「発注書をメールで送りたいけれど、どんな件名にすればいいの?」「失礼のない文面で書きたい」「テンプレートがあれば楽なのに…」
このような悩みを抱えているビジネスパーソンは多いのではないでしょうか。発注書送付メールは取引の起点となる重要な文書ですが、正しい書き方を知らないと相手に悪い印象を与えてしまう可能性があります。
この記事では、発注書メールの件名の作り方から本文テンプレート、基本マナーまで、実務ですぐに活用できる内容を分かりやすく解説します。
・適切な件名の作成方法
・状況別のメールテンプレート
・基本的なビジネスマナー
・添付ファイルの正しい扱い方
・法的注意点の要点
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発注書送付メールの件名作成のコツ
件名は受信者が最初に目にする部分です。内容が一目で分かり、優先度を適切に伝える件名を作成しましょう。
基本的な件名パターン
状況 | 件名例 | 使用場面 |
---|---|---|
通常発注 | 【発注書送付】○○商品の発注について | 一般的な発注 |
緊急発注 | 【至急発注】○○部品の緊急調達について | 急ぎの案件 |
修正版 | 【発注書修正】○○商品(数量変更) | 内容変更時 |
高額案件 | 【重要発注】○○設備一式の発注について | 重要度の高い発注 |
分割発注 | 【分割発注1/3】○○案件 第1回分 | 複数回に分けた発注 |
効果的な件名の要素
・行動を示すタグ(【発注書送付】など)
・商品名や案件名の具体的記載
・緊急度や重要度の表示(必要に応じて)
・15〜30文字程度の適切な長さ
すぐ使える発注書送付メールテンプレート
状況に応じてそのまま活用できるテンプレートを用意しました。自社の取引条件に合わせて調整してご利用ください。
基本的な発注書送付メール
件名:【発注書送付】○○商品の発注について ○○株式会社 ○○部 ○○様 いつもお世話になっております。 △△株式会社 購買部の□□です。 先日はお見積もりをいただき、誠にありがとうございました。 社内で検討いたしました結果、下記の通り発注させていただきます。 【発注内容】 ・商品名:○○商品(型番:ABC-123) ・数量:100個 ・単価:1,000円(税別) ・合計金額:100,000円(税別) ・希望納期:○月○日(○) ・納入場所:弊社○○倉庫 ・支払条件:月末締め翌月末払い 発注書(PDF)を添付いたしますので、ご確認ください。 ご不明な点がございましたら、お気軽にご連絡ください。 受注の可否について、○日までにご返信をお願いいたします。 今後ともよろしくお願いいたします。 ―――――――――――――――――――――― △△株式会社 購買部 □□ □□ TEL:03-0000-0000 Email:xxxx@xxxx.co.jp ――――――――――――――――――――――
緊急発注のメール
件名:【至急発注】○○部品の緊急調達について ○○株式会社 ○○部 ○○様 いつもお世話になっております。 △△株式会社 購買部の□□です。 急なお願いで大変恐縮ですが、 生産トラブルにより○○部品の緊急調達が必要となりました。 【緊急発注内容】 ・商品名:○○部品(型番:DEF-456) ・数量:50個 ・希望納期:明日○月○日(○)午前中 ・納入場所:弊社○○工場 ・緊急連絡先:090-0000-0000(□□直通) 発注書を添付いたします。 在庫状況と納期についてお聞かせください。 本日中のご返信をお願いいたします。 急なお願いで申し訳ございませんが、 何卒よろしくお願いいたします。 ―――――――――――――――――――――― △△株式会社 購買部 □□ □□ TEL:03-0000-0000(直通) Mobile:090-0000-0000 ――――――――――――――――――――――
発注内容修正のメール
件名:【発注書修正】○○商品(数量変更) ○○株式会社 ○○部 ○○様 いつもお世話になっております。 △△株式会社 購買部の□□です。 先ほど送付した発注書について、 数量変更が生じましたので修正版をお送りします。 【変更内容】 ・商品名:○○商品 ・変更前数量:200個 ・変更後数量:150個 ・変更理由:需要予測の見直し ・金額変更:200,000円 → 150,000円 修正版発注書を添付いたします。 先の発注書は無効とし、こちらでお手続きください。 ご迷惑をおかけして申し訳ございません。 修正版の受領確認をお願いいたします。 ―――――――――――――――――――――― △△株式会社 購買部 □□ □□ TEL:03-0000-0000 Email:xxxx@xxxx.co.jp ――――――――――――――――――――――
初回取引の丁寧な発注メール
