複数の面接官がいた場合、お礼メールの宛名はどう書けばよいのでしょうか。「田中様・佐藤様」と連名にするか、代表者だけに宛てるか、「各位」を使うべきかで迷う方は少なくありません。
個人名が2〜3名判明している場合は各氏名に「様」を付けて列記し、4名以上や一部不明の場合は代表者宛てまたは「採用ご担当者各位」を使用することが一般的とされています。なお「各位様」は国立国語研究所によると誤用であり、「御中」と個人名の「様」は併用しないとされています。
- 複数面接官への正しい宛名の書き方とルール
- 「様」「各位」「御中」の正確な使い分け方法
- 状況別の詳細なメールテンプレート(コピペ対応)
- オンライン面接や大人数面接の特殊ケース対応
- よくある間違いとその回避方法
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複数面接官への宛名|基本ルールと判断基準
複数の面接官がいた場合の宛名は、把握している情報によって書き方が決まります。文化庁「敬語の指針」や国立国語研究所の指針に基づく基本ルールを確認しましょう。
「様」:個人に宛てる場合の敬称
「各位」:複数・不特定の相手への敬称(それ自体が敬称のため「各位様」は誤用)
「御中」:組織・部署宛ての敬称(個人名との併用不可)
宛名の判断フローチャート
各氏名に「様」を付けて列記する
(例:田中太郎様・佐藤花子様・山田次郎様)
代表者1名に宛てるか「採用ご担当者各位」を使用する
組織宛てとし「御中」を使用する
(例:株式会社◯◯ 人事部 御中)
状況別対応|実務で遭遇する複雑なケース
実際の面接では、様々な状況が発生します。それぞれに適した対応方法を確認しましょう。
面接形態 | 推奨宛名 | 注意ポイント | 本文での配慮 |
---|---|---|---|
1対1面接 | ◯◯様 | 個人名に「様」を付ける | 標準的なお礼メール |
1対2〜3面接 | ◯◯様・△△様・□□様 | 各氏名に「様」を付けて列記 | 各面接官への言及を含める |
1対多面接(4名以上) | 代表者宛 または 各位 | 本文で同席者への言及必須 | 「ご同席の皆様にも」を追加 |
オンライン面接 | 参加者数に応じて判断 | 画面に映らない参加者への配慮 | 「お忙しい中ご参加いただいた皆様」 |
役職者混在面接 | 最上位者宛て | 役職順を意識 | 各役職者への個別言及 |
エージェント経由 | 企業担当者宛て | エージェントへの報告も必要 | エージェント経由である旨を明記 |
状況別メールテンプレート|参考例文集
以下は、文化庁の敬語指針に基づいて作成した参考例文です。実際のご利用の際は、面接の内容や企業の特性に合わせて内容を調整することをおすすめします。
【基本パターン】個人名2〜3名判明の場合
件名:本日の面接御礼(◯◯大学・氏名) 株式会社◯◯ 人事部 田中太郎様・佐藤花子様・山田次郎様 本日はお忙しい中、貴重なお時間をいただき、 誠にありがとうございました。 ◯◯大学◯◯学部の◯◯と申します。 面接におきまして、貴社の事業戦略について詳しく伺うことができ、 入社への意欲がますます高まりました。 特に田中様からお聞かせいただいた「顧客第一主義の実践事例」は、 私が学生時代に取り組んだ◯◯活動の経験と通じるものがあり、 ぜひ貴社で活かしたいと強く感じました。 また、佐藤様や山田様からいただいた現場での貴重なお話も、 入社後のイメージを具体的に描くことができ、 大変勉強になりました。 本日の面接を通じて、貴社で成長していきたいという思いが 一層強くなりました。 今後ともどうぞよろしくお願いいたします。 ◯◯大学◯◯学部◯年 ◯◯ ◯◯ 電話:000-0000-0000 メール:example@university.ac.jp
【大人数面接】代表者宛て+同席者配慮パターン
件名:本日の面接御礼(氏名・応募職種) 株式会社◯◯ 人事部 採用担当 田中太郎様 本日はお忙しい中、面接のお時間をいただき、 誠にありがとうございました。 面接でお伺いした貴社の◯◯事業展開戦略につきまして、 深く感銘を受けました。 現職での◯◯業務で培った経験と実績を活かし、 貴社の更なる発展に貢献したいと強く感じております。 ご同席いただきました◯◯部の皆様、△△部の皆様にも、 お忙しい中お時間をいただき、心より感謝申し上げます。 それぞれの部署からの視点で貴社の魅力をお聞かせいただき、 ますます入社への意欲が高まりました。 恐れ入りますが、ご同席いただいた皆様にも よろしくお伝えいただけますと幸いです。 引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。 ◯◯ ◯◯(現職:株式会社◯◯ ◯◯部) 電話:000-0000-0000 メール:example@email.com
