「注文書ってメールで送っても大丈夫?」「件名はどう書けばいいの?」「添付ファイルで気をつけることってある?」
注文書のメール送付は、今では多くの企業が採用している効率的な方法です。でも、書き方を間違えると相手に迷惑をかけたり、大切な注文が見落とされる可能性もあります。
この記事では、注文書をメールで送る前の準備から、実際に使えるテンプレート、送信後のフォローまで、実務で本当に役立つノウハウをお伝えします。コピペで使える文例も豊富にご用意しました。
・メール送付前に確認すべき3つのポイント
・コピペで使える件名・本文テンプレート20種類
・電子帳簿保存法への対応方法(具体的手順付き)
・相手から返信がない場合の対処法
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まず確認!注文書をメールで送る前の3つのポイント
テンプレートをお見せする前に、まずは重要な確認事項から説明します。ここを見落とすと、せっかく送ったメールが無駄になってしまいます。
1. 相手がメール対応可能か確認する
取引先の企業によっては、メールでの注文受付に対応していないケースもあります。特に初回取引の場合は、事前に電話で「注文書をメールで送付してもよろしいでしょうか」と確認しましょう。
・初回の取引先
・これまでFAXや郵送を使っていた相手
・大型案件や重要な取引
・官公庁や伝統的な業界の企業
2. 自社の電子帳簿保存法対応を準備する
メールで注文書を送受信する場合、電子帳簿保存法への対応が法的に義務付けられています。送信前に保存体制を整えておく必要があります。
3. 緊急時の連絡手段を用意する
メールが届かない、開けない等のトラブルに備えて、直通電話番号を必ず用意しておきましょう。
基本テンプレート(そのまま使用可能)
最もよく使われる基本形です。○○部分を変更するだけで、すぐに使えます。
件名:【注文書送付】○○案件のご依頼(株式会社△△) ○○株式会社 ○○部 ○○様 いつもお世話になっております。 株式会社△△の山田です。 先日はお見積りをお送りいただき、ありがとうございました。 社内で検討した結果、ぜひ貴社にお願いしたく、注文書(PDF)を添付いたします。 ■注文内容 ・案件名:○○ ・見積番号:EST-2024-1234 ・注文番号:PO-2025-0001 ・希望納期:2025年10月15日(水) お忙しい中恐れ入りますが、ご確認のほどよろしくお願いいたします。 ご不明点がございましたら、下記までお気軽にご連絡ください。 今後ともどうぞよろしくお願いいたします。 ────────────────── 株式会社△△ 営業部 山田太郎 TEL:03-1234-5678(直通) Email:yamada@example.com 添付:PO-2025-0001_注文書_20250910.pdf ──────────────────
件名と本文の両方で「添付あり」を明記し、見積番号・注文番号・納期を記載することで、相手の確認作業がスムーズになります。
場面別テンプレート集
初回取引(丁寧版)
件名:【注文書送付】○○のご依頼(初回お取引・株式会社△△) ○○株式会社 ○○部 ○○様 はじめてご連絡させていただきます。 株式会社△△の山田と申します。 この度は○○についてお見積りをいただき、誠にありがとうございました。 内容を拝見し、ぜひ貴社にお願いしたいと考えております。 事前にお電話でご相談させていただいた通り、 注文書(PDF形式)を添付いたします。ご確認ください。 ■注文内容 ・商品名:○○ ・数量:○個 ・希望納期:○年○月○日 ・納入場所:弊社○○営業所 添付ファイルが開けない場合や、ご不明点がございましたら、 遠慮なくお声がけください。 初回のお取引となりますが、何卒よろしくお願いいたします。 ────────────────── 株式会社△△ 営業部 山田太郎 TEL:03-1234-5678 Email:yamada@example.com 添付:○○注文書_20250910.pdf(1通) ──────────────────