件名:【発注書送付】○○商品の発注について(初回お取引) ○○株式会社 ○○部 ○○様 この度は貴重なお時間をいただき、 お見積もりをご提示くださり誠にありがとうございました。 △△株式会社 購買部の□□と申します。 ご提案いただいた内容で発注させていただきたく、 発注書を添付いたします。 【発注内容】 ・商品名:○○商品(型番:GHI-789) ・数量:200個 ・単価:500円(税別) ・合計金額:100,000円(税別) ・希望納期:○月○日(○) ・納入場所:弊社○○営業所 〒000-0000 ○○県○○市○○町1-2-3 ・支払条件:検収後30日以内銀行振込 【お願い事項】 ・納品時は事前にお電話ください(03-0000-0000) ・検収は納品から3営業日以内に実施いたします ・請求書は納品書と一緒にお渡しください ご質問やご要望がございましたら、 遠慮なくお申し付けください。 今回のご縁を大切に、末永くお付き合いいただけますよう よろしくお願いいたします。 ―――――――――――――――――――――― △△株式会社 購買部 □□ □□ TEL:03-0000-0000 Email:xxxx@xxxx.co.jp ――――――――――――――――――――――
分割発注のメール
件名:【分割発注1/3】○○案件 第1回発注について ○○株式会社 ○○部 ○○様 いつもお世話になっております。 △△株式会社 購買部の□□です。 ○○案件について、納期の都合により 3回に分けて発注させていただきます。 今回は第1回分をお送りします。 【第1回発注内容】 ・商品名:○○材料 ・数量:100個(全300個のうち) ・納期:○月○日(○) ・発注番号:PO-20241201-1 【今後の発注予定】 ・第2回:○月○日頃(100個予定) ・第3回:○月○日頃(100個予定) 第1回分の発注書を添付いたします。 各回の詳細は改めてご連絡いたします。 第1回分の受注確認をお願いいたします。 ―――――――――――――――――――――― △△株式会社 購買部 □□ □□ TEL:03-0000-0000 Email:xxxx@xxxx.co.jp ――――――――――――――――――――――
発注書メールの基本構成
効果的な発注メールには以下の要素を含める必要があります。
構成要素 | 内容 | 注意点 |
---|---|---|
件名 | 【発注書送付】+ 商品名 | 一目で分かる明確さ |
宛名 | 会社名・部署・担当者名 | 正確性と敬語の使用 |
挨拶 | 定型的な挨拶文 | 簡潔で丁寧に |
発注内容 | 商品名・数量・金額・納期 | 具体性と完全性 |
添付ファイル | 発注書PDF | ファイル形式と命名 |
受領確認 | 返信依頼・期限設定 | 明確な期限指定 |
署名 | 連絡先・担当者情報 | 緊急時対応可能な情報 |
発注書送付メールの基本マナー
円滑な取引のために押さえておくべき基本的なマナーを解説します。
送信タイミングの原則
・見積書受領後、できるだけ早く(遅くとも1週間以内)
・営業時間内の送信(9:00〜17:00推奨)
・金曜日の夕方や連休前は避ける
・重要な発注は週明けの午前中がベスト
事前確認の重要性
初回取引の場合は、メールでの発注書送付が可能かを事前に確認してください。企業によってはFAXや郵送、専用システムでの受付を希望する場合があります。
必須記載事項
発注メールには以下の情報を必ず含めてください:
項目 | 具体的な内容 | 記載例 |
---|---|---|
商品・サービス名 | 正確な名称・型番 | A4コピー用紙(型番:CP-100) |
数量 | 具体的な数・単位 | 100箱、50kg、20m等 |
金額 | 単価・合計・税込/税別 | 単価500円(税別)、合計50,000円 |
納期 | 具体的な日時 | 12月15日(金)午前中 |
納入場所 | 詳細な住所・担当者 | 〒100-0001 東京都千代田区… |
支払条件 | 支払期日・方法 | 月末締め翌月末銀行振込 |
添付ファイルの正しい扱い方
推奨ファイル形式
・どの環境でも同じ表示が可能
・改ざんされにくい
・印刷時のレイアウトが崩れない
・長期保存に適している
・セキュリティ機能が充実
Word文書やExcelファイルは編集される可能性があるため、重要な発注書にはPDF形式を使用してください。
ファイル命名規則
検索しやすく管理しやすいファイル名をつけることが重要です。
命名要素 | 推奨パターン | 具体例 |
---|---|---|
基本形 | 発注書_日付_取引先_商品名 | 発注書_20241201_ABC商事_コピー用紙.pdf |
金額含む | PO_日付_取引先_金額 | PO_20241201_ABC商事_50万円.pdf |
緊急案件 | 発注書_日付_緊急_取引先 | 発注書_20241201_緊急_ABC商事.pdf |