【オンライン面接】参加者不明確パターン
件名:本日のWeb面接御礼(氏名) 株式会社◯◯ 人事部 採用ご担当者各位 本日はWeb面接のお時間をいただき、 誠にありがとうございました。 オンラインでの面接という形式でしたが、 貴社の企業理念や事業内容について 詳しくお聞かせいただくことができました。 途中、音声が不安定になった際は失礼いたしました。 それにも関わらず、最後まで温かくご対応いただき、 心より感謝しております。 お忙しい中ご参加いただいた皆様のお話を通じて、 貴社で働きたいという気持ちが一層強くなりました。 画面を通じてお顔の見えなかった方々にも、 お忙しい中お時間をいただき、 ありがとうございました。 略儀ながらメールにて御礼申し上げます。 今後ともどうぞよろしくお願いいたします。 ◯◯ ◯◯ 電話:000-0000-0000 メール:example@email.com
【役職者混在】最終面接パターン
件名:本日の最終面接御礼(氏名) 株式会社◯◯ 代表取締役 ◯◯様 人事部長 △△様 本日は最終面接のお時間をいただき、 誠にありがとうございました。 ◯◯様から直接お聞かせいただいた貴社のビジョンに、 深く感銘を受けました。 私も貴社の一員として、そのビジョンの実現に向け、 持てる力を発揮したいという気持ちを強くいたしました。 △△部長からお伺いした現場でのお話も、 私にとって大変勉強になりました。 入社の際は、これまでの経験を活かし、 一日も早く戦力となれるよう努力いたします。 お忙しい中、貴重なお時間をいただきました すべての皆様に、重ねて御礼申し上げます。 ◯◯ ◯◯ 電話:000-0000-0000 メール:example@email.com
【エージェント経由】企業直接連絡パターン
件名:本日の面接御礼(◯◯エージェント経由・氏名) 株式会社◯◯ 人事部 採用担当 田中様 本日は◯◯エージェント様経由でのご紹介にて、 面接のお時間をいただき誠にありがとうございました。 田中様のお話を通じて、 貴社の◯◯事業への取り組みについて理解を深めることができ、 入社への意欲が一層高まりました。 特に「◯◯」についてのお考えをお聞かせいただき、 私のこれまでの経験を活かして貢献できる分野が 明確になったと感じております。 エージェント様には既にお礼をお伝えしておりますが、 直接田中様にもお礼申し上げたく、メールいたします。 引き続きよろしくお願いいたします。 ◯◯ ◯◯ 電話:000-0000-0000 メール:example@email.com
【グループ面接】応募者複数パターン
件名:本日のグループ面接御礼(氏名) 株式会社◯◯ 人事部 採用ご担当者各位 本日はグループ面接のお時間をいただき、 誠にありがとうございました。 他の応募者の方々と一緒に面接を受けさせていただく中で、 様々な視点からのご質問をいただき、 貴社について多角的に理解を深めることができました。 面接官の皆様からお聞かせいただいた 貴社の「◯◯」への取り組みに深く共感し、 ぜひ貴社の一員として貢献したいという思いを 強くいたしました。 短い時間でしたが、有意義な機会をいただき、 心より感謝申し上げます。 今後ともどうぞよろしくお願いいたします。 ◯◯ ◯◯ 電話:000-0000-0000 メール:example@email.com
【面接官名不明】各位使用パターン
件名:面接御礼(氏名・応募職種) 株式会社◯◯ 人事部 採用ご担当者各位 本日は面接のお時間をいただき、 誠にありがとうございました。 面接を通じて、貴社の企業理念である「◯◯」に 深く共感いたしました。 また、現場で活躍されている皆様のお話を伺い、 私も貴社の一員として貢献していきたいという 思いを強くいたしました。 お忙しい中、複数の方にお時間をいただき、 様々な視点からお話を聞かせていただけたこと、 心より感謝申し上げます。 略儀ながらメールにて御礼申し上げます。 今後ともどうぞよろしくお願いいたします。 ◯◯ ◯◯ 電話:000-0000-0000 メール:example@email.com
よくある間違いと正しい書き方
国立国語研究所の指針に基づき、面接後のお礼メールでよく見られる宛名の間違いをご紹介します。
間違った例 | 正しい例 | 理由・解説 |
---|---|---|
採用ご担当者各位様 | 採用ご担当者各位 | 「各位」は敬称のため「様」不要 |
株式会社◯◯ 御中 田中様 | 株式会社◯◯ 田中様 | 個人名がある場合「御中」使用不可 |
田中部長様・佐藤課長様 | 田中部長・佐藤課長 または 田中様・佐藤様 | 役職+様は二重敬語 |
田中様・佐藤・山田様 | 田中様・佐藤様・山田様 | 敬称は全員に統一して使用 |
