見積書を受け取った後、「どのような返信をすればよいか」「お礼メールは必要なのか」と迷う方は多いでしょう。適切なお礼メールは、取引先との信頼関係を築き、円滑なビジネス進行を実現する重要なコミュニケーションです。
本記事では、見積もりお礼メールの基本マナーから、状況別に使い分けできる実用的なテンプレートまで、ビジネス現場ですぐに活用できる内容を解説します。
・見積もりお礼メールの基本マナーと適切な送信タイミング
・状況に応じて使い分けできる実用的なテンプレート12選
・相手に好印象を与える文章作成のポイント
・よくある失敗を避ける注意点とチェック方法
参考:見積もりお断りメールの書き方|関係を損なわない断り方とコピペで使えるテンプレート例文15選
参考:【例文14選】見積もりの値引き交渉メール完全ガイド|失礼なく通る書き方と法令遵守のポイント
参考:見積もり依頼返信メールの書き方|当日中に送るべき15のテンプレート例文集
参考:価格交渉メールの書き方|コピペで使えるテンプレート例文15選と成功の秘訣
参考:価格表送付メールの書き方完全ガイド|件名・テンプレート例文・添付の注意点を解説
見積もりお礼メールの重要性
見積書を受け取った際のお礼メールは、ビジネスマナーとして重要な役割を果たします。メールを送ることで、以下の効果が期待できます。
1. 受領確認の役割
相手に見積書が確実に届いたことを伝え、安心感を与えます
2. 信頼関係の構築
迅速で丁寧な対応により、誠実なビジネスパートナーとしての印象を与えます
3. 今後の流れの明確化
検討期間や回答予定日を伝えることで、双方の期待値を合わせられます
見積もりお礼メールの基本構成
効果的なお礼メールは、以下の5つの要素で構成されます。この順序を守ることで、相手に伝わりやすく、好印象を与えるメールが作成できます。
順序 | 構成要素 | 目的 | 記載例 |
---|---|---|---|
1 | 件名 | 内容の明確化 | 【受領確認】見積書ありがとうございます |
2 | 宛名 | 相手への敬意 | 【会社名】【部署名】【氏名】様 |
3 | お礼と受領確認 | 感謝の表明と確認 | 見積書をお送りいただき、ありがとうございます |
4 | 今後の対応 | 次のステップの明示 | ○月○日までに検討結果をご連絡いたします |
5 | 署名 | 連絡先の明示 | 会社名・部署・氏名・連絡先 |
適切な送信タイミング
見積もりお礼メールは、受領後できるだけ早く送ることが重要です。適切なタイミングでの返信により、相手に良い印象を与えることができます。
理想:見積書受領当日(営業時間内)
許容範囲:見積書受領から2営業日以内
注意点:深夜・早朝・休日の送信は避ける
遅れた場合:「お返事が遅くなり申し訳ございません」の一文を追加
状況別テンプレート12選
見積もりを受け取った後の状況に応じて使い分けできる、実用的なテンプレートをご紹介します。【】の部分を実際の内容に変更するだけで、適切なお礼メールが完成します。
基本パターン(テンプレート1-4)
1. 標準受領確認メール(最も使用頻度が高い基本型)
件名:【受領確認】見積書ありがとうございます(【自社名】【氏名】) 【会社名】【部署名】 【氏名】様 いつもお世話になっております。 【自社名】の【氏名】です。 この度は見積書をお送りいただき、誠にありがとうございます。 ■受領内容の確認 ・見積書番号:【番号】 ・金額:【金額】円(税込) ・有効期限:【年月日】 ・納期:【期間】 内容を確認させていただき、社内で検討いたします。 【検討期限】までに回答させていただきますので、 お待ちいただけますでしょうか。 検討中にご質問させていただくこともあるかと存じますが、 その際はよろしくお願いいたします。 —————————————————————————————————————— 【会社名】【部署】 【氏名】 E-mail:【アドレス】 TEL:【番号】|携帯:【番号】 ——————————————————————————————————————
2. 高額案件向け丁寧版(重要取引先・高額案件用)
件名:【重要案件】見積書受領のご連絡 【会社名】【部署名】 【氏名】様 平素より格別のお世話になっております。 【自社名】の【氏名】です。 【案件名】に関する詳細な見積書をお送りいただき、 誠にありがとうございます。 【氏名】様ならびに貴社チームの皆様にお時間をかけて ご検討いただいた内容を拝見させていただいております。 ■見積もり概要 ・案件名:【案件名】 ・総額:【金額】円(税込) ・実施期間:【期間】 ・その他条件:【特記事項】 弊社としても重要な案件と位置づけており、 社内での検討・承認プロセスを経て、 【検討期限】までには正式な回答を差し上げる予定です。 検討過程でご質問や追加資料のご依頼を させていただくこともあるかと存じますが、 引き続きご協力のほどよろしくお願いいたします。 —————————————————————————————————————— 【会社名】【部署】 【氏名】 E-mail:【アドレス】 TEL:【番号】|携帯:【番号】 ——————————————————————————————————————
