稟議メールの書き方|失礼にならない例文テンプレート15選

ビジネス連絡

「稟議をメールで依頼したいけれど、どのように書けば失礼にならないのかわからない」「上司に稟議メールを送る際の正しいマナーを知りたい」

このような悩みを抱えるビジネスパーソンは少なくありません。稟議メールは、承認者が判断しやすいよう必要な情報を適切にまとめることが重要です。書き方やマナーを間違えると、承認が遅れたり差し戻しになったりする可能性があります。

本記事では、稟議メールの基本的な書き方から失礼にならないマナーまで、実務でそのまま使えるテンプレート15選とともに詳しく解説します。件名の付け方、本文の構成、催促メールの送り方まで網羅的にご紹介しますので、適切な稟議メールを作成できるようになります。

この記事で身につけられること
・稟議メールの正しい書き方とビジネスマナー
・失礼にならない表現方法と構成
・状況別のテンプレート15選
・催促メールの適切な送り方

稟議メールとは

稟議メールとは、自身の権限だけでは決定できない事案について、メール形式で上司や関係者に承認を求める手続きのことです。従来の紙ベースによる稟議書に代わり、効率的な意思決定を実現する手段として多くの企業で活用されています。

稟議メールの対象となる主な案件は以下のようなものです。ただし、稟議が必要な金額や案件は企業により異なるため、必ず社内規程を確認してください。

稟議の種類 具体例 一般的な基準例
備品・設備購入 PC、オフィス機器、システム導入 企業により異なる
契約締結 新規取引先との契約、保守契約 金額問わず要承認の場合が多い
人事関連 採用、昇進、転勤 組織変更を伴う場合
接待・会食 取引先との懇親会、接待費 企業の接待規程による

稟議メールのメリット

稟議メールには以下のようなメリットがあります。承認プロセスの時間短縮が期待でき、紙の稟議書では承認者への回覧に時間がかかりますが、メールであれば即座に送信できます。また承認者も外出先からでも確認・承認が可能です。

進捗状況の可視化も重要なポイントです。誰がいつ承認したかを記録として残せるため、承認プロセスの透明性向上につながります。さらに、ペーパーレス化により印刷費用や郵送費の削減も期待できます。

稟議メール導入の背景
近年、働き方の多様化に伴い、電子決裁やメール稟議を導入する企業が増えています。特にテレワーク環境では、物理的な書類のやり取りが困難なため、デジタル化が進んでいます。

稟議メールの基本構成

適切な稟議メールには、承認者が迅速に判断できるよう必要な要素を適切な順序で配置することが重要です。基本構成は以下の7つの要素で構成されます。

順序 構成要素 目的 記載内容
件名 一目で内容を把握 稟議の種類・金額・期限
宛名・挨拶 関係性の確認 部署名・役職・氏名
依頼の趣旨 稟議の目的を明示 何についての承認依頼か
詳細内容 判断材料の提供 目的・背景・金額・効果
期限・スケジュール 緊急性の伝達 承認期限・理由
添付資料 詳細情報の補足 見積書・提案書等
署名 連絡先の明示 部署・氏名・連絡先

件名の付け方

稟議メールの件名は、承認者が内容と優先度を瞬時に判断できるよう工夫する必要があります。件名には「稟議の種類」「金額」「期限」の要素を含めることを推奨します。

件名の例:

  • 【稟議依頼】PC購入(30万円)/承認期限:3月15日
  • 【稟議】システム導入契約締結について(500万円)
  • 【至急稟議】備品購入(15万円)/本日中要回答

避けるべき件名の例:

  • 稟議について(内容が不明確)
  • お疲れ様です(挨拶のみで要件不明)
  • 重要(緊急性はわかるが内容不明)

状況別稟議メールテンプレート15選

実際のビジネスシーンで使える稟議メールのテンプレートを状況別にご紹介します。各テンプレートは参考例として作成していますので、実際の金額や条件は貴社の状況に合わせて調整してください。

