「発注依頼のメールを送りたいけど、どう書いたらいいかわからない」「件名は何て書けば相手に伝わるの?」「発注書を添付するときの文面が思い浮かばない」
こんな悩みを抱えているビジネスパーソンは少なくありません。発注依頼メールは取引先との重要なやり取りなのに、書き方を教えてもらう機会はほとんどないのが現実です。
間違った書き方をして相手に失礼になったり、必要な情報が漏れて発注ミスが起きたりするのは避けたいところと思います。
そこでこの記事では、発注依頼メールの正しい書き方を基礎から解説し、今すぐ使える文例テンプレートもご用意しました。件名の付け方、本文の構成、必要な項目の記載方法まで、実務でそのまま活用できる内容をお届けします。
・発注依頼メールの正しい書き方とマナー
・効果的な件名の付け方
・場面別の文例テンプレート
・メールに記載すべき必須項目
・添付書類の正しい送り方
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発注依頼メールの基本マナー
発注依頼メールは、取引先との重要なビジネスコミュニケーションです。相手に正確に内容を伝え、スムーズな取引を進めるために、基本的なマナーを押さえておきましょう。
丁寧な文章を心がける
発注者は「お金を支払う側」ですが、だからといって上から目線になってはいけません。取引先との良好な関係を維持するため、丁寧で敬意のある文章を心がけましょう。
・相手への敬意を忘れない
・命令口調は避ける
・依頼の姿勢を保つ
・感謝の気持ちを表現する
事前確認を怠らない
メールで発注を行う場合は、事前に取引先がメール発注に対応しているか確認しておきましょう。従来FAXや郵送で受け付けている企業の場合、メールを見落とす可能性があります。
効果的な件名の付け方
件名は受信者が一目で内容を理解できるよう、簡潔かつ具体的に書くことが重要です。発注依頼であることが明確に伝わる件名にしましょう。
基本的な件名パターン
【発注依頼】○○(商品名)の注文について 【注文書送付】○○(商品名)/見積No.12345 ○○(商品名)発注のお願い 【発注書】○○(案件名)の依頼につきまして
件名に含めるべき要素
発注依頼の件名には、以下の要素を含めることで効果的になります。
- 発注であることを明示:「発注依頼」「注文」「発注書」
- 商品名・案件名:具体的な内容を記載
- 会社名:必要に応じて自社名を追加
- 緊急度:急ぎの場合は「至急」を付加
・「お疲れ様です」などの挨拶は避ける
・「先ほどの件」など曖昧な表現は使わない
・件名なしは絶対に避ける
・長すぎる件名(30文字以上)は避ける
発注依頼メールの基本構成
効果的な発注依頼メールは、以下の要素で構成されています。この順序を守ることで、相手にとって分かりやすいメールになります。
宛名・挨拶
相手の会社名、部署名、氏名を正確に記載し、適切な挨拶で始めます。
発注の意思表示
発注したい旨を明確に伝えます。
発注内容の詳細
商品名、数量、納期、納入場所などの具体的な情報を記載します。
添付書類の説明
発注書を添付する場合は、その旨を明記します。
確認依頼・返信期限
内容確認と返信を依頼し、必要に応じて期限を設けます。
連絡先・署名
問い合わせ先を明記し、署名で締めくくります。
メールに記載すべき必須項目
発注依頼メールには、以下の項目を必ず含めるようにしましょう。情報の不足は誤発注やトラブルの原因となります。
項目 | 具体例 | 注意点 |
---|---|---|
商品名・型番 | プリンター / HP-1234A | 正確な型番を記載 |
数量 | 10台 | 単位も明記 |
希望納期 | 2025年12月15日(月) | 具体的な日付と曜日 |
納入場所 | 弊社東京本社 1F受付 | 詳細な住所と担当部署 |
支払条件 | 月末締め翌月末振込 | 既存取引の条件を確認 |
発注者情報 | 購買部 田中太郎 | 担当者名と連絡先 |
そのまま使える発注依頼メール文例テンプレート
実際の業務でそのまま使える、場面別の文例テンプレートをご紹介します。
見積もり後の正式発注
件名:【発注依頼】○○(商品名)の注文について ○○株式会社 ○○部 ○○様 いつもお世話になっております。 株式会社□□の△△と申します。 先日はお見積もりをお送りいただき、誠にありがとうございました。 社内で検討いたしました結果、下記のとおり発注させていただきたく、ご連絡申し上げます。 【発注内容】 ・商品名:○○ ・型番:○○-1234 ・数量:100個 ・単価:1,000円(税別) ・合計金額:100,000円(税別) ・希望納期:2025年12月15日(月) ・納入場所:弊社東京本社(〒100-0001 東京都千代田区○○1-2-3) ・支払条件:月末締め翌月末振込 ご確認いただき、受注可能でしたらご返信をお願いいたします。 ご不明な点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。 何卒よろしくお願いいたします。 ――――――――――――――――――――― 株式会社□□ ○○部 △△ △△ TEL:03-1234-5678 Email:example@company.co.jp ―――――――――――――――――――――
