相見積もりで他社を選んだ時、どう断れば相手に失礼にならないか悩む方は多いでしょう。適切な断り方をすれば、今回は縁がなくても、将来の大きなビジネスチャンスにつながることがあります。
相見積もりの断りは「感謝→結果→客観的理由→将来への期待」の流れで伝えることで、相手のプライドを傷つけず、良好な関係を維持できます。逆に、理由が不適切だったり、返信が遅かったりすると、せっかくの人脈を失い、業界での評判を下げるリスクもあります。
この記事では、相手に失礼にならない断り方のコツと、すぐに使えるメールテンプレート8選をご紹介します。心理的な配慮まで含めて解説するので、誰でも自信を持って対応できるようになります。
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参考:【例文14選】見積もりの値引き交渉メール完全ガイド|失礼なく通る書き方と法令遵守のポイント
参考:見積依頼への返信メールの書き方|すぐ使えるテンプレート8選と受注率向上のコツ
参考:取引・会計に関する実務メール大全【保存版】
相見積もりの断り方で絶対に守るべき3つのマナー
相見積もりでお断りする時は、相手の心情を理解した上で、以下の3つのマナーを必ず守りましょう。これらを意識するだけで、断られた相手の印象は大きく変わります。
見積もり作成には多くの時間と労力がかかります。まず「お忙しい中、詳細な提案をありがとうございました」と感謝を示すことで、断りの印象を和らげられます。
他社との比較表現は絶対に避ける
「他社の方が安い」「機能が充実している」などの直接比較は、相手のプライドを深く傷つけます。「総合的な判断により」「社内基準に照らして」など、客観的な表現を使いましょう。
将来の可能性を必ず残す
「次の機会には」「条件が変われば」など、将来への期待を込めた一言を必ず入れます。この配慮により、一時的な断りが長期的な関係構築の第一歩になります。
断りメールが相手に与える心理的影響
相見積もりで断られる側の心理を理解することで、より配慮あるメールを作成できます。
相手の心理状態 | 配慮すべきポイント | 効果的な表現 |
---|---|---|
労力が無駄になった感 | 提案作成の努力を認める | 「詳細な資料作成に感謝」 |
自社への否定的評価の不安 | 提案内容の価値を認める | 「ご提案は大変参考になりました」 |
将来の機会への不安 | 継続的な関係への期待を示す | 「次回はぜひご相談させてください」 |
断られた理由への疑問 | 客観的で納得できる理由を提示 | 「予算の都合により」 |
時間の無駄遣いした感 | 迅速な結果連絡で誠意を示す | 「決定後すぐにご連絡」 |
状況別 相見積もりお断りメール件名の作り方
件名は相手が受信箱で見た瞬間に、内容と結果が分かるように書きましょう。以下のパターンから選んで使ってください。
状況 | 件名例 | 相手への配慮 |
---|---|---|
基本パターン | 【御礼】相見積もりの結果ご連絡([案件名]) | 感謝を前面に出した丁寧な表現 |
予算理由 | 【御礼】見積もりの件・予算都合により見送り | 理由を明確にして納得感を高める |
要件不適合 | 【御礼】相見積もりの件・要件調整つかず辞退 | 否定的でない表現で理由を説明 |
既存取引先 | 【御礼】見積もりの件・今後ともよろしくお願いします | 継続関係への配慮を明確に |
初回取引 | 【御礼】初回ご提案の件・選定結果のご連絡 | 初回であることを認識した丁寧さ |
将来性重視 | 【御礼】見積もりの件・次回機会でのご相談希望 | 将来への期待を件名でも表現 |
社内事情 | 【御礼】相見積もりの件・社内事情により見送り | 個人的でない理由であることを明示 |
スケジュール | 【御礼】見積もりの件・納期調整つかず辞退 | 具体的で納得しやすい理由 |
心を込めた相見積もりお断りメールテンプレート8選
相手の気持ちに寄り添い、将来の関係を大切にするメールテンプレートをご紹介します。どれも実際のビジネスシーンで使える実用的な内容です。
1. 基本パターン(他社採用・総合判断)