3. 急ぎ案件向けスピード重視版
件名:【至急案件】見積書受領のお礼 【会社名】【部署名】 【氏名】様 お世話になっております。【自社名】の【氏名】です。 急ぎの案件にも関わらず、迅速に見積書をお送りいただき、 ありがとうございます。 ■受領内容 ・金額:【金額】円(税込) ・納期:【期間】 ・特急対応:【対応内容】 緊急性を重視いただいた内容で、大変助かります。 【検討期限】までに社内確認を完了し、 【回答期限】にはご回答いたします。 迅速なご対応に心より感謝いたします。 —————————————————————————————————————— 【会社名】【部署】 【氏名】 E-mail:【アドレス】 TEL:【番号】|携帯:【番号】 ——————————————————————————————————————
4. 簡潔版(当日中の速報用)
件名:見積書受領のお礼(まずはご連絡まで) 【会社名】【部署名】 【氏名】様 お世話になっております。【自社名】の【氏名】です。 見積書をお送りいただき、ありがとうございます。 確かに受領いたしました。 内容を確認の上、改めてご連絡いたします。 まずは受領のご連絡まで申し上げます。 —————————————————————————————————————— 【会社名】【部署】 【氏名】 E-mail:【アドレス】 TEL:【番号】|携帯:【番号】 ——————————————————————————————————————
質問・確認パターン(テンプレート5-7)
5. 技術的質問メール(詳細確認が必要な場合)
件名:【確認事項】見積書の内容について 【会社名】【部署名】 【氏名】様 いつもお世話になっております。【自社名】の【氏名】です。 詳細な見積書をありがとうございます。 内容を検討する中で、以下の点について確認させてください。 ■確認事項 1. 【質問項目1】 【具体的な質問内容】 2. 【質問項目2】 【具体的な質問内容】 お手数をおかけしますが、【回答期限】までに ご回答いただければ検討を進められます。 よろしくお願いいたします。 —————————————————————————————————————— 【会社名】【部署】 【氏名】 E-mail:【アドレス】 TEL:【番号】|携帯:【番号】 ——————————————————————————————————————
6. 条件調整相談メール(予算・納期等の調整)
件名:【条件調整のご相談】見積書の件 【会社名】【部署名】 【氏名】様 いつもお世話になっております。【自社名】の【氏名】です。 見積書をありがとうございます。 内容・品質ともに申し分ないのですが、 以下の点についてご相談があります。 ■調整希望事項 【調整項目】:【現在の条件】→【希望条件】 【調整理由】:【具体的な理由】 上記のような調整は可能でしょうか。 弊社としても可能な限り調整いたしますので、 ご検討いただければ幸いです。 —————————————————————————————————————— 【会社名】【部署】 【氏名】 E-mail:【アドレス】 TEL:【番号】|携帯:【番号】 ——————————————————————————————————————
7. 競合比較検討メール(複数社比較中の場合)
件名:【検討状況のご報告】見積書の件 【会社名】【部署名】 【氏名】様 お世話になっております。【自社名】の【氏名】です。 見積書をありがとうございます。 現在、複数社様からお見積もりをいただいており、 慎重に比較検討を行っております。 つきましては、貴社の特徴や強みについて 改めて教えていただけませんでしょうか。 ■特にお聞きしたい点 ・【比較ポイント1】 ・【比較ポイント2】 【検討期限】までにご回答いただければ 検討に反映させていただきます。 —————————————————————————————————————— 【会社名】【部署】 【氏名】 E-mail:【アドレス】 TEL:【番号】|携帯:【番号】 ——————————————————————————————————————
結果連絡パターン(テンプレート8-12)
8. 採用決定連絡メール(発注決定の場合)
件名:【発注決定】見積書の件 【会社名】【部署名】 【氏名】様 いつもお世話になっております。【自社名】の【氏名】です。 先日は見積書をお送りいただき、ありがとうございました。 社内で検討いたしました結果、 貴社にお願いすることを正式に決定いたしました。 ■採用の理由 ・【選定理由1】 ・【選定理由2】 契約書等の準備を進めますので、 【打ち合わせ希望日】にお打ち合わせの機会を いただけませんでしょうか。 ■候補日程 ・【候補日1】 ・【候補日2】 ・【候補日3】 プロジェクト成功に向けて、 よろしくお願いいたします。 —————————————————————————————————————— 【会社名】【部署】 【氏名】 E-mail:【アドレス】 TEL:【番号】|携帯:【番号】 ——————————————————————————————————————
9. 丁寧な不採用連絡メール(関係性維持重視)