1. 備品購入の稟議メール

件名:【稟議依頼】PC購入(30万円)/承認期限:○月○日

○○部長

いつもお世話になっております。
△△課の□□です。

下記の通り、業務用PC購入について稟議承認をお願いいたします。

■購入目的
現在使用中のPCが購入から5年経過し、動作速度の低下により業務効率に支障をきたしているため、新規購入を希望いたします。

■購入予定機器
・機種:○○社製 ××シリーズ
・台数:3台
・単価:100,000円(税込)
・総額:300,000円(税込)

■期待される効果
・作業効率の改善
・システム処理速度の向上によるクライアント対応時間の短縮
・セキュリティ機能の強化

■購入スケジュール
・承認期限:○月○日(金)
・発注予定:○月○日(月)
・納期:○月○日(金)

添付資料として見積書とスペック比較表をお送りいたします。
ご不明な点がございましたら、お気軽にお声がけください。

ご承認のほど、何卒よろしくお願いいたします。

――――――――――――――――――――――
○○株式会社 △△部
□□ □□
TEL:03-0000-0000
E-mail:○○@example.co.jp
――――――――――――――――――――――

2. システム導入の稟議メール

件名:【稟議依頼】顧客管理システム導入(年額240万円)

○○取締役

いつもお世話になっております。
営業部の○○です。

顧客管理システム導入について、以下の通り稟議承認をお願いいたします。

■導入背景・目的
現在の顧客情報管理は表計算ソフトで行っており、以下の課題があります。
・顧客情報の重複・漏れの発生
・営業活動の進捗把握の困難
・データ共有に時間を要する

これらの課題解決のため、専用の顧客管理システム導入を提案いたします。

■導入システム概要
・システム名:○○CRM
・提供会社:△△株式会社
・利用人数:20名
・年額費用:2,400,000円(月額200,000円)

■期待される効果
・顧客情報の一元管理による営業効率の改善
・営業活動分析による戦略立案の精度向上
・情報共有の円滑化

■想定されるリスクと対策
・初期設定・操作研修に3ヶ月程度を要する
→専任担当者を配置し、段階的導入で対応

導入開始は4月を予定しており、○月○日までにご承認いただければと存じます。

詳細資料を添付いたしますので、ご検討のほどよろしくお願いいたします。

――――――――――――――――――――――
○○株式会社 営業部
○○ ○○
TEL:03-0000-0000
E-mail:○○@example.co.jp
――――――――――――――――――――――

3. 契約締結の稟議メール

件名:【稟議依頼】△△株式会社との業務委託契約締結について

○○常務

いつもお世話になっております。
事業開発部の○○です。

下記の通り、新規業務委託契約の締結について稟議承認をお願いいたします。

■契約相手先
・会社名:△△株式会社
・代表者:□□ □□
・資本金:5,000万円
・従業員数:150名
・設立:平成15年

■契約内容
・業務内容:Webシステム開発業務
・契約期間:令和○年○月○日~令和○年○月○日(1年間)
・契約金額:年額6,000,000円(税込)
・支払条件:月末締め翌月末支払い

■契約締結の理由
・自社開発リソース不足の解消
・専門技術者による品質向上
・開発期間短縮による市場投入の早期化

■相手先企業の概要
・財務状況:安定した経営状況(売上高20億円)
・取引実績:大手企業との継続取引実績あり
・技術力:業界内での評価が高く、特許技術も保有

■契約のメリット・デメリット
【期待されるメリット】
・開発コストの削減
・開発期間の短縮
・技術ノウハウの習得機会

【想定されるリスク・対策】
・情報漏洩リスク→機密保持契約を別途締結
・品質管理→定期的な進捗確認ミーティング実施

契約開始予定日の関係で、○月○日までにご承認いただけますと幸いです。

契約書案と相手先企業資料を添付いたします。
ご審議のほど、よろしくお願いいたします。

――――――――――――――――――――――
○○株式会社 事業開発部
○○ ○○
TEL:03-0000-0000
E-mail:○○@example.co.jp
――――――――――――――――――――――

4. 接待費の稟議メール

件名:【稟議依頼】○○社との懇親会費用(8万円)