発注書を添付する場合
件名:【発注書送付】○○(商品名)の注文について ○○株式会社 ○○部 ○○様 いつもお世話になっております。 株式会社□□の△△です。 先日お見積もりいただきました○○の件につきまして、発注書を作成いたしました。 PDFファイルにて添付いたしますので、ご確認のほどよろしくお願いいたします。 【添付内容】 ・○○発注書(PDF) 1通 【発注概要】 ・商品名:○○ ・数量:100個 ・希望納期:2025年12月15日(月) ・納入場所:弊社東京本社 添付ファイルが開けない場合や、内容にご不明な点がございましたら、 下記までご連絡ください。 【連絡先】 担当:△△ △△ TEL:03-1234-5678 Email:example@company.co.jp ご査収のほど、よろしくお願いいたします。 ――――――――――――――――――――― 株式会社□□ ○○部 △△ △△ ―――――――――――――――――――――
継続発注・定期発注の場合
件名:【定期発注】○月分 ○○(商品名)の注文について ○○株式会社 ○○部 ○○様 いつもお世話になっております。 株式会社□□の△△です。 ○月分の定期発注として、下記のとおりご発注申し上げます。 【発注内容】 ・商品名:○○ ・型番:○○-1234 ・数量:200個(前月同様) ・希望納期:2025年12月末日 ・納入場所:弊社○○倉庫 条件は前回と同様でお願いいたします。 在庫状況や納期に変更がございましたら、お知らせください。 今後ともよろしくお願いいたします。 ――――――――――――――――――――― 株式会社□□ ○○部 △△ △△ TEL:03-1234-5678 ―――――――――――――――――――――
新規取引先への初回発注
件名:【初回発注】○○(商品名)の注文について ○○株式会社 ○○部 ○○様 初めてご連絡いたします。 株式会社□□の△△と申します。 このたび、貴社の○○について発注させていただきたく、ご連絡申し上げます。 【発注内容】 ・商品名:○○ ・型番:○○-1234 ・数量:50個 ・希望納期:2025年12月15日(月) ・納入場所:弊社東京本社(〒100-0001 東京都千代田区○○1-2-3) 初回のお取引となりますので、請求書の宛先や支払条件等について、 詳細をお教えいただけますでしょうか。 【弊社情報】 ・会社名:株式会社□□ ・住所:〒100-0002 東京都千代田区○○2-3-4 ・担当部署:購買部 何かご不明な点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。 今後ともよろしくお願いいたします。 ――――――――――――――――――――― 株式会社□□ 購買部 △△ △△ TEL:03-1234-5678 Email:example@company.co.jp ―――――――――――――――――――――
急ぎの発注の場合
件名:【至急】○○(商品名)の緊急発注について ○○株式会社 ○○部 ○○様 いつもお世話になっております。 株式会社□□の△△です。 急なお願いで申し訳ございませんが、下記商品の緊急発注をお願いしたく、 ご連絡いたします。 【発注内容】 ・商品名:○○ ・型番:○○-1234 ・数量:30個 ・希望納期:2025年12月10日(金)まで ・納入場所:弊社東京本社 在庫状況により上記納期での対応が困難な場合は、 最短でいつ頃納品可能かお教えください。 急なご依頼で恐縮ですが、ご検討のほどよろしくお願いいたします。 ――――――――――――――――――――― 株式会社□□ ○○部 △△ △△ TEL:03-1234-5678(直通) Email:example@company.co.jp ―――――――――――――――――――――
社内発注依頼の場合
件名:【社内発注依頼】○○(商品名)の購入について 購買部 各位 お疲れ様です。 ○○部の△△です。 下記商品の社内発注をお願いいたします。 【発注依頼内容】 ・商品名:○○ ・型番:○○-1234 ・数量:20個 ・使用部署:○○部 ・希望納期:2025年12月20日(金) ・予算:100,000円 ・稟議番号:R-2025-001 【取引先候補】 ・○○株式会社(過去取引あり) ・△△商事株式会社 見積もり取得から発注まで、よろしくお願いいたします。 ご不明な点があれば、内線1234までご連絡ください。 ――――――――――――――――――――― ○○部 △△ △△ 内線:1234 Email:example@company.co.jp ―――――――――――――――――――――
発注書を添付する際の注意点
発注書をメールに添付する場合は、以下の点に注意しましょう。
PDF形式で添付する
発注書は必ずPDF形式で添付してください。WordやExcelファイルは編集可能なため、意図せず内容が変更されるリスクがあります。
・改ざん防止
・文字化け防止
・レイアウト崩れ防止
・印刷時の再現性確保
分かりやすいファイル名を付ける
ファイル名は受信者が一目で内容を理解できるよう、以下の形式で命名しましょう。
発注書_会社名_商品名_日付.pdf
