内定をいただいたものの、他社への入社を決めた、家庭の事情が変わった、進学することになったなど、さまざまな理由で辞退せざるを得ない状況は、就職活動や転職活動では決して珍しいことではありません。
しかし多くの方が「企業にどのように連絡すればいいのか」「メールだけで済ませても大丈夫なのか」「法的に問題はないのか」といった不安を抱えているのが実情です。
適切な内定辞退の連絡は、企業との信頼関係を保ち、将来的なビジネスチャンスも維持できる重要なコミュニケーションです。反対に、連絡方法や内容を間違えると、企業に大きな迷惑をかけるだけでなく、場合によっては法的なトラブルに発展する可能性もあります。
・内定辞退の正しい連絡手順(電話→メールの黄金パターン)
・新卒・中途・特殊事情別の実践的メールテンプレート12選
・法的リスクと個人情報・書類回収の完璧な対応方法
・企業からの引き留めやトラブル時の具体的対処法
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内定辞退で絶対に知っておくべき5つの基本原則
内定辞退を成功させるために、まず押さえておくべき5つの原則があります。これらを理解していないと、思わぬトラブルに巻き込まれる可能性があります。
迷っている時間が長いほど企業への迷惑は大きくなります。辞退を決めたら当日から翌営業日以内の連絡が鉄則です。
2. 電話→メールの黄金パターン
まず電話で直接謝罪と意思表示を行い、その後24時間以内にメールで記録として残します。これが最も印象の良い方法です。
3. 曖昧さは禁物:明確な意思表示
「検討中です」「悩んでいます」ではなく「辞退いたします」と明確に。中途半端な表現は相手を困らせます。
4. 理由は簡潔に:詳細すぎる説明は不要
「他社への入社を決めたため」「進学のため」程度で十分。長々とした事情説明は逆効果になります。
5. 感謝8割・謝罪2割のバランス
謝罪ばかりでは暗い印象になります。選考機会への感謝を中心に、適度な謝罪を組み合わせることが大切です。
内定の法的な性質を正しく理解しよう
「内定辞退って法的に大丈夫なの?」と不安に思う方も多いでしょう。厚生労働省の資料を基に、正確な情報をお伝えします。
内定とは何か?法的な位置づけ
厚生労働省の見解では、内定は「始期付解約権留保付労働契約」として扱われます。つまり、一定の条件下での労働契約が成立している状態です。
・企業と応募者の間で労働契約が成立した状態
・企業からの一方的な内定取消は、解雇と同様に厳格に判断される
・応募者からの辞退は原則として可能だが、信義則に反する場合は例外
「信義則違反」とは?
・入社直前での突然の辞退
・研修費用や準備費用を企業が負担した後の辞退
・虚偽の理由による辞退
違約金について知っておくべきこと
・労働基準法第16条により、あらかじめ決められた違約金の支払いは原則禁止
・ただし、企業が実際に被った損害の賠償請求は別の問題
・早期かつ誠実な対応により、法的リスクを最小限に抑えられる
電話とメール、どちらが正解?最適な連絡方法
「電話は緊張するからメールだけで済ませたい」と思う気持ちは理解できますが、内定辞退では連絡方法の選択が印象を大きく左右します。
電話とメールの使い分け完全ガイド
連絡段階 | 方法 | タイミング | 目的と内容 |
---|---|---|---|
第1段階 | 電話 | 決断後24時間以内 | 直接的な謝罪と辞退の意思表示 |
第2段階 | メール | 電話後24時間以内 | 正式な記録として詳細を文書化 |
第3段階 | 書面 | 企業から要求された場合 | 正式な辞退届の提出 |
フォロー | メール | 必要に応じて | 書類返却の確認、感謝の追加表明 |
電話での話し方テンプレート
電話での第一声は緊張しますが、以下のテンプレートを参考にすれば安心です。
【導入】
「お忙しい中失礼いたします。○○と申します。採用のご担当者様はいらっしゃいますでしょうか?」
【本題】