セキュリティ対策
機密性の高い内容を含む場合の対策:
– PDFにパスワード保護を設定
– 暗号化メールサービスの利用
– セキュアなファイル共有サービスの活用
– 必要に応じて別途パスワードを通知
送信前の最終チェック
発注ミスや連絡漏れを防ぐため、送信前に以下の項目を必ず確認してください。
チェック項目 | 確認内容 | チェック欄 |
---|---|---|
宛先確認 | 正しいメールアドレス・担当者名・敬称 | □ |
件名確認 | 【発注書送付】の明記・商品名記載 | □ |
本文確認 | 発注内容の正確性・金額一致・敬語使用 | □ |
添付確認 | PDF添付・ファイル名適切・容量確認 | □ |
期限確認 | 返信期限の明記・現実的な日程設定 | □ |
連絡先確認 | 署名・電話番号・緊急時連絡先 | □ |
押さえておきたい法的注意点
電子取引データの保存義務
2024年1月以降、メールで発注書を送受信した場合は電子データのまま保存することが法的に義務付けられています。
・メールと添付ファイルを電子データで保存
・日付・金額・取引先で検索できるよう整理
・改ざん防止のための規程を作成
・7年間の保存期間を確保
・税務調査時の提示に備える
詳細な対応方法については、税理士や会計システム業者にご相談ください。
下請法の対象取引
資本金の規模により下請法の対象となる場合があります。対象の場合は特別な注意が必要です:
親事業者(発注側) | 下請事業者(受注側) | 対象取引 |
---|---|---|
資本金3億円超 | 資本金3億円以下 | 製造委託・修理委託 |
資本金1千万円超 | 資本金1千万円以下 | 製造委託・修理委託 |
資本金5千万円超 | 資本金5千万円以下 | 情報成果物・役務提供 |
対象の場合は、事前にメール発注の承諾を得て、下請代金・支払期日等を明確に記載する必要があります。
よくある質問
発注書をメール本文に記載するだけでも有効ですか?
はい、法的には有効です。ただし重要な取引では正式な発注書(PDF)の添付を推奨します。メール本文に記載する場合も、商品名・数量・金額・納期・支払条件などの必要事項をすべて記載してください。記録としても残りやすくなります。
発注メールに返信がない場合はどうすればよいですか?
2-3営業日経っても返信がない場合は、電話で確認してください。メールが届いていない可能性や見落としの可能性があります。重要な発注では、メール送信後に電話で送信確認することをお勧めします。迷惑メールフォルダに振り分けられている場合もあります。
発注内容を変更したい場合の対応方法は?
変更内容を明確にした修正版発注書を作成し、件名に【修正版】と明記して再送してください。旧版は無効である旨を本文で明記し、相手方に旧版の破棄を依頼します。大きな変更の場合は電話での事前連絡も必要です。トラブル防止のため、変更理由も記載しましょう。
初回取引で特に注意すべき点はありますか?
初回は特に丁寧な対応を心がけてください。メール発注が可能か事前確認し、支払条件や納品方法などの詳細を明確に記載します。不明点は遠慮なく質問し、今後の良好な取引関係の基盤を築いてください。信頼関係構築のため、より詳細な情報提供を心がけましょう。
緊急発注の場合の注意点は?
件名に【至急】を明記し、本文でも緊急性を説明してください。希望納期を明確にし、電話番号(携帯電話含む)を記載して迅速な連絡を可能にします。相手方の都合も考慮し、無理な依頼は避けてください。緊急性の理由も併せて説明すると理解を得やすくなります。
添付ファイルが開けないと言われた場合は?
まずファイルサイズとファイル形式を確認してください。大きすぎる場合は圧縮するか、ファイル共有サービスを利用します。PDFが開けない場合は、別の形式(WordやExcel)でも送付を検討してください。相手のセキュリティ設定で拒否される場合もあります。
発注書番号は必ず記載すべきですか?
発注書番号がある場合は必ず記載してください。管理上重要な情報であり、後の問い合わせや請求書発行時に必要になります。件名にも含めると検索しやすくなります。社内ルールで発注書番号が決まっている場合は、そのルールに従ってください。
まとめ
発注書送付メールは、明確な件名と丁寧な本文、正確な発注内容の記載が成功の鍵です。相手方への配慮を忘れず、基本的なマナーを守ることで、スムーズで信頼性の高い取引を実現できます。
・【発注書送付】を含む分かりやすい件名
・発注内容の正確で完全な記載
・PDF形式での発注書添付
・受領確認の確実な依頼
・相手方への配慮ある対応
この記事のテンプレートを参考に、自社の取引条件に合わせて調整することで、効率的で確実な発注業務を実現してください。継続的な取引関係の構築と、お互いにとって有益なビジネスパートナーシップを築いていきましょう。