件名:【御礼】相見積もりの結果ご連絡([案件名]) [会社名] [部署名] [氏名] 様 いつもお世話になっております。 [自社名]の[氏名]です。 このたびは[案件名]について、 お忙しい中、詳細なご提案とお見積もりを ご用意いただき、誠にありがとうございました。 社内で慎重に検討いたしました結果、 総合的な判断により、今回は他社様の ご提案で進めることとなりました。 せっかくお時間を割いてご対応いただいた にもかかわらず、このような結果となり、 心よりお詫び申し上げます。 いただいたご提案は非常に参考になるもので、 社内でも高く評価されておりました。 今後、類似の案件や新しいプロジェクトが 発生した際には、ぜひ優先的にご相談 させていただきたく存じます。 引き続きどうぞよろしくお願いいたします。 [署名]
2. 予算都合による見送り
件名:【御礼】見積もりの件・予算都合により見送り [会社名] [部署名] [氏名] 様 いつもお世話になっております。 [自社名]の[氏名]です。 [案件名]のお見積もりをいただき、 ありがとうございました。 ご提案の内容は大変魅力的でしたが、 当初の予算計画との調整がつかず、 今回は見送らせていただく判断と なりました。 価格に見合った価値のあるご提案で あっただけに、予算の制約により 実現できず残念に思います。 来年度の予算策定時期([時期])には、 改めてご相談させていただければ と存じます。 今後ともよろしくお願いいたします。 [署名]
3. 納期・スケジュール不一致
件名:【御礼】見積もりの件・納期調整つかず辞退 [会社名] [部署名] [氏名] 様 いつもお世話になっております。 [自社名]の[氏名]です。 このたびは[案件名]について、 迅速にご提案いただき、 ありがとうございました。 検討の結果、当方の希望納期と ご提示いただいたスケジュールとの 調整がつかず、今回は辞退させて いただくこととなりました。 ご提案の内容やアプローチは 非常に興味深く、もう少し時間的 余裕があれば、ぜひお願いしたかった というのが率直な感想です。 今後、スケジュールに余裕のある 案件では、最優先でご相談させて いただきたく存じます。 よろしくお願いいたします。 [署名]
4. 要件・仕様の適合性
件名:【御礼】相見積もりの件・要件調整つかず辞退 [会社名] [部署名] [氏名] 様 いつもお世話になっております。 [自社名]の[氏名]です。 [案件名]について、詳細なご提案を いただき、ありがとうございました。 社内で検討いたしましたが、 当方の必須要件との適合性において 調整が困難と判断され、今回は 見送らせていただくこととなりました。 ご提案の技術力や実績については 非常に高く評価しており、要件の 相違による判断であることを ご理解いただければと存じます。 将来的に要件が見直される際には、 ぜひ再度ご相談させていただきたく 思います。 よろしくお願いいたします。 [署名]
5. 既存取引先への特別配慮
件名:【御礼】見積もりの件・今後ともよろしくお願いします [会社名] [部署名] [氏名] 様 いつもお世話になっております。 [自社名]の[氏名]です。 このたびの[案件名]につきまして、 お見積もりをいただき、 ありがとうございました。 平素からのお取引に心から感謝 申し上げつつ、今回は社内の 総合的な判断により、別の選択肢で 進めることとなりました。 普段のお取引でのご協力には 深く感謝しており、今回の件が 今後の関係に影響することは 決してございません。 むしろ、信頼関係のある御社には、 より重要で大きな案件で、お力を お借りしたいと考えております。 引き続き末永くお付き合いください ますよう、心よりお願い申し上げます。 [署名]
6. 初回提案への丁寧な対応
件名:【御礼】初回ご提案の件・選定結果のご連絡 [会社名] [部署名] [氏名] 様 初回のご提案にもかかわらず、 詳細な資料とお見積もりをご用意 いただき、誠にありがとうございました。 御社の技術力と提案力の高さを 実感することができ、大変勉強に なりました。 今回は他社様のご提案で進める ことになりましたが、御社の ご提案内容については社内でも 高い評価をいただいております。 今後、御社の得意分野に適した 案件が発生した際には、ぜひ 最優先でお声がけさせていただき たく存じます。 この度は貴重なお時間をいただき、 ありがとうございました。 [署名]