○○部長

いつもお世話になっております。
営業部の○○です。

下記の通り、重要取引先との懇親会費用について稟議承認をお願いいたします。

■懇親会の目的
・○○社との関係強化
・新プロジェクトに関する情報交換
・長期パートナーシップの構築

■懇親会詳細
・日時:○月○日(金)19:00~21:00
・場所:○○ホテル 日本料理「○○」
・参加者:先方3名、当方3名 計6名
・予算:80,000円(一人当たり約13,000円)

■取引先情報
・会社名:○○株式会社
・取引実績:継続的な取引関係
・今回商談案件:新システム開発プロジェクト

■懇親会の必要性
・競合他社も同案件を検討しており、関係強化が重要
・キーパーソンとの信頼関係構築
・今後の継続的な取引関係の維持

懇親会開催予定日まで1週間を切っておりますので、
○月○日(火)までにご承認いただけますでしょうか。

何かご不明な点がございましたら、お気軽にお声がけください。

ご承認のほど、よろしくお願いいたします。

――――――――――――――――――――――
○○株式会社 営業部
○○ ○○
TEL:03-0000-0000
E-mail:○○@example.co.jp
――――――――――――――――――――――

5. 採用の稟議メール

件名:【稟議依頼】中途採用(エンジニア1名)年収550万円

人事部長

いつもお世話になっております。
技術部の○○です。

下記の通り、中途採用について稟議承認をお願いいたします。

■採用理由・背景
・新プロジェクト開始により開発要員が不足
・特定技術(AI・機械学習)の専門知識を持つ人材が必要
・既存メンバーの育成では時間的に対応が困難

■候補者概要
・氏名:○○ ○○
・年齢:32歳
・学歴:○○大学工学部卒業
・職歴:△△株式会社(5年)、□□株式会社(3年)
・専門技術:Python、機械学習、深層学習

■雇用条件
・雇用形態:正社員
・年収:5,500,000円(基本給420万円+賞与130万円想定)
・入社予定日:○月○日

■期待される効果
・新プロジェクトの確実な推進
・技術ノウハウの社内蓄積
・他メンバーのスキル向上支援

■選考過程
・1次面接:技術部長(○○)
・2次面接:取締役技術担当(△△)
・最終面接:代表取締役(□□)
→全面接官が採用を推薦

プロジェクト開始の関係で、○月○日までにご承認いただけますと幸いです。

履歴書・職務経歴書・面接評価シートを添付いたします。
ご検討のほど、よろしくお願いいたします。

――――――――――――――――――――――
○○株式会社 技術部
○○ ○○
TEL:03-0000-0000
E-mail:○○@example.co.jp
――――――――――――――――――――――

6. 緊急修理の稟議メール

件名:【緊急稟議】サーバー修理費用(45万円)/本日要回答

システム管理責任者

いつもお世話になっております。
情報システム部の○○です。

メールサーバーの緊急修理について、至急稟議承認をお願いいたします。

■緊急事態の概要
本日午前9時頃、メールサーバーが停止し、全社的にメール送受信が不可能な状態となっております。

■修理内容・費用
・故障箇所:ハードディスク(RAID構成)
・修理費用:450,000円(部品代30万円+作業費15万円)
・修理業者:○○システムサービス株式会社
・修理期間:本日17時~翌日12時(19時間)

■業務への影響
・全社員(200名)のメール送受信停止
・顧客対応の遅延による影響
・営業活動への支障

■修理の緊急性
・メール業務は事業継続に必要不可欠
・修理が最も迅速な解決方法

■代替案との比較
・新サーバー購入:200万円(納期1週間)
・レンタル利用:月額20万円(設定に3日要する)
→修理が最も迅速かつ経済的

本日17時から修理開始予定のため、
15時までにご承認いただけますでしょうか。

見積書を添付いたします。
緊急事態につき、何卒ご理解とご承認をお願いいたします。

――――――――――――――――――――――
○○株式会社 情報システム部
○○ ○○
TEL:03-0000-0000(緊急時携帯:090-0000-0000)
E-mail:○○@example.co.jp
――――――――――――――――――――――

7. 研修費用の稟議メール

件名:【稟議依頼】営業スキル研修費用(20万円)