「この度は内定をいただき、ありがとうございます。誠に恐縮ですが、内定を辞退させていただきたくご連絡いたしました。」
【理由】
「他社への入社を決めましたため、このような決断をいたしました。」
【謝罪と感謝】
「お忙しい中、選考のお時間をいただいたにも関わらず、このような結果となり申し訳ございません。後ほどメールでも改めてご連絡いたします。」
あなたの状況はどれ?テンプレート選択ガイド
効果的な内定辞退メールを作成するために、まずあなたの状況を以下から選んでください。それぞれに最適なテンプレートをご用意しています。
【新卒向け】
・他社入社決定→テンプレート1
・進学・留学決定→テンプレート2
・学校推薦での辞退→テンプレート3
【転職者向け】
・他社内定による辞退→テンプレート4
・条件面での不一致→テンプレート5
・現職残留決定→テンプレート6
【特殊事情】
・入社承諾書提出後→テンプレート7
・健康上の理由→テンプレート8
・家庭の事情→テンプレート9
【実務対応】
・電話不通時→テンプレート10
・書類返却依頼→テンプレート11
・辞退後の感謝メール→テンプレート12
内定辞退メールのテンプレート12選
ここからは、あなたの状況に合わせて選べるメールテンプレートを12パターンご用意しました。【 】の部分を自分の情報に置き換えるだけで、すぐに使えます。
新卒向け:就活生必見テンプレート
テンプレート1:他社入社決定(最も使用頻度が高い)
件名:内定辞退のご連絡(【大学名】【氏名】) 【会社名】【部署名】 【担当者名】様 いつもお世話になっております。 【大学名】【学部名】の【氏名】です。 先ほどはお電話でお忙しい中お時間をいただき、 ありがとうございました。 この度は内定のご連絡をいただき、 心より感謝申し上げます。 家族ともよく相談し慎重に検討いたしました結果、 他社への入社を決めましたため、 誠に恐縮ですが内定を辞退させていただきたく、 ご連絡申し上げました。 選考過程では貴重なお時間を割いていただき、 また【面接官名】様をはじめ多くの方々から 温かくご指導いただいたにも関わらず、 このような結果となり、心よりお詫び申し上げます。 面接を通じて貴社の【魅力的だった点】について 深く理解することができ、 私にとって大変勉強になりました。 末筆ながら、貴社のますますのご発展と 皆様のご健康を心よりお祈り申し上げます。 —------- 【大学名】【学部名】 【氏名】 E-mail:【アドレス】 TEL:【番号】|携帯:【番号】 —-------
テンプレート2:進学・留学決定
件名:内定辞退のご連絡(進学決定のため) 【会社名】【部署名】 【担当者名】様 いつもお世話になっております。 【大学名】の【氏名】です。 この度は内定をいただき、 誠にありがとうございます。 家族と何度も話し合いを重ねた結果、 大学院への進学を決めましたため、 内定を辞退させていただきたくご連絡いたします。 選考過程では【具体的なエピソード】など、 貴重な経験をさせていただき、 自分の将来について深く考える機会となりました。 今回の決断は、将来的により高い専門性を身につけ、 社会に貢献したいという思いからです。 貴社で学ばせていただいたことを糧に、 進学先でも精進してまいります。 このような決断となり、深くお詫び申し上げます。 貴社の今後ますますのご発展をお祈りしております。 —------- 【大学名】【学部名】 【氏名】 E-mail:【アドレス】 TEL:【番号】|携帯:【番号】 —-------
テンプレート3:学校推薦での辞退