例:発注書_ABC商事_プリンター_20251201.pdf
添付内容を本文に明記する
添付書類の内容を本文で必ず説明し、受信者が見落とさないようにしましょう。
送信前のチェックポイント
発注依頼メールを送信する前に、以下の項目を必ず確認してください。
チェック項目 | 確認内容 |
---|---|
宛先 | TO、CC、BCCが正しく設定されているか |
件名 | 発注であることが明確に分かるか |
発注内容 | 商品名、数量、納期、納入場所が正確か |
添付ファイル | 正しいファイルが添付されているか |
連絡先 | 問い合わせ先が正確に記載されているか |
誤字脱字 | 文章に間違いがないか |
よくあるミスと対策
発注依頼メールでよく起こるミスと、その対策方法をご紹介します。
情報の記載漏れ
よくあるミス:納期や納入場所の記載を忘れる
対策:発注内容チェックリストを作成し、毎回確認する
型番の間違い
よくあるミス:類似商品の型番を間違えて記載する
対策:見積書や仕様書と照合して確認する
添付ファイルの間違い
よくあるミス:古い発注書や別案件の書類を添付する
対策:添付前にファイル内容を必ず確認する
電子帳簿保存法への対応
2024年1月から電子帳簿保存法の改正により、メールで発注書を送受信する場合は電子保存が義務付けられています。
保存すべきもの
電子取引に該当する発注関連のやり取りでは、以下を保存する必要があります。
- メール本文:発注内容が記載されている場合
- 添付ファイル:発注書などの重要書類
- 取引関連書類:見積書、契約書など
検索要件への対応
保存したデータは「日付」「金額」「取引先」で検索できるようにする必要があります。
・規則的なファイル名の設定
・索引簿(Excel等)の作成
・専用システムの導入
・フォルダ分けによる管理
ファイル名例:
発注書_20251201_ABC商事_500000円_プリンター.pdf
索引簿例:
- 日付:2025/12/01
- 取引先:ABC商事
- 金額:500,000円
- 商品:プリンター
- ファイルパス:\\server\order\20251201_ABC.pdf
よくある質問
発注依頼メールに返信がない場合はどうすればよいですか?
まず、2-3営業日待ってから電話で確認しましょう。メールが迷惑メールフォルダに振り分けられている可能性や、担当者の不在も考えられます。緊急の場合は最初から電話とメールの両方で連絡することをお勧めします。
発注書は必ず添付しなければなりませんか?
法的には必須ではありませんが、トラブル防止のため発注書の添付をお勧めします。下請法が適用される取引では、発注書面の交付が義務付けられている場合があります。重要な取引や高額な取引では、必ず発注書を作成しましょう。
メール発注は法的に有効ですか?
はい、メールでの発注は法的に有効です。民法上、契約は「申込み」と「承諾」の意思表示が合致すれば成立し、書面は必須ではありません。ただし、トラブル防止のため、重要な取引では書面での確認も併用することをお勧めします。
件名はどの程度具体的に書くべきですか?
件名は15-25文字程度で、発注であることと商品名・案件名が分かる程度の具体性が適切です。長すぎると表示が切れる可能性があり、短すぎると内容が伝わりません。「【発注依頼】プリンター10台の注文について」程度が理想的です。
発注内容の変更が必要になった場合はどうすればよいですか?
速やかに取引先に連絡し、変更内容を明確に伝えましょう。軽微な変更でもメールで記録を残し、重要な変更の場合は改めて発注書を作成することをお勧めします。変更の理由と謝罪も忘れずに伝えましょう。
複数の商品を一度に発注する場合の書き方はありますか?
複数商品の場合は、表形式で整理するか、商品ごとに項目を分けて記載しましょう。見やすさを重視し、合計金額も明記してください。商品数が多い場合は、発注書を添付する方が分かりやすくなります。
まとめ
発注依頼メールは、ビジネスにおける重要なコミュニケーションツールです。正しい書き方とマナーを守ることで、取引先との信頼関係を築き、スムーズな業務を実現できます。
・明確で具体的な件名を付ける
・必要な情報を漏れなく記載する
・丁寧で敬意のある文章を心がける
・添付書類はPDF形式で送付する
・送信前に必ずチェックする
・電子帳簿保存法への対応を忘れない
この記事で紹介したテンプレートと注意点を参考に、効果的な発注依頼メールを作成してください。適切なコミュニケーションにより、円滑な取引関係を構築していきましょう。
参考文献・引用情報
- 注文書メールの書き方とは?発注の文例や送信時の注意点も紹介! | ITトレンド
- 【テンプレートあり】メールで発注する際の文例や注意点、メリットとは
- 発注メールの正しい書き方は?例文や注意点、添付文書などをわかりやすく説明! | クラウドソーシングTimes
- 発注の依頼メールの文例
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- 発注書(注文書)をメールで送る場合の書き方や注意点を解説 | シヤチハタクラウド
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