訂正・差し替え
件名:【訂正・注文書再送】○○案件(数量修正のため差し替え) ○○株式会社 ○○部 ○○様 いつもお世話になっております。 株式会社△△の山田です。 先ほどお送りした注文書に数量の記載ミスがございました。 大変申し訳ございません。 訂正版の注文書を添付いたしますので、先の注文書は破棄いただき、 こちらの内容でご確認をお願いいたします。 ■訂正内容 ・商品名:○○ 数量:50個 → 60個(修正) ・その他の項目に変更はございません ご迷惑をおかけし、誠に申し訳ございませんでした。 ────────────────── 株式会社△△ 営業部 山田太郎 TEL:03-1234-5678 Email:yamada@example.com 添付:PO-2025-0001_注文書_修正版_20250910.pdf ──────────────────
至急対応が必要
件名:【至急・注文書送付】○○案件(本日17:00までにご確認願い) ○○株式会社 ○○部 ○○様 いつもお世話になっております。 株式会社△△の山田です。 ○○の件で注文書(PDF)を添付いたします。 急なお願いで恐縮ですが、納期調整の関係で、 本日17:00までにご確認いただけますでしょうか。 ■急ぎの理由 ○月○日(月)納期のため、製造準備を早急に開始する必要があります お忙しい中大変恐縮ですが、何卒よろしくお願いいたします。 ────────────────── 株式会社△△ 営業部 山田太郎 TEL:03-1234-5678(直通・緊急時も対応可) Email:yamada@example.com ──────────────────
電話打ち合わせ後
件名:【お電話でのご相談分】注文書送付(○○案件) ○○株式会社 ○○部 ○○様 先ほどはお忙しい中、お電話をありがとうございました。 株式会社△△の山田です。 お電話でお話しした内容で注文書を作成いたしました。 添付ファイルをご確認ください。 ■電話でご相談した内容 ・商品名:○○ ・数量:○個(ご要望通りに調整) ・納期:○月○日(ご都合に合わせて設定) 内容に相違がございましたら、お気軽にお電話ください。 ────────────────── 株式会社△△ 営業部 山田太郎 TEL:03-1234-5678 Email:yamada@example.com ──────────────────
メール本文で直接発注する場合
注文書を別途作成せず、メール本文で発注することもできます。この場合は必要な項目を漏れなく記載することが重要です。
件名:【発注依頼】○○のご注文(株式会社△△) ○○株式会社 ○○部 ○○様 いつもお世話になっております。 株式会社△△の山田です。 先日お見積りいただいた○○の件で、 以下の内容で発注させていただきます。 ■発注内容 ・見積番号:EST-2024-1234 ・商品名:○○ ・商品番号:○○ ・数量:○個 ・単価:○○円 ・合計金額:○○円(税込) ・希望納期:○年○月○日 ・納入場所:弊社○○倉庫 ・支払条件:納品後30日以内振込 ・発注者名:山田太郎 ご確認のほど、よろしくお願いいたします。 ────────────────── 株式会社△△ 営業部 山田太郎 TEL:03-1234-5678 Email:yamada@example.com ──────────────────
効果的な件名の作り方
一目で注文・発注依頼であることが分かる件名にすることで、見逃されるリスクを減らせます。
パターン | 件名例 | 使用場面 |
---|---|---|
基本形 | 【注文書送付】○○案件のご依頼 | 通常の注文書送付 |
初回取引 | 【注文書送付】○○のご依頼(初回お取引) | 新規取引先 |
訂正・差し替え | 【訂正・注文書再送】○○(数量修正版) | 内容修正時 |
至急対応 | 【至急・注文書送付】○○(本日○時まで) | 緊急対応が必要 |