件名:【検討結果のご連絡】見積書の件 【会社名】【部署名】 【氏名】様 いつもお世話になっております。【自社名】の【氏名】です。 先日は詳細な見積書をお送りいただき、 誠にありがとうございました。 社内で慎重に検討させていただきました結果、 今回は見送らせていただくこととなりました。 【氏名】様には貴重なお時間を割いて 丁寧にご対応いただいたにも関わらず、 このような結果となり申し訳ございません。 今回のご提案内容は技術的にも優れており、 弊社にとって大変勉強になりました。 今後機会がございましたら、 ぜひお声がけさせていただきたく存じます。 この度は本当にありがとうございました。 —————————————————————————————————————— 【会社名】【部署】 【氏名】 E-mail:【アドレス】 TEL:【番号】|携帯:【番号】 ——————————————————————————————————————
10. 保留・延期連絡メール(検討期間延長の場合)
件名:【検討期間延長のお願い】見積書の件 【会社名】【部署名】 【氏名】様 お世話になっております。【自社名】の【氏名】です。 見積書をお送りいただき、ありがとうございます。 当初【元の期限】にご回答予定とお伝えしましたが、 【延長理由】により、検討期間を延長させていただければと思います。 ■新しいスケジュール ・【重要会議等】:【日時】 ・ご回答期限:【新しい期限】 見積書の有効期限についても、 可能でしたら【延長希望期限】まで延長していただければ 助かります。 ご迷惑をおかけして申し訳ございませんが、 ご理解のほどよろしくお願いいたします。 —————————————————————————————————————— 【会社名】【部署】 【氏名】 E-mail:【アドレス】 TEL:【番号】|携帯:【番号】 ——————————————————————————————————————
11. 一部採用・分割発注メール(部分的な採用の場合)
件名:【部分採用のご相談】見積書の件 【会社名】【部署名】 【氏名】様 いつもお世話になっております。【自社名】の【氏名】です。 見積書をありがとうございます。 ご提案いただいた内容のうち、 以下の項目についてお願いしたく存じます。 ■採用希望項目 ・【採用項目1】:【金額】 ・【採用項目2】:【金額】 ■今回見送り項目 ・【見送り項目】:【理由】 一部のみの採用となり恐縮ですが、 ご対応いただけますでしょうか。 —————————————————————————————————————— 【会社名】【部署】 【氏名】 E-mail:【アドレス】 TEL:【番号】|携帯:【番号】 ——————————————————————————————————————
12. 価格交渉メール(WIN-WIN追求型)
件名:【価格調整のご相談】見積書の件 【会社名】【部署名】 【氏名】様 いつもお世話になっております。【自社名】の【氏名】です。 詳細な見積書をありがとうございます。 内容・品質ともに申し分なく、 ぜひ貴社にお願いしたいのですが、 予算についてご相談があります。 ■現在の状況 ・ご提示額:【金額】円 ・予算上限:【金額】円 ・差額:【金額】円 以下の方法で調整は可能でしょうか。 ・【調整案1】:【具体的な内容】 ・【調整案2】:【具体的な内容】 弊社としても可能な限り調整いたしますので、 お互いにとって良い形で進められればと思います。 ご検討のほどよろしくお願いいたします。 —————————————————————————————————————— 【会社名】【部署】 【氏名】 E-mail:【アドレス】 TEL:【番号】|携帯:【番号】 ——————————————————————————————————————
見積もりお礼メールの注意点
効果的なお礼メールを作成するために、以下の注意点を押さえておきましょう。
NG例(不適切) | OK例(推奨) | 理由 |
---|---|---|
見積もりの件 | 【受領確認】見積書ありがとうございます | 具体的で分かりやすい件名にする |
検討します | ○月○日までに検討結果をご連絡します | 具体的な期日を明示する |
高すぎます | 予算調整についてご相談があります | 建設的な表現で関係を維持する |
お疲れさまでした | お忙しい中ありがとうございます | 社外には「お疲れさま」は不適切 |
取り急ぎ | まずは受領のご連絡まで | 丁寧で適切な表現にする |
送信前のチェックリスト
メール送信前に必ず確認すべき項目をまとめました。
☐ 件名で内容が明確に分かるか
☐ 宛先・会社名・部署名・氏名が正確か
☐ 見積番号・金額・期限の記載に誤りがないか
☐ 次のアクション(回答期限等)が明記されているか
☐ 感謝の気持ちが適切に表現されているか
☐ 質問事項が具体的で答えやすい形になっているか
☐ 敬語の使い方が適切で統一されているか
☐ 誤字・脱字がないか
☐ 連絡先情報(電話・メール)が正確に記載されているか
☐ 送信タイミングが営業時間内の適切な時間帯か
よくある質問
見積もりお礼メールは必ず送る必要がありますか?