7. 社内方針変更による見送り
件名:【御礼】相見積もりの件・社内方針変更により見送り [会社名] [部署名] [氏名] 様 いつもお世話になっております。 [自社名]の[氏名]です。 [案件名]のご提案をいただき、 ありがとうございました。 検討中に社内の投資方針と 優先順位に変更が生じ、 本件については一旦保留とする 判断となりました。 せっかくご準備いただいた ご提案を活用できず、大変 心苦しく思っております。 方針が再び整理され、プロジェクトが 再開される際には、改めてご連絡 させていただきます。 ご理解のほど、よろしくお願いいたします。 [署名]
8. 入札・コンペ結果通知
件名:【入札結果】[案件名]選定のご報告 [会社名] [部署名] [氏名] 様 この度は[案件名]の入札に ご参加いただき、ありがとうございました。 厳正な審査を行いました結果、 今回は他社様を選定いたしました。 評価は僅差であり、御社のご提案も 非常に高い水準にあったことを お伝えいたします。 今後も様々な案件で入札機会が ございますので、その際には ぜひご参加をご検討ください。 ご提出いただいた資料は、社内規程に 基づき適切に保管・管理いたします。 今後ともよろしくお願いいたします。 [署名]
絶対にやってはいけない断り方のNG例
以下の表現や対応は、相手との関係を決定的に悪化させるリスクがあります。必ず避けるようにしましょう。
表現のNG例と改善方法
絶対NG | なぜダメか | 改善例 |
---|---|---|
「A社の方が安いので」 | 直接比較で相手のプライドを傷つける | 「予算との整合性を考慮し」 |
「提案内容がイマイチ」 | 相手の能力を否定する失礼な表現 | 「当方の要件との適合性を考慮し」 |
「期待外れでした」 | 相手の努力を全否定する表現 | 「社内基準との整合を優先し」 |
「値段が高すぎる」 | 価格設定を直接批判する表現 | 「コスト面での調整がつかず」 |
「もう連絡しないで」 | 将来の可能性を完全に断つ表現 | 「当面は別案で進めますが、将来的には」 |
タイミングのNG例
NG行動 | 相手への影響 | 適切な対応 |
---|---|---|
1週間以上連絡しない | 不誠実な印象、不安感の増大 | 決定後2-3日以内に必ず連絡 |
採用企業名を伝える | 不要な競争意識や嫉妬を生む | 「他社様」で留める |
理由を詳しく説明しすぎ | 言い訳がましい印象 | 簡潔で客観的な理由に留める |
電話連絡なしでメールのみ | 冷たい印象(重要取引先の場合) | 重要な相手には電話+メールで |
誰宛かが不明確 | 責任の所在が曖昧な印象 | 担当者名を明確に記載 |
相手の立場別 断り方の配慮ポイント
相手の企業規模や関係性によって、配慮すべきポイントが変わります。以下を参考に、より心のこもった対応を心がけてください。
相手の立場 | 心理的特徴 | 配慮のポイント |
---|---|---|
大企業 | プロセスの公正性を重視 | 選定プロセスが適正だったことを強調 |
中小企業 | 受注機会への期待が高い | 将来の具体的機会への言及 |
スタートアップ | 成長意欲が強く学習志向 | 提案の良い点を具体的に評価 |
フリーランス | 個人の能力評価への敏感さ | 専門性やスキルへの評価を明記 |
既存パートナー | 関係継続への不安 | 今回の件が全体関係に影響しない旨を強調 |
断った後の関係維持戦略
お断りメールを送った後も、以下の方法で長期的な関係を育てることができます。将来の大きなビジネスチャンスにつながる可能性があります。
- 定期的な情報共有
業界動向や自社の状況変化があれば、年に2-3回程度、軽い情報提供として連絡を取ります。完全に関係を断つのではなく、緩やかなつながりを保ちましょう。 - 適切なタイミングでの声がけ
相手の得意分野に合致する案件が発生した時は、積極的に声をかけます。以前のお断りへの配慮として、優先的に検討することで信頼関係を構築できます。 - 相手の成功への関心
相手企業の成長や成功事例を見つけた時に、簡単なお祝いメッセージを送ることで、良好な関係を維持できます。
よくある質問
相見積もりの結果はいつまでに連絡すべきですか?