人事部長

いつもお世話になっております。
営業部の○○です。

下記の通り、営業部門研修の実施について稟議承認をお願いいたします。

■研修実施の背景・目的
・営業力強化への取り組み
・新入社員(5名)の早期戦力化
・営業手法の標準化とスキル向上

■研修概要
・研修名:実践営業スキルアップ研修
・実施機関:○○ビジネススクール
・期間:2日間(○月○日~○日)
・参加人数:営業部員10名
・費用:200,000円(一人当たり20,000円)

■研修内容
・顧客ニーズの引き出し方
・プレゼンテーション手法
・クロージング技術
・顧客フォローアップ方法

■期待される効果
・営業スキルの向上
・営業活動の効率化による新規開拓時間の確保
・チーム全体のモチベーション向上

■代替案との比較
・社内研修:費用は安いが専門性に限界
・個別外部研修:1人10万円×10名=100万円で費用増
→グループ研修が効率的

研修予約の関係で、○月○日までにご承認いただけますでしょうか。

研修カリキュラムと見積書を添付いたします。
ご検討のほど、よろしくお願いいたします。

――――――――――――――――――――――
○○株式会社 営業部
○○ ○○
TEL:03-0000-0000
E-mail:○○@example.co.jp
――――――――――――――――――――――

8. 複数部門合議の稟議メール

件名:【合議稟議】新オフィス移転計画(年額4,800万円)

各部門長 各位

いつもお世話になっております。
総務部の○○です。

下記の通り、新オフィス移転について関係部門での合議をお願いいたします。

■移転の背景・目的
・現オフィスの狭隘化(従業員数150名→200名予定)
・賃料上昇による経費への影響(現在月額350万円)
・設備老朽化によるメンテナンス費増加

■移転先候補物件
・所在地:○○区○○町○-○-○ ○○ビル8階
・面積:1,200㎡(現在900㎡)
・賃料:月額400万円(年額4,800万円)
・駅からの距離:徒歩3分(現在徒歩8分)

■各部門への影響・変化点
【営業部】
・会議室4室→6室に増加
・来客対応スペースの充実

【技術部】
・開発エリアの拡充
・サーバールームの新設

【管理部門】
・保管スペースの確保
・レイアウトの効率化

■移転費用概算
・引越し費用:500万円
・内装工事:1,200万円
・新規設備:300万円
・合計:2,000万円

■スケジュール(案)
・○月:移転先決定
・○月:現オフィス解約通知
・○月:内装工事開始
・○月:移転完了

各部門での検討事項がございましたら、○月○日までにご意見をお聞かせください。

詳細資料(物件概要・レイアウト案・収支計算書)を添付いたします。
ご検討のほど、よろしくお願いいたします。

――――――――――――――――――――――
○○株式会社 総務部
○○ ○○
TEL:03-0000-0000
E-mail:○○@example.co.jp
――――――――――――――――――――――

9. 差し戻し対応の稟議メール

件名:【再申請】Webサイトリニューアル稟議(修正版)

マーケティング部長

いつもお世話になっております。
企画部の○○です。

先日差し戻しをいただきましたWebサイトリニューアルの件につき、
ご指摘事項を修正の上、再申請いたします。

■前回からの主な修正点
1. 効果測定指標の具体化
   - 具体的な測定方法と評価基準を明記
   - 定期的な効果検証スケジュールを追加

2. 競合他社比較の追加
   - A社:月額30万円で類似サービス
   - B社:一括300万円で同等規模
   - 当提案:一括180万円でより高機能

3. リスク対策の詳細化
   - サイト移行時のSEO影響:段階的移行で最小化
   - システム障害対策:バックアップサイト準備
   - 納期遅延リスク:週次進捗確認で管理

■改めての提案内容
・リニューアル費用:1,800,000円
・制作期間:3ヶ月
・制作会社:○○デザイン株式会社
・保守費用:月額50,000円

■追加検討した代替案
・自社制作:費用は安いが品質・期間に課題
・大手制作会社:品質は高いが費用が300万円超
→中堅専門会社が品質・費用・期間のバランス良好

前回ご指摘いただいた点を踏まえ、より詳細な検討を行いました。
○月○日までにご判断いただけますでしょうか。

修正版提案書と効果測定計画書を添付いたします。
再度のご検討をよろしくお願いいたします。

――――――――――――――――――――――
○○株式会社 企画部
○○ ○○
TEL:03-0000-0000
E-mail:○○@example.co.jp
――――――――――――――――――――――