電話後フォロー | 【お電話でのご相談分】注文書送付 | 電話打ち合わせ後 |
メール本文発注 | 【発注依頼】○○のご注文 | メール本文で発注内容を記載 |
・【注文書送付】【発注依頼】など目的を冒頭に記載
・商品名や案件名を具体的に記載
・緊急時は期限も明記
・会社名を入れると相手が識別しやすい
注文書をメールで送るメリット
なぜ多くの企業がメール送付を選ぶのか、具体的なメリットを解説します。
コスト削減効果
印刷代や郵送代、封筒代が不要になります。注文書の量が多いほどコスト削減の効果が大きくなります。受け取る側も、保管スペースやファイリングにかかるコストを削減できます。
スピードの向上
メールなら瞬時に送受信できるため、郵送のような時間のロスがありません。修正が必要な場合も、すぐに訂正版を送れます。
記録の確実性
送信履歴が残るため、「送った・送らない」のトラブルを防げます。万が一の場合の証拠にもなります。
検索のしやすさ
電子データなので、必要な注文書を素早く探せます。テレワークにも対応でき、場所を選ばず作業できます。
気をつけるべきデメリットと対策
便利な反面、注意すべき点もあります。事前に対策を知っておきましょう。
見落とされるリスク
他のメールに埋もれて見逃される可能性があります。
・件名に【注文書送付】を必ず入れる
・重要案件は送信後に電話確認
・返信期限を設定する
セキュリティの心配
誤送信や情報漏えいのリスクがあります。
・送信前の宛先確認を徹底
・重要案件はパスワード保護
・機密性の高い内容はクラウド共有を活用
相手の対応環境
相手がメール対応に慣れていない場合があります。
・事前確認を必ず実施
・丁寧な説明を心がける
・代替手段も用意しておく
添付ファイルの正しい扱い方
ファイル形式はPDFが安全
WordやExcelファイルは簡単に編集できてしまうため、PDF形式での送付が一般的です。内容の改ざんを防ぎ、どの環境でも同じように表示されます。
ファイル名のつけ方
後から探しやすく、内容が分かりやすい名前にしましょう。
・基本:PO-2025-0001_注文書_20250910.pdf
・修正版:PO-2025-0001_注文書_修正版_20250910.pdf
・英数字中心で文字化けを防止
容量に注意
メールには添付ファイルの容量制限があります。大きいファイルの場合は、クラウドストレージを使ってリンクを送る方法もあります。
電子帳簿保存法への対応(必須)
メールでの注文書送受信は「電子取引」に該当し、法的な保存義務があります。
何を保存する必要があるか
以下の内容を電子データで保存する必要があります:
- 送受信したメール本文(取引内容が記載されている場合)
- 添付された注文書ファイル
- 関連する見積書や仕様書
保存期間
・法人:原則7年間
・個人事業主:5年間
・欠損金がある場合:10年間
保存要件の詳細
電子帳簿保存法では、以下の要件を満たす必要があります:
要件 | 内容 | 具体的な対応 |
---|---|---|
真実性の確保 | 改ざん・削除の防止 | タイムスタンプ付与または事務処理規程の策定 |
可視性の確保 | 検索機能の実装 | 取引年月日・取引先・取引金額で検索可能 |
見読性の確保 | 表示・印刷機能 | 必要時にすぐ確認できる状態で保存 |
システム関係書類の備付け | 操作説明書等の保管 | システム仕様書・操作マニュアルの整備 |
実際の保存方法
・ファイル名を「20250910_ABC商事_500000円_注文書.pdf」形式に
・取引先別・月別フォルダで整理
・Excel で索引簿を作成
・事務処理規程を策定(改ざん防止措置として)
受注側の対応テンプレート
注文書を受け取った側も、適切な返信が重要です。