様各位 | 各位 | 「様」と「各位」の併用は不可 |
田中様、佐藤様、山田様 | 田中様・佐藤様・山田様 | 読点ではなく中点を使用 |
特に注意すべき敬語のルール
実務で困るケース別対処法
面接現場で遭遇する複雑な状況への具体的な対処法をまとめました。
ケース1:面接官の名前を一部忘れた場合
ケース2:オンライン面接で参加者が途中で変わった場合
ケース3:役職が分からない複数面接官の場合
ケース4:新卒と中途の合同面接の場合
新卒・中途の違いと注意点
宛名の書き方は同じでも、新卒と中途では本文の内容や表現に違いがあります。それぞれのポイントを確認しましょう。
・大学名・学部・学年を件名と署名に明記することが一般的
・面接で学んだことや気づきを具体的に記載することが推奨されています
・入社への意欲と成長意欲を素直に表現することとされています
・学生時代の経験と関連付けて説明することが適切とされています
中途採用の場合のポイント
・現職・職種を簡潔に記載(詳細は不要とされています)
・即戦力として貢献できることを具体的に表現することが推奨されています
・転職理由や現職の不満には言及しないことが一般的です
・実績や経験を具体的な数字で示すことが有効とされています
送信前の最終チェックリスト
お礼メールを送信する前に、以下の項目を必ず確認して、ビジネスマナーに適った内容にしましょう。
□ 会社名・部署名・氏名にスペルミスがないか
□ 敬称が全員に統一して付いているか
□ 「各位様」「御中◯◯様」などの誤用がないか
□ 「役職+様」の二重敬語になっていないか
□ 連名時に中点(・)を使用しているか
□ 同席者への配慮の文言が含まれているか
□ 件名に用件と氏名が適切に記載されているか
□ 本文の敬語表現に間違いがないか
□ 署名(氏名・連絡先)が正確に記載されているか
□ 誤字脱字がないか再度確認
よくある質問
複数面接官の場合、全員に個別でお礼メールを送るべきですか?
基本的には不要です。代表者1名に宛てて、本文で他の面接官への感謝を表現するか、「各位」を使用することをおすすめします。全員に個別で送ると、同じような内容になりがちで事務的な印象を与える可能性があります。
面接官の名前を完全に忘れてしまった場合はどうすべきですか?
「採用ご担当者各位」または「人事部 御中」を使用します。無理に思い出そうとして間違った名前を書くリスクを避けることが最も重要です。本文で「本日面接をご担当いただいた皆様」と記載すれば、丁寧な印象を保てます。
オンライン面接で参加者が途中で変わった場合の対応は?
把握している主要な参加者に宛てて送り、本文で「途中でご参加いただいた皆様にも感謝申し上げます」という配慮の文言を含めます。オンライン面接特有の状況として、画面外の参加者への言及も適切です。
「各位様」という表記は本当に間違いですか?
はい、間違いです。「各位」は「皆様方それぞれ」という意味で、それ自体が敬語表現です。そのため「様」を重ねる必要はありません。これは文化庁の「敬語の指針」でも明確に示されています。
役職名と「様」を同時に使うのはなぜ間違いですか?
「部長様」「課長様」は二重敬語にあたるためです。役職名自体に敬意が含まれているため、「田中部長」または「田中様」のどちらか一方を選択してください。ただし、社外の方に対しては「田中様」の方が適切とされています。
グループ面接の場合、他の応募者への配慮は必要ですか?
宛名には影響しませんが、本文では「他の応募者の皆様と一緒に面接を受けさせていただき」など、グループ面接であったことを自然に記載することで、状況を理解していることを示せます。
最終面接で役員が複数参加した場合の宛名は?
最上位の役職者(代表取締役など)を筆頭に、「代表取締役 ◯◯様・人事部長 △△様」のように役職順で連名にします。4名以上の場合は代表取締役宛てで送り、本文で他の役員への感謝を表現してください。
まとめ
複数面接官へのお礼メールの宛名について、文化庁「敬語の指針」と国立国語研究所の敬称に関する指針に基づいて、基本的な書き方をご紹介します。
- 2〜3名判明:各氏名+「様」で列記することが一般的
- 4名以上・一部不明:代表者宛て または 「各位」を使用することが推奨されています
- 部署のみ判明:組織宛て「御中」を使用することとされています
- 共通ルール:敬称の統一・二重敬語の回避・併用禁止の遵守が求められます
- 特殊ケース:オンライン面接や役職者混在時の配慮も必要とされています
この記事では、文化庁の敬語指針に基づいた宛名の書き方をご紹介しました。面接後のお礼メール自体の送付については、企業や採用担当者によって見解が分かれるため、送付の判断は個々の状況に応じて行うことが望ましいとされています。
参考文献・引用情報