10. 承認完了の報告メール

件名:【承認完了】PC購入稟議/発注手続き開始

○○部長

いつもお世話になっております。
△△課の○○です。

PC購入稟議につきまして、ご承認いただきありがとうございました。
承認完了のご報告と今後の手続きについてお知らせいたします。

■承認完了事項
・稟議内容:業務用PC 3台購入
・金額:300,000円(税込)
・承認日:○月○日

■今後のスケジュール
・発注手続き:○月○日(月)
・納期:○月○日(金)予定
・設置・設定:○月○日(月)
・運用開始:○月○日(火)

■発注先・納期
・発注先:○○商事株式会社
・担当者:△△様(TEL:03-0000-0000)
・納期:発注より5営業日

設置完了後、導入結果について3ヶ月後に報告書を提出いたします。

迅速なご承認をいただき、誠にありがとうございました。
何かご不明な点がございましたら、お気軽にお声がけください。

――――――――――――――――――――――
○○株式会社 △△部
○○ ○○
TEL:03-0000-0000
E-mail:○○@example.co.jp
――――――――――――――――――――――

11. 予算変更の稟議メール

件名:【稟議依頼】広告予算追加(200万円)/第3四半期分

マーケティング部長

いつもお世話になっております。
宣伝課の○○です。

下記の通り、広告予算の追加について稟議承認をお願いいたします。

■予算追加の背景
・新商品○○の売上が当初予想を上回る状況
・競合他社の積極的な宣伝展開
・第3四半期の売上最大化のため追加投資を検討

■現在の予算状況
・年間予算:8,000,000円
・上半期使用額:4,500,000円
・下半期予算残:3,500,000円
・追加要求額:2,000,000円

■追加予算の使途
・Web広告:1,200,000円
・雑誌広告:500,000円
・イベント・展示会:300,000円

■期待される効果
・認知度向上による売上拡大
・競合他社に対する優位性の確保
・ブランドイメージの向上

■競合状況
・A社:月額広告費を増額
・B社:新商品プロモーションに積極投資
→当社も継続的な広告展開が必要

第3四半期開始の○月○日から実行したく、
○月○日までにご承認いただけますでしょうか。

広告計画書と効果測定方法を添付いたします。
ご検討のほど、よろしくお願いいたします。

――――――――――――――――――――――
○○株式会社 宣伝課
○○ ○○
TEL:03-0000-0000
E-mail:○○@example.co.jp
――――――――――――――――――――――

12. 外部委託の稟議メール

件名:【稟議依頼】経理業務外部委託(月額15万円)

経理部長

いつもお世話になっております。
経理課の○○です。

下記の通り、経理業務の一部外部委託について稟議承認をお願いいたします。

■外部委託の背景・理由
・経理担当者の退職により人員不足(3名→2名)
・業務量増加に伴う処理負荷の増大
・専門性の高い税務処理への対応強化

■委託予定業務
・日次売掛金管理
・月次試算表作成
・税務申告書作成支援
・年末調整業務

■委託先候補
・事務所名:○○会計事務所
・代表者:公認会計士 △△ △△
・実績:中小企業の顧客多数
・費用:月額150,000円

■委託のメリット
・専門家による正確な処理でリスク軽減
・経理部員の業務負荷軽減
・より高度な業務へのリソース集中が可能

■費用比較
・新規採用:年収400万円+社会保険等で年額約500万円
・外部委託:年額180万円
→人件費と比較してコスト削減効果

■情報管理・セキュリティ
・機密保持契約の締結
・データ授受の暗号化
・アクセス権限の厳格管理

○月からの委託開始を予定しており、○月○日までにご承認いただけますでしょうか。

委託契約書案と事務所概要を添付いたします。
ご検討のほど、よろしくお願いいたします。

――――――――――――――――――――――
○○株式会社 経理課
○○ ○○
TEL:03-0000-0000
E-mail:○○@example.co.jp
――――――――――――――――――――――