件名:【学校推薦・内定辞退】深くお詫び申し上げます(【大学名】【氏名】) 【会社名】【部署名】 【担当者名】様 お世話になっております。 【大学名】より学校推薦をいただいております【氏名】です。 この度は内定をいただき、 厚く御礼申し上げます。 大変心苦しく、また身勝手なお願いで恐縮ですが、 進路について家族と再検討した結果、 内定を辞退させていただきたく、 謹んでご連絡申し上げました。 学校推薦という大変貴重な機会をいただき、 また【担当者名】様には親身になって ご対応いただいたにも関わらず、 このような結果となってしまい、 深くお詫び申し上げます。 推薦をいただいた【教授名】教授にも 私から直接事情をご説明し、 心からお詫びいたします。 今後、貴社と大学との良好な関係に 影響することのないよう、 誠意を持って対応してまいります。 この度は本当に申し訳ありませんでした。 —------- 【大学名】【学部名】 【氏名】 E-mail:【アドレス】 TEL:【番号】|携帯:【番号】 —-------
中途転職向け:キャリア重視テンプレート
テンプレート4:他社入社決定(転職者スタンダード)
件名:内定辞退のご連絡(【氏名】) 【会社名】【部署名】 【担当者名】様 いつもお世話になっております。 【氏名】と申します。 先ほどはお電話でご挨拶させていただき、 ありがとうございました。 この度は内定をいただき、 誠にありがとうございます。 転職について慎重に検討を重ねました結果、 最終的に他社への入社を決めましたため、 誠に恐縮ですが内定を辞退させていただきます。 選考過程では【担当者名】様をはじめ、 多くの方々に貴重なお時間をいただき、 また貴社の【事業内容・企業理念など】について 詳しくお聞かせいただいたことで、 転職に対する考えを深めることができました。 このような結果となり、 心よりお詫び申し上げます。 貴社のますますのご発展を お祈りしております。 —------- 【氏名】 E-mail:【アドレス】 TEL:【番号】|携帯:【番号】 —-------
テンプレート5:条件面での不一致
件名:内定辞退のご連絡(条件検討の結果) 【会社名】【部署名】 【担当者名】様 お世話になっております。【氏名】です。 この度は内定をいただき、 ありがとうございます。 提示いただいた労働条件について 家族とも相談し、慎重に検討いたしました。 しかし、現在の家庭の状況と照らし合わせ、 特に【勤務地・給与・勤務時間等】の面で 調整が困難と判断いたします。 そのため、誠に恐縮ですが 内定を辞退させていただきたく、 ご連絡申し上げます。 面接では【担当者名】様に 丁寧にご対応いただき、 貴社の魅力について深く理解することができました。 条件面でのご相談をさせていただいた際も、 可能な範囲でご検討いただき、 心から感謝しております。 このような結果となり、 申し訳ございません。 —------- 【氏名】 E-mail:【アドレス】 TEL:【番号】|携帯:【番号】 —-------
テンプレート6:現職残留決定
件名:内定辞退のご連絡(現職残留のため) 【会社名】【部署名】 【担当者名】様 いつもお世話になっております。【氏名】です。 この度は内定をいただき、 誠にありがとうございます。 転職について熟考を重ねた結果、 現在の職場で新たな機会をいただくことになり、 現職に残る決断をいたしました。 そのため、誠に恐縮ですが 内定を辞退させていただきます。 転職を検討する過程で、 貴社の【印象的だった企業文化・事業内容等】について 深く理解でき、非常に魅力を感じておりました。 このような結果となり、 心よりお詫び申し上げます。 将来、何かの機会でお世話になることが あるかもしれません。 その際はどうぞよろしくお願いいたします。 —------- 【氏名】 E-mail:【アドレス】 TEL:【番号】|携帯:【番号】 —-------
特殊事情:デリケートな状況向けテンプレート
テンプレート7:入社承諾書提出後の辞退
件名:【緊急・内定辞退】入社承諾書提出後の辞退について(【氏名】) 【会社名】【部署名】 【担当者名】様 お世話になっております。【氏名】です。 入社承諾書をご提出させていただいた後の ご連絡となり、誠に申し訳ございません。 突然のことで恐縮ですが、 【やむを得ない家庭の事情・健康上の問題等】が発生し、 現在の状況では貴社において十分な力を 発揮することが困難と判断いたします。 そのため、誠に恐縮ですが 内定を辞退させていただきたく、 緊急にご連絡申し上げました。 承諾書をいただいた後の辞退という 極めて非常識な行為となってしまい、 深くお詫び申し上げます。 必要な手続きがございましたら、 迅速に対応いたします。 この度は本当に申し訳ありませんでした。 —------- 【氏名】 E-mail:【アドレス】 TEL:【番号】|携帯:【番号】 —-------