選定決定後、できるだけ早く、遅くとも2-3日以内には必ず連絡しましょう。相手は結果を心待ちにしているため、迅速な連絡が誠意を示すことになります。1週間以上遅れると失礼な印象を与え、今後の関係に悪影響を及ぼします。
断りの理由はどの程度具体的に説明すべきですか?
客観的で納得できる理由を簡潔に伝えれば十分です。「総合的な判断により」「予算の都合により」「要件との適合性を考慮し」など、相手を否定しない表現を使います。詳細すぎる説明は言い訳がましく聞こえる可能性があります。
他社を選んだ理由を聞かれた場合はどう答えれば良いですか?
「社内の総合的な判断基準によるもの」として、具体的な比較は避けましょう。どうしても説明が必要な場合は、「予算」「スケジュール」「要件適合性」など、客観的で相手を否定しない要素に限定して説明します。
既存の取引先からの見積もりを断る時の特別な配慮は?
既存の取引関係への感謝を強く表現し、今回の件が全体の関係に影響しないことを明確に伝えましょう。「日頃のお取引には心から感謝しており」「より大きな案件でお力をお借りしたい」など、継続的な関係への強い意志を示すことが重要です。
提案内容を評価する時はどの程度具体的に言及すべきですか?
「非常に参考になりました」「技術力を高く評価」程度の表現で十分です。あまり具体的すぎると、なぜ採用しなかったのかという疑問を生み、かえって相手を困惑させる可能性があります。適度な評価表現に留めましょう。
将来の機会について、どの程度具体的に言及すべきですか?
「次回の機会には」「条件が整えば」程度の表現が適切です。具体的な時期や案件名を挙げると約束として受け取られるリスクがあります。将来への期待を示しつつ、適度な抽象性を保つことが重要です。
電話とメール、どちらで断るのが良いですか?
重要な取引先には電話で事前に伝え、その後メールで正式に連絡するのが最も丁寧です。一般的な相見積もりの場合はメールでも問題ありませんが、長期取引先や大口案件の場合は、電話での事前連絡が誠意を示すことになります。
相見積もりお断りメール作成時のチェックリスト
□ 決定後2-3日以内に連絡
□ 件名で内容と案件名が分かりやすく表示
□ 冒頭で相手の努力への感謝を十分に表現
□ 他社との直接比較表現を一切使用していない
□ 客観的で前向きな断り理由を簡潔に記載
□ 相手の提案の価値を認める表現を含める
□ 将来の協力可能性への言及がある
□ 敬語が自然で適切に使われている
□ 相手のプライドを傷つける表現がない
□ 温かみのある締めくくりで関係継続への意志を表現
まとめ
相見積もりの断り方は、単なる取引の終了ではなく、将来のビジネス関係の基礎を築く大切な機会です。相手の心情に寄り添った丁寧な対応により、断りが信頼関係の深化につながることもあります。
心に残る断り方の3つの秘訣
- 相手の立場で考える:労力への感謝と敬意を忘れずに
- 将来への希望を残す:一時的な断りを長期的な関係の始まりに
- 温かみのある表現:ビジネスライクでも人間性を大切に
この記事のテンプレートと心構えを活用して、相手に喜ばれる断り方を実践してください。今日の丁寧な対応が、明日の大きなビジネスチャンスを生み出すかもしれません。