13. 設備投資の稟議メール

件名:【稟議依頼】生産設備更新投資(2,500万円)

製造部長

いつもお世話になっております。
生産技術課の○○です。

下記の通り、生産設備の更新投資について稟議承認をお願いいたします。

■設備更新の必要性
・現在の設備は導入から15年経過し、故障頻度が増加
・保守部品の調達が困難になり、停止リスクが高まる
・品質要求の高度化に現設備では対応困難

■更新予定設備
・設備名:○○加工機 △△型
・メーカー:□□株式会社
・生産能力:現在の1.5倍の処理能力
・設備費:25,000,000円

■期待される効果
・生産能力の向上
・不良率の削減
・稼働率の向上(故障時間減少)

■投資の妥当性
・設備の老朽化により修理費が年々増加
・競合他社との品質競争力維持が必要
・長期的な事業継続のための投資

■導入スケジュール
・発注:○月○日
・納期:○月○日
・設置・調整:○月○日~○月○日
・本格稼働:○月○日

■代替案検討
・修理対応:費用800万円、効果限定的
・中古設備:費用1,500万円、品質・信頼性に不安
→新設備導入が長期的に最適

生産計画の関係で○月○日までにご承認いただけますでしょうか。

設備仕様書と投資計画書を添付いたします。
ご検討のほど、よろしくお願いいたします。

――――――――――――――――――――――
○○株式会社 生産技術課
○○ ○○
TEL:03-0000-0000
E-mail:○○@example.co.jp
――――――――――――――――――――――

14. 海外出張の稟議メール

件名:【稟議依頼】海外出張費(米国・35万円)/技術研修参加

技術部長

いつもお世話になっております。
開発課の○○です。

下記の通り、海外技術研修参加について稟議承認をお願いいたします。

■出張目的
・最新AI技術に関する国際会議参加
・海外パートナー企業との技術交流
・次世代製品開発に必要な技術習得

■出張詳細
・出張先:米国カリフォルニア州サンフランシスコ
・期間:○月○日~○月○日(4泊6日)
・参加者:開発課 ○○(私)
・会議名:AI Technology Summit 2025

■費用内訳
・航空券:180,000円
・宿泊費:120,000円(1泊20,000円×6泊)
・会議参加費:30,000円
・現地交通費・食事代:20,000円
・合計:350,000円

■出張の意義
・競合他社も参加する重要な技術会議
・最新トレンドの把握による製品開発への活用
・海外企業とのネットワーク構築

■技術習得内容
・機械学習の最新アルゴリズム
・クラウドAIサービスの活用方法
・データ分析の効率化技術

■代替案検討
・オンライン参加:費用は安いが、ネットワーキング効果が限定的
・国内セミナー:最新情報の取得が困難
→現地参加が最も有効

帰国後は社内で技術報告会を開催し、習得した知識を共有いたします。

ビザ申請の関係で○月○日までにご承認いただけますでしょうか。

会議概要と詳細スケジュールを添付いたします。
ご検討のほど、よろしくお願いいたします。

――――――――――――――――――――――
○○株式会社 開発課
○○ ○○
TEL:03-0000-0000
E-mail:○○@example.co.jp
――――――――――――――――――――――

15. 催促・リマインドメール

件名:【ご確認のお願い】PC購入稟議の件(○月○日送付分)

○○部長

いつもお世話になっております。
△△課の○○です。

○月○日にお送りいたしましたPC購入稟議の件について、
ご確認のお時間をいただけておりませんでしょうか。

お忙しいところ恐れ入りますが、念のため稟議内容を再度お送りいたします。

■稟議内容(再掲)
・件名:業務用PC 3台購入
・金額:300,000円(税込)
・目的:業務効率化と老朽化対策
・期待される効果:作業効率の改善

■承認期限について
発注から納期まで2週間を要するため、
○月○日(金)までにご承認いただけますと幸いです。

もし行き違いでご確認いただいている場合は、失礼いたします。

ご不明な点やご質問がございましたら、
お気軽にお声がけください。

お忙しい中恐縮ですが、ご確認のほどよろしくお願いいたします。

――――――――――――――――――――――
○○株式会社 △△部
○○ ○○
TEL:03-0000-0000
E-mail:○○@example.co.jp
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稟議メール作成のポイント

