添付

お忙しい中恐縮ですが、
可能な範囲でお聞かせいただけますと
大変助かります。

何かご質問がございましたら、
お気軽にお声がけください。

【社外報告】月次実績の報告

件名:8月度実績報告書

株式会社◯◯
営業部 部長 田中様

いつもお世話になっております。
△△商事の山田です。

8月度の実績についてご報告いたします。

■売上実績:
・目標:500万円
・実績:520万円(達成率104%)
・前年同月比:110%

■主な成果:
・新規開拓:3社
・既存顧客単価アップ:平均8%
・リピート率:95%

■来月の予定:
・新商品プロモーション開始
・展示会出展(9/15-17)
・既存顧客フォロー強化

詳細データは添付の月次レポートを
ご確認ください。

引き続きよろしくお願いいたします。

【緊急連絡】トラブル・変更通知

件名:【緊急】システムメンテナンス延長のお知らせ

システム利用者各位

お疲れさまです。
IT管理部の◯◯です。

予定しておりましたシステムメンテナンスについて、
作業延長が発生いたしましたので緊急にお知らせいたします。

■当初予定:8月31日 18:00-24:00
■変更後:8月31日 18:00-翌2:00
■延長理由:データ移行処理の時間超過

ご利用の皆様にはご迷惑をおかけし、
誠に申し訳ございません。

作業完了次第、改めてご連絡いたします。
ご不明な点がございましたら、
下記までお急ぎご連絡ください。

■緊急連絡先:IT管理部 080-xxxx-xxxx

【部署内連絡】チーム内の情報共有

件名:クライアントミーティング結果

営業2課の皆様

お疲れさまです。
◯◯です。

本日のB社とのミーティング結果を
お伝えします。

■ミーティング概要:
・参加者:B社3名、当社2名
・時間:10:00-11:30
・場所:B社会議室A

■主な内容:
・来期契約更新の意向確認 → 前向き
・新サービス提案 → 社内検討後回答
・価格改定要望 → 10%程度のアップ希望

■今後のアクション:
・新サービス詳細資料の作成(田中さん)
・価格改定案の検討(佐藤さん)
・次回アポイント調整(私が担当)

類似案件をお持ちの方は、
参考までにお聞かせいただけると
ありがたいです。

【お客様対応】問い合わせ回答

件名:お問い合わせの件【製品仕様について】

株式会社◯◯
購買部 田中様

いつもお世話になっております。
△△製作所の山田です。

先日お問い合わせいただきました
製品仕様についてご回答いたします。

■ご質問:耐久性テストの詳細データ
■回答:
・テスト期間:6ヶ月間
・テスト環境:温度-10℃〜50℃
・合格基準:故障率1%未満
・実測値:故障率0.3%

テスト報告書の詳細版を添付いたします。
追加でご質問がございましたら、
技術部の専門スタッフより
詳しくご説明させていただきます。

何かございましたら、
お気軽にお声がけください。

【会議案内】定例会議の通知

件名:【定例会議】9月第1回企画会議のご案内

企画部関係者各位

お疲れさまです。
企画部の◯◯です。

9月第1回の企画会議を下記の通り
開催いたしますので、ご案内いたします。

■日時:9月6日(水)14:00-16:00
■場所:会議室A(3階)
■参加者:企画部全員、営業部長
■議題:
・来期新商品企画の検討
・マーケティング戦略の見直し
・予算配分の調整

■事前準備:
・前回議事録の確認
・担当案件の現状整理
・質問事項の事前整理

資料は前日までにメールでお送りします。
ご都合の悪い方は9月4日までに
ご連絡ください。

よろしくお願いいたします。

これは避けたい!NG表現とその修正例

実際のビジネスメールでよく見かけるNG表現と、その修正例をご紹介します。

NG表現 問題点 修正例
ご共有お願いします 「ご〜お願いします」の重複 お知らせください / 送付をお願いします
共有させていただきます 「させていただく」の過剰使用 お知らせいたします / 報告いたします
情報のご共有 目的が不明確 情報のお知らせ / 情報の送付
共有をお願いします 具体的な行為が分からない お教えください / お聞かせください
ご共有いただき恐縮です やや不自然な敬語 お知らせいただき恐縮です
ご共有のほど 「〜のほど」との組み合わせが不自然 周知のほど / 送付のほど

文化庁指針に基づく正しい判断基準

文化庁の「敬語の指針」では、現代の敬語は「相互尊重の精神に基づき、相手や場面に配慮して使い分ける」ものとされています。この原則に基づいて、適切な表現を選ぶ基準をまとめました。

基準1:相手が理解しやすいか

相手にとって馴染みのある表現を選ぶことが重要です。「ご共有」に違和感を持つ可能性がある相手(年配の方、従来の敬語に慣れた方など)には、より一般的な表現を使いましょう。

基準2:目的が明確に伝わるか

敬語の指針では「過不足のない敬語使用」が推奨されています。「共有」という曖昧な表現よりも、「周知」「報告」「送付」など、具体的な行為を示す動詞の方が意図が伝わりやすくなります。

基準3:自然な敬語レベルか

相手との関係性に応じて、適切な敬語レベルを選ぶことが大切です。社内の同僚には「〜します」、上司や取引先には「〜いたします」「〜いただけますでしょうか」など、段階的に使い分けましょう。