必須ではありませんが、ビジネスマナーとして送ることを推奨します。見積書を受け取ったことを相手に伝え、今後の流れを明確にすることで、双方にとってスムーズな取引につながります。特に重要な案件や継続的な取引を希望する相手には、必ず送りましょう。
どのテンプレートを選べばよいか迷います。判断基準を教えてください。
現在の状況に応じて選択してください。見積書を受け取ったばかりなら「標準受領確認メール」、質問がある場合は「技術的質問メール」、結果が決まった場合は「採用決定」または「不採用連絡」メールを使用します。迷った場合は、最も基本的な「標準受領確認メール」から始めることをお勧めします。
見積もりを断る際のお礼メールで注意すべき点は?
断る場合でも感謝の気持ちを必ず伝え、今後の関係継続への意思を示すことが重要です。「今回は見送らせていただきますが、今後機会がございましたらお声がけします」といった表現で、関係性を維持する姿勢を示しましょう。また、断る理由は簡潔に留め、相手を批判するような表現は避けてください。
見積もり金額が予算オーバーの場合、どのように伝えればよいですか?
「高すぎます」といった直接的な表現は避け、「予算調整についてご相談があります」として建設的に伝えましょう。具体的な予算上限を示し、仕様変更や段階的導入などの代替案を提案することで、双方にとって最適な解決策を模索する姿勢が大切です。
見積もりお礼メールに返信がない場合、フォローアップすべきですか?
お礼メールは基本的に返信を求めるものではないため、返信がなくても問題ありません。ただし、質問をしている場合や重要な案件の場合は、1週間程度経過後に「ご多忙の中恐れ入ります」といった配慮のある表現でフォローアップすることをお勧めします。
複数社への見積もり依頼をしている場合、その旨を伝えるべきですか?
複数社検討中であることを伝えることは問題ありません。「複数社様からお見積もりをいただいており、慎重に検討しております」といった表現で、公正な比較検討を行っていることを示すことで、かえって相手の信頼を得られる場合もあります。
見積もりお礼メールの適切な文章量はどの程度ですか?
案件の重要度により調整が必要ですが、一般的には200-400字程度が適切です。簡潔すぎると感謝の気持ちが伝わりにくく、長すぎると相手の負担になります。必要な情報を過不足なく伝えることを心がけ、相手の立場を考慮した文章量にしましょう。
急ぎの案件で見積もりを依頼した場合、お礼メールはどうすべきですか?
急ぎ案件の場合は、迅速な対応への感謝を必ず表現しましょう。「急ぎの案件にも関わらず迅速にご対応いただき」といった文言を入れ、相手の努力を認めることが重要です。また、こちらも迅速に検討・回答することを約束し、具体的な期限を示すことで相手の安心感につながります。
まとめ
見積もりお礼メールは、ビジネス関係を円滑にし、取引先との信頼関係を築く重要なコミュニケーションツールです。適切なタイミングで、状況に応じたテンプレートを活用することで、相手に好印象を与え、スムーズな取引進行を実現できます。
1. 迅速な対応:受領から2営業日以内の返信で信頼獲得
2. 明確な構成:5つの基本要素で分かりやすいメール作成
3. 具体的な内容:見積番号・金額・期限を正確に記載
4. 適切な表現:相手への敬意を示す丁寧で正確な敬語
5. 次ステップの明示:検討期限や今後の流れを明確に伝達
この記事で紹介した12のテンプレートとポイントを活用して、あなたのビジネスシーンに最適な見積もりお礼メールを作成してください。適切なコミュニケーションにより、ビジネス成功と継続的な成長を実現していきましょう。
参考文献・引用情報
- 見積書のお礼メールは返信が必要?例文や書き方、注意点を解説 | マネーフォワード クラウド
- 見積もり決定メールの書き方は?発注する場合や断る場合などの文例を紹介! – バクラク
- 見積書メールへの返信の仕方とは?注意点を場面ごとに見本付きで解説 | TOKIUM
- 見積書の送付メールに対する返信は?文例とポイントを解説 | マネーフォワード クラウド請求書