適切な稟議メールを作成するためには、承認者の立場に立った書き方が重要です。承認者は多忙の中で多数の稟議を処理しているため、迅速かつ正確な判断ができる情報提供が求められます。

承認者視点での重要ポイント

承認者が重視するのは「判断に必要な情報がすべて揃っているか」という点です。以下の要素を含めるようにしましょう。

判断要素 必要な情報 記載例
必要性 なぜ今必要なのか 現在のシステムでは業務に支障が発生
緊急性 いつまでに必要か ○月の繁忙期前に導入完了が必要
妥当性 金額は適正か 3社見積もり結果、最適な価格を選定
効果性 どんな効果があるか 業務効率の改善が期待される
リスク 問題点と対策 導入遅延リスク→段階的導入で対応

具体的な表現を心がける

稟議メールでは具体的な表現を使うことで説得力が向上します。感覚的な表現ではなく、定量的な情報で効果を示しましょう。

具体的な表現の例
・「業務効率が向上する」→「作業時間の短縮が期待される」
・「売上増加が期待できる」→「売上向上の可能性がある」
・「コストを削減できる」→「運用コストの削減が見込める」

リスクと対策を明記する

どんな提案にもリスクは存在します。リスクを隠すのではなく、想定されるリスクとその対策を明記することで、信頼性が向上します。

リスク記載の例:

  • 【リスク】システム導入時の業務停止 【対策】段階的導入により影響を最小化
  • 【リスク】予算超過の可能性 【対策】月次予算管理により早期発見・対応
  • 【リスク】期待した効果が得られない 【対策】定期的な効果測定により改善策実施

稟議メールのマナーと注意点

稟議メールは単なる業務連絡ではなく、重要な意思決定を求める公式文書です。そのため、適切なビジネスマナーを守った文面にする必要があります。

敬語の使い方

稟議メールでは、上司や承認者に対する適切な敬語表現が重要です。以下の表現を参考にしてください。

場面 適切な表現 避けるべき表現
依頼 ご承認のほどよろしくお願いいたします 承認してください
期限 ○日までにご確認いただけますでしょうか ○日までに返事をください
緊急時 お忙しいところ恐れ入りますが 急いでいるので
質問 ご不明な点がございましたら わからないことがあったら

添付ファイルの扱い方

稟議メールには見積書や提案書などの添付ファイルが必要な場合があります。添付ファイルを扱う際は、以下の点に注意しましょう。

  • ファイル名は内容がわかりやすい名前にする(例:「○○システム見積書_20250315.pdf」)
  • 本文中で添付ファイルの内容を簡潔に説明する
  • ファイルサイズが大きい場合は圧縮するか、共有フォルダの利用を検討する
  • 重要な情報は添付ファイルのみに記載せず、メール本文にも要点を記載する

セキュリティと情報管理

稟議メールには機密性の高い情報が含まれることがあります。情報漏洩を防ぐため、以下の対策を講じましょう。

情報管理のポイント
・宛先の確認:TO、CC、BCCを適切に使い分ける
・パスワード保護:重要な添付ファイルにはパスワードを設定
・外部送信注意:社外への送信時は特に慎重に確認
・保存期間:承認後の稟議メールは適切に保管・管理

催促・リマインドメールの送り方

稟議メールを送信したものの、承認者から返事がない場合があります。そのような時は、適切なタイミングと表現で催促メールを送ることが重要です。

催促メールを送るタイミング

催促メールのタイミングは、案件の緊急度と承認者の立場を考慮して決める必要があります。一般的な目安は以下の通りです。

案件の緊急度 初回催促 二回目催促 最終催促
緊急(当日~翌日回答) 4時間後 当日中 電話連絡
急ぎ(2~3日回答) 1日後 2日後 3日後
通常(1週間回答) 3日後 5日後 7日後
余裕あり(2週間回答) 5日後 10日後 14日後

催促メールの書き方のコツ

催促メールは書き方を間違えると相手に不快感を与える可能性があります。以下のポイントを守って丁寧に作成しましょう。

  • 件名は穏やかに:「【催促】」ではなく「【ご確認のお願い】」を使用
  • クッション言葉を活用:「お忙しいところ恐れ入りますが」から始める
  • 行き違いを考慮:「行き違いでしたら失礼いたします」を必ず記載
  • 理由を明確に:なぜ催促が必要なのかを簡潔に説明
  • 内容を再掲:元の稟議内容を簡潔に再度記載

よくある質問

稟議メールの件名はどのように書けばよいですか?