テンプレート8:健康上の理由
件名:内定辞退のご連絡(健康上の理由により) 【会社名】【部署名】 【担当者名】様 いつもお世話になっております。【氏名】です。 この度は内定をいただき、 ありがとうございます。 大変申し上げにくいことですが、 健康上の理由により、 現在の状況では貴社で十分に 力を発揮することが困難と判断し、 内定を辞退させていただきたく、 ご連絡申し上げます。 選考過程では【担当者名】様をはじめ 多くの方々に多大なお時間とお力添えを いただいたにも関わらず、 このような結果となり、 心よりお詫び申し上げます。 体調を整えながら、 改めて社会復帰の機会がございましたら、 その際はまたご指導いただければ幸いです。 この度は申し訳ありませんでした。 —------- 【氏名】 E-mail:【アドレス】 TEL:【番号】|携帯:【番号】 —-------
テンプレート9:家庭の事情
件名:内定辞退のご連絡(家庭の事情により) 【会社名】【部署名】 【担当者名】様 お世話になっております。【氏名】です。 この度は内定をいただき、 誠にありがとうございます。 突然のご連絡で恐縮ですが、 家庭の事情により、 当初予定しておりました入社が 困難となりました。 そのため、誠に恐縮ですが 内定を辞退させていただきたく、 ご連絡申し上げます。 急なご連絡となってしまい、 また選考過程で貴重なお時間を いただいたにも関わらず、 このような結果となり 深くお詫び申し上げます。 状況が落ち着きましたら、 改めてご挨拶に伺わせて いただければと存じます。 —------- 【氏名】 E-mail:【アドレス】 TEL:【番号】|携帯:【番号】 —-------
実務対応:状況別テンプレート
テンプレート10:電話不通時の緊急メール
件名:【緊急・内定辞退】お電話が繋がらないため(【氏名】) 【会社名】【部署名】 【担当者名】様 お世話になっております。【氏名】です。 内定辞退の件でお電話いたしましたが、 【時間帯】にお電話したところ お繋ぎできなかったため、 緊急にメールにてご連絡いたします。 この度は内定をいただき、 ありがとうございます。 他社への入社を決めましたため、 誠に恐縮ですが内定を辞退させていただきます。 本来であればお電話で直接お詫びし、 ご挨拶すべきところ、 メールでのご連絡となり 申し訳ございません。 【明日朝一番・本日夕方等】に 改めてお電話いたします。 取り急ぎメールにて失礼いたします。 —------- 【氏名】 E-mail:【アドレス】 TEL:【番号】|携帯:【番号】 —-------
テンプレート11:応募書類返却依頼
件名:内定辞退・書類返却依頼(【氏名】) 【会社名】【部署名】 【担当者名】様 お世話になっております。【氏名】です。 この度は内定をいただき、 ありがとうございます。 熟考の結果、他社への入社を決めましたため、 誠に恐縮ですが内定を辞退させていただきます。 つきましては、応募時に提出いたしました 履歴書・職務経歴書・成績証明書等の書類について、 ご返却いただくか、適切な廃棄処分を お願いできればと存じます。 個人情報保護の観点から、 適切にご対応いただければ幸いです。 ■返送先住所(ご返却いただける場合) 〒【郵便番号】 【住所】 【氏名】 宛 選考過程では貴重なお時間を いただいたにも関わらず、 このような結果となり、 心よりお詫び申し上げます。 —------- 【氏名】 E-mail:【アドレス】 TEL:【番号】|携帯:【番号】 —-------
テンプレート12:辞退後の感謝メール