業界別・職種別の推奨表現

業界や職種によって、好まれる表現や避けた方が良い表現があります。

業界・職種 推奨表現 避けたい表現 理由
金融・保険 ご報告、ご連絡、通知 シェア、共有 伝統的で確実な表現が好まれる
IT・Web 共有、送付、シェア 過度に堅い敬語 効率性とスピードを重視
製造業 連絡、報告、周知 カタカナ用語 現場との連携を重視
官公庁 通知、周知、伝達 共有、シェア 公用文の慣習に従う
医療・介護 報告、連絡、お知らせ 曖昧な表現 正確性と安全性を最優先
教育 お知らせ、ご案内、報告 ビジネス色の強い表現 親しみやすさと分かりやすさ

件名の書き方テンプレート12選

ビジネスメールの件名は、内容が一目で分かることが重要です。「ご共有」を使わない件名パターンをご紹介します。

種類 件名テンプレート 具体例
周知・通知 【お知らせ】[内容]([日付]) 【お知らせ】会議室利用ルール変更(9月1日より)
資料送付 [資料名]送付のご連絡 企画書送付のご連絡
進捗報告 [プロジェクト名]進捗報告([期間]) 新システム開発進捗報告(第2週)
会議結果 [会議名]結果報告([日付]開催分) 定例会議結果報告(8月30日開催分)
情報提供依頼 [内容]について教えてください 市場動向について教えてください
緊急連絡 【緊急】[内容]のお知らせ 【緊急】システム障害発生のお知らせ

敬語レベルの使い分け早見表

相手との関係性に応じた敬語レベルの使い分けを、表で整理しました。

相手 基本レベル 例文 注意点
部下・後輩 丁寧語 資料をお送りします 親しみやすさも考慮
同僚・同期 丁寧語 情報をお知らせします カジュアルすぎないよう注意
直属の上司 謙譲語Ⅱ 進捗をご報告いたします 適度な敬語で十分
役員・経営陣 謙譲語Ⅰ・Ⅱ ご報告申し上げます より丁重な表現を選ぶ
社外取引先 謙譲語Ⅱ 資料をお送りいたします 会社の代表としての意識
初回取引先 謙譲語Ⅰ・Ⅱ ご提案申し上げます 第一印象を重視

よくある質問

「ご共有」という表現は将来的に正しい敬語として定着しますか?

言葉は時代とともに変化するため、可能性はあります。ただし現時点では、より確実で自然な表現を使う方が無難です。文化庁の指針でも「自己表現として適切な敬語を選ぶ」ことが推奨されています。

IT業界では「ご共有」を使っても問題ありませんか?

IT業界では「共有」という言葉が一般的なため、比較的受け入れられやすい傾向があります。ただし、取引先が伝統的な業界の場合は、「送付」「提供」などの表現を使う方が安全です。

「共有させていただく」の代わりに使える表現は?

「お知らせいたします」「ご報告いたします」「お送りいたします」などが自然です。「させていただく」の多用は、文化庁の指針でも注意が促されています。

社内メールでは「ご共有」を使っても大丈夫ですか?

社内の場合、会社の文化や慣習によります。「情報共有」が一般的な会社なら問題ありませんが、迷う場合は「お知らせ」「報告」などの確実な表現を使うことをお勧めします。

「情報共有会」などの会議名では使っても良いですか?

名詞としての「情報共有」は一般的に定着しており、会議名や資料名で使用しても問題ありません。問題となるのは主に動詞の敬語化(「ご共有する」)の部分です。

英語圏の人とのビジネスでは「シェア」の方が良いですか?

英語圏の方との会話では「シェア」でも構いませんが、日本語でのメール文書では「送付」「提供」などの日本語表現を使う方が、日本のビジネス慣習に沿っています。

実践チェックリスト

メール送信前に確認したいポイントをまとめました。

ビジネスメール送信前チェック

□ 相手に馴染みのある表現を選んでいるか
□ 具体的に何をして欲しいか明確になっているか
□ 敬語レベルが相手との関係性に適しているか
□ 件名で内容が一目で分かるか
□ 「ご共有」以外の自然な表現に置き換えられるか
□ 読み返して違和感のない文章になっているか
□ 相手の立場に立って読みやすいか
□ 期限や詳細情報が適切に含まれているか

まとめ:相手思いのコミュニケーションを

「ご共有」問題の核心は、「正しいか間違いか」ではなく、「相手にとって自然で分かりやすいか」という点にあります。

言葉の正しさも大切ですが、それ以上に重要なのは相手との良好な関係を築くこと。相手が理解しやすく、違和感を持たない表現を選ぶことで、よりスムーズなビジネスコミュニケーションが実現できます。

最後に覚えておきたい3つのポイント

  1. 相手ファースト:自分の正しさより、相手の理解しやすさを優先
  2. 目的明確化:「何をして欲しいか」を具体的な動詞で表現
  3. 自然な敬語:過不足のない、その場に適した丁寧さを心がける

この記事でご紹介した表現やテンプレートを活用して、相手に好印象を与える質の高いビジネスコミュニケーションを実現してください。文化庁の指針にもあるように、敬語は「自己表現」として主体的に選ぶもの。あなたらしい、心の通ったコミュニケーションを大切にしていきましょう。

参考文献・引用情報