件名には「稟議の種類」「金額」「期限」を含めることを推奨します。例:「【稟議依頼】PC購入(30万円)/承認期限:3月15日」のように、承認者が一目で内容と緊急度を判断できるよう工夫しましょう。「稟議について」のような曖昧な件名は避けるべきです。

稟議メールはどのくらいの長さが適切ですか?

稟議メールは簡潔性と情報の充実度のバランスが重要です。A4用紙1枚程度(800~1200文字)を目安に、必要な情報を漏れなく記載しましょう。長すぎると読んでもらえない可能性があり、短すぎると判断材料不足で差し戻しされる可能性があります。

デメリットやリスクも記載すべきでしょうか?

はい、想定されるデメリットやリスクは記載することを推奨します。リスクを隠すよりも、リスクとその対策を明記する方が承認者の信頼を得られます。「リスクが全くない提案」は逆に不信感を与える可能性があります。客観的で誠実な姿勢を示すことが重要です。

承認者から返事がない場合はどうすればよいですか?

案件の緊急度に応じて適切なタイミングで催促メールを送りましょう。通常案件なら3日後、急ぎの案件なら1日後が目安です。催促メールでは「【ご確認のお願い】」の件名を使い、「行き違いでしたら失礼いたします」のクッション言葉を必ず入れて丁寧に依頼しましょう。

複数の承認者がいる場合はどうすればよいですか?

複数の承認者がいる場合は、承認の順序を明確にして送信しましょう。通常は直属の上司から順番に承認を得るか、関係者全員に同時送信して合議形式で進めます。宛先は「To:主承認者」「CC:関係者」のように使い分け、本文で承認の流れや期限を明記することが重要です。

金額の基準はどのように決まりますか?

稟議が必要な金額基準は会社により異なります。社内規程や権限表を確認し、不明な場合は上司や総務部に確認してから進めましょう。基準以下でも重要案件は稟議が必要な場合があります。

添付ファイルはどの程度必要ですか?

判断に必要な資料は添付しましょう。見積書、提案書、比較表などが一般的です。ただし、重要な情報は添付ファイルだけでなくメール本文にも要点を記載してください。承認者が外出先でファイルを開けない場合もあるため、メール本文だけでも判断できるよう配慮が必要です。

稟議が差し戻された場合はどう対応すればよいですか?

差し戻しの理由を正確に把握し、指摘事項を一つずつ修正して再申請しましょう。修正点は件名や本文で明確に示し、「前回からの主な修正点」として整理して記載することが重要です。同じ理由で再度差し戻されないよう、不明な点は事前に確認することをお勧めします。

まとめ

稟議メールは、承認者が迅速かつ正確に判断できるよう、必要な情報を適切な形で提供することが最も重要です。件名で内容を明確に示し、本文では目的・背景・金額・効果・リスク・期限を論理的に整理して記載しましょう。

稟議メール作成の5つのポイント
・承認者視点での情報整理と簡潔な表現
・具体的な表現による効果の説明
・リスクと対策の客観的な記載
・適切なタイミングでの催促メール
・ビジネスマナーを守った丁寧な文面

本記事でご紹介したテンプレートと原則を活用して、適切な稟議メールを作成してください。承認者との良好な関係を維持しながら、円滑な業務推進につなげていきましょう。

稟議メールは単なる業務手続きではなく、組織の意思決定プロセスを支える重要なコミュニケーションツールです。適切な書き方をマスターすることで、業務効率の向上と信頼関係の構築を実現できます。

参考文献・引用情報