件名:【御礼】内定辞退に関するご理解について(【氏名】) 【会社名】【部署名】 【担当者名】様 お世話になっております。【氏名】です。 先日は内定辞退に関しまして、 ご理解をいただき誠にありがとうございました。 お電話でも温かいお言葉をかけていただき、 心より感謝申し上げます。 今回は貴社にご入社することは 叶いませんでしたが、 選考過程で学ばせていただいたことは 私の貴重な財産となりました。 特に【担当者名】様から教えていただいた 【具体的な学び・アドバイス等】は、 今後のキャリア形成において 大切にしてまいります。 将来、何かの機会でお世話になることが あるかもしれません。 その際はどうぞよろしくお願いいたします。 改めて、貴社のますますのご発展を 心よりお祈り申し上げます。 —------- 【氏名】 E-mail:【アドレス】 TEL:【番号】|携帯:【番号】 —-------
効果的な表現技法とNG表現
内定辞退メールでは、相手に失礼のない適切な敬語を使用することが重要です。カジュアルすぎる表現や過度にかしこまった表現は避け、ビジネスシーンに適した丁寧で親しみやすい文章を心がけましょう。
NG表現(不適切) | OK表現(推奨) | 改善理由 |
---|---|---|
検討中です | 辞退させていただきます | 曖昧な表現は相手を困らせる |
取り急ぎ御礼まで | まずは御礼まで申し上げます | 「とりあえず」の印象を避ける |
勉強になりました | 【具体的な内容】について大変参考になりました | 具体性を持たせて印象を強める |
申し訳ありませんが | 誠に恐縮ですが | より丁寧で謙虚な印象 |
すみません | 申し訳ございません | ビジネスシーンに適した敬語 |
企業からの返信と対応方法
内定辞退メールを送信後、企業から様々な返信が来る可能性があります。それぞれの対応方法を理解しておきましょう。
返信パターンと対応方法
返信パターン | 対応方法 | 注意点 |
---|---|---|
了承の返信 | 基本的に返信不要 | 企業側の負担を考慮 |
理由詳細の質問 | 正直かつ失礼のない範囲で回答 | 嘘や偽りは避ける |
引き留めや説得 | 決意が固いことを丁寧に伝達 | 曖昧な回答は避ける |
面談の提案 | 辞退が確定なら丁寧にお断り | 時間の無駄にならないよう配慮 |
返信なし | 1週間後に確認の電話 | メールが届いていない可能性 |
引き留めへの対処法
企業から引き留めを受けた場合、以下の点に注意して対応しましょう。
・決意が固いことを明確に伝える
・感謝の気持ちを示しつつ、意思は変わらないことを表明
・長時間の説得には冷静に対応
・違法な引き留め(オワハラ)の場合は労働基準監督署に相談
よくある質問
内定辞退はメールだけでも法的に問題ありませんか?
法的には問題ありませんが、まず電話での連絡が望ましいです。内定辞退自体は応募者の権利として認められていますが、信義則に反しない方法で行うことが重要です。電話で直接謝罪と意思表示を行い、その後メールで記録として残すのがベストプラクティスです。
入社承諾書を提出した後でも辞退できますか?
法的には可能ですが、契約上の拘束力が高まるため注意が必要です。入社承諾書は労働契約の一部として扱われる場合があります。やむを得ない理由がある場合に限り、即座に誠実な対応を行うことで、法的リスクを最小限に抑えられます。
企業から損害賠償を請求される可能性はありますか?
労働基準法第16条により違約金の予定は禁止されていますが、実損は法的に可能です。ただし、企業が実際に被った損害(研修費用等)については、個別に判断される場合があります。早期かつ誠実な対応により、このリスクは大幅に軽減できます。
応募書類(履歴書等)は返却してもらえますか?
法的義務はありませんが、依頼すれば多くの企業が対応してくれます。個人情報保護の観点から、不要な個人データの消去努力義務があります。返却または適切な廃棄処分を丁寧に依頼すれば、ほとんどの企業が応じてくれます。
内定辞退の理由はどこまで詳しく説明すべきですか?