件名:【注文書受領確認】○○案件(PO-2025-0001) 株式会社△△ 営業部 山田様 いつもお世話になっております。 ○○株式会社の佐藤です。 注文書(PO-2025-0001)を受領いたしました。 内容を確認し、以下の通り対応いたします。 ■受注内容確認 ・商品名:○○ ✓ ・数量:○個 ✓ ・希望納期:○月○日 → 対応可能 ・納入場所:○○営業所 ✓ 製造開始予定:○月○日 進捗報告:週1回メールでお知らせします この度はご注文いただき、ありがとうございます。 ご不明点がございましたら、下記までご連絡ください。 ────────────────── ○○株式会社 製造部 佐藤次郎 TEL:06-1234-5678 Email:sato@example.com ──────────────────
送信前の確認チェックリスト
ミスを防ぐため、送信前に必ずチェックしましょう。
・初回取引では事前に電話確認済みか
・至急案件では返信期限を明記したか
・機密性の高い内容ではセキュリティ対策をしたか
返信がない場合の対処法
メールを送ったのに返信がない場合の段階的な対応方法をご紹介します。
送信翌日
まずは相手の受信状況を確認します。
件名:【確認】注文書送付の件(昨日送信分) ○○様 昨日注文書をメール送付いたしましたが、 念のためお手元に届いているかご確認いただけますでしょうか。 もし届いていない場合は、お電話でご連絡いたします。 株式会社△△ 山田
3日後(リマインド)
件名:【再送】注文書送付の件(ご確認状況はいかがでしょうか) ○○様 ○月○日にお送りした注文書の件で、 ご確認状況はいかがでしょうか。 もし何かご不明な点がございましたら、 お気軽にお電話でお聞かせください。 お忙しい中恐れ入りますが、よろしくお願いいたします。 株式会社△△ 山田 TEL:03-1234-5678
1週間後(電話での確認)
メールでの連絡に限界を感じたら、電話で直接確認しましょう。
・まずはメールが届いているか確認
・添付ファイルが開けるか確認
・内容に不明点がないか確認
・今後の進め方を相談
よくあるNG例と改善方法
NG例 | 何が問題か | 改善例 |
---|---|---|
件名:お疲れ様です | 内容が全く分からない | 【注文書送付】○○案件のご依頼 |
注文書.pdf | どの注文書か特定できない | PO-2025-0001_注文書_20250910.pdf |
ファイルを確認してください | 何のファイルか不明 | 注文書(PDF)を添付しております |
連絡先なし | 問い合わせ方法が不明 | 直通TEL・メール両方を記載 |
よろしく | 敬語として不適切 | よろしくお願いいたします |
よくある質問
注文書をメールで送ることに法的な問題はありますか?
法的な問題はありません。ただし、電子帳簿保存法に従って適切に保存する必要があります。事前に取引先の同意を得ておくことも大切です。
初回取引でいきなりメールを送っても大丈夫?
初回の場合は、まず電話で「注文書をメールで送付してもよろしいですか」と確認することをお勧めします。相手の受け入れ体制を確認してから送りましょう。
「ご査収」と「ご確認」はどちらが良いですか?
「ご査収」は「内容を確認して受け取る」という意味でやや硬い表現です。「ご確認」の方が汎用的で使いやすく、迷った時は「ご確認のほどよろしくお願いいたします」が無難です。
返信がない場合はどうすればよいですか?
翌日に受信確認、3日後にリマインド、1週間後に電話確認という段階的なアプローチがお勧めです。相手の状況に配慮しつつ、確実に確認を取りましょう。
電子帳簿保存法への対応が難しそうですが…
基本的には「日付_取引先_金額」をファイル名に含め、検索できるよう整理保存すれば対応できます。心配な場合は税理士や専門システムの導入を検討しましょう。
まとめ
注文書のメール送付は、正しい方法で行えば業務効率化とコスト削減を同時に実現できる優れた手段です。
・送信前に必ず相手の対応可否を確認
・件名で内容を明確に伝える
・PDF形式で添付し、分かりやすいファイル名を使用
・電子帳簿保存法の要件を満たす保存を実施
・返信がない場合は段階的にフォローアップ
この記事のテンプレートとチェックリストを活用して、取引先との信頼関係を築きながら、効率的なビジネスを進めてください。