「他社入社決定」「進学」程度の簡潔な理由で十分です。詳細すぎる説明は不要で、相手が納得できる範囲での説明に留めましょう。プライベートな事情を無理に詳しく説明する必要はありません。重要なのは誠実な態度で伝えることです。
新卒の就活で複数内定がある場合、すべてに同じ理由を言って大丈夫ですか?
基本的に問題ありませんが、学校推薦や特別なルートの場合は配慮が必要です。一般的な選考であれば「他社への入社を決定したため」で統一して問題ありません。ただし、学校推薦や教授紹介等の場合は、推薦者への影響も考慮し、より丁寧な説明と謝罪が必要になります。
内定辞退後に企業から引き留められた場合はどう対応すべきですか?
決意が固いことを明確に伝え、冷静かつ丁寧に対応します。条件面での交渉や情に訴える説得があっても、「検討します」などの曖昧な回答は避け、明確に辞退の意思を示すことが大切です。違法な引き留めの場合は、労働基準監督署に相談しましょう。
内定辞退の連絡後、企業から返信がない場合はどうすればよいですか?
1週間程度待っても返信がない場合は、確認の電話をかけましょう。メールが届いていない可能性や、担当者が多忙で返信が遅れている場合があります。「先日お送りしたメールを確認していただけましたでしょうか」と丁寧に確認することが大切です。
内定辞退することで、その企業のグループ会社への応募に影響しますか?
適切な方法で辞退すれば、将来の応募に大きな影響はありません。誠実かつ丁寧な対応で辞退した場合、多くの企業は理解を示してくれます。ただし、企業によってはグループ内で情報共有される場合もあるため、最後まで社会人として責任ある行動を取ることが重要です。
内定辞退メールに返信が来た場合、どう対応すべきですか?
理解を示していただいた場合は、改めて感謝のメールを送ります。企業から温かい返信をいただいた場合は、24時間以内に感謝の気持ちを込めた短いお礼メールを送ると、とても良い印象を残せます。将来的な関係性を考慮し、最後まで丁寧な対応を心がけましょう。
送信前の最終チェックポイント
内定辞退メールを送信する前に、以下の項目を必ず確認してください。一度送信すると取り消せないため、慎重にチェックしましょう。
□ まず電話での連絡を試みたか(または試みる予定か)
□ 件名に「内定辞退」と自分の氏名が明記されているか
□ 冒頭で内定への感謝が適切に表現されているか
□ 辞退の意思が曖昧でなく明確に示されているか
□ 辞退理由が簡潔で適切な内容になっているか
□ 謝罪の気持ちが込められているか
□ 必要に応じて書類返却の依頼が含まれているか
□ 自分の正確な連絡先が記載されているか
□ 誤字・脱字がないか最終確認したか
□ 送信先のメールアドレスに間違いがないか
□ 営業時間内に送信する予定か
□ 敬語の使い方が適切で統一されているか
□ 文章全体のトーンが丁寧で誠実になっているか
まとめ
内定辞退は決して珍しいことではありませんが、その方法次第で企業との関係性や自身の社会人としての評価が大きく変わります。最も重要なのは、相手企業への敬意を忘れず、迅速で誠実な対応を心がけることです。
1. 迅速な行動:決断後48時間以内、電話→メールの順序で連絡
2. 明確な意思表示:曖昧さを避け「辞退いたします」と明確に
3. 適切な感謝と謝罪:感謝8割・謝罪2割のバランスで好印象を維持
4. 簡潔な理由説明:詳細すぎず、相手が納得できる範囲での理由提示
5. 最後まで誠実な対応:書類処理や返信対応まで責任を持って実施
この記事のテンプレートと注意点を参考に、あなたの状況に最適な内定辞退の連絡を行ってください。適切な対応により、企業との良好な関係を維持し、将来のキャリアにとってもプラスとなる経験にしていきましょう。
参考文献・引用情報