【例文付】請求書の発行依頼メールの書き方完全ガイド

ビジネス連絡
請求書の発行依頼メールは、支払いサイクルを円滑に進めるための重要な連絡です。件名で用件・対象・期限を明確にし、本文は請求対象・必要情報・希望受領日・依頼内容を簡潔にまとめることで、迅速な対応が期待できます。

2023年10月から開始された適格請求書制度(インボイス制度)への対応や、下請法による支払期日の規定も考慮した適切な依頼により、双方にとってスムーズな取引関係を築くことが可能になります。

請求書発行依頼メールの5つの基本原則

効果的な請求書発行依頼メールには、以下の5つの原則があります。これらを守ることで、相手にとって分かりやすく、効率的な請求書発行が実現できます。

  1. 件名に用件と希望受領日を明記
    「【請求書発行依頼】」で始め、対象案件と希望受領日を含めます。受信者が優先度と対応期限を一目で判断できるようにしましょう。
  2. 本文は一画面で読める構成
    請求対象→必要情報→希望受領日→依頼内容の順で、簡潔に要点をまとめます。相手が迷わずに対応できる情報量に調整することが重要です。
  3. 適格請求書制度への配慮を明記
    登録番号・税率ごとの金額・消費税額等の記載が必要な場合は、具体的にお願いします。仕入税額控除に関わる重要な要素です。
  4. 支払いサイクルの背景を共有
    締め日・支払日との関係を一行で説明し、遅延リスクを避ける理由を伝えます。相手の理解と協力を得やすくなります。
  5. 適切な送付方法を指定
    PDF添付(2MB以内)または期限付きクラウドリンクを指定し、相手の受信環境に配慮します。大容量ファイルは期限を明記したリンク共有が安全です。

請求書の発行依頼メールの件名テンプレート20選

そのまま使える件名テンプレートを20パターンご紹介します。【 】内を実際の情報に置き換えてください。

場面 件名テンプレート 適用タイミング
基本 【請求書発行依頼】【4月分(案件名)】—希望受領:【8/20】 最も汎用性の高い基本形
締切前 【請求書送付のお願い】締切前の受領希望(【8/20 17:00】) 支払い処理の締切が近い場合
再発行 【請求書再発行のお願い】宛名訂正あり(詳細本文) 記載内容の修正が必要な場合
部分請求 【部分請求の発行依頼】第1期分(3件) 段階的な支払いの場合
月次固定 【月次固定費】請求書発行のお願い(【8月分】) 定期的な固定費の請求
インボイス 【インボイス対応】登録番号記載のお願い(No.明記) 適格請求書の要件確認
支払期日 【支払期日連動】受領希望日:【8/20】(遅延回避のため) 支払い遅延を避けたい場合
送付方法 【請求書送付方法】PDF添付/ポータル登録のお願い 送付方法を指定したい場合
再送 【再送】請求書ご手配のお願い(行き違いご容赦ください) 返信がない場合のフォロー
確認 【確認依頼】内訳・税率区分の記載につきまして 記載内容の確認が必要
検収後 【検収合格済】請求書発行のお願い(証憑同封) 検収完了後の請求
制作費 【取材・制作費】請求書発行のお願い(案件別内訳あり) 制作案件の費用請求
システム 【システム運用費】月次請求のご依頼(締め:毎月末) システム関連費用の請求
共同案件 【共同案件】パートナー各位—請求書集約のお願い 複数社が関わる案件
英語対応 【英語版可】Invoice issuance request(JP/EN) 日英両対応が必要な場合
情報変更 【宛名・住所変更】請求書発行前の情報更新 請求先情報の変更がある場合
支払条件 【支払ターム変更】翌月末払い—請求書受領のお願い 支払い条件が変更された場合
差替 【差替版】金額修正に伴う再発行のお願い 金額等の修正が必要な場合
最終 【最終のご連絡】請求書ご手配のお願い 最終通知として
口座確認 【口座情報確認】請求書発行前のご確認 振込先口座の確認が必要
件名作成のポイント
用件を先頭に明記し、対象案件と希望受領日を含めることで、受信者が優先度と対応期限を判断しやすくなります。

請求書の発行依頼メールの本文テンプレート14選

実際のメール本文で使える、状況別のテンプレートをご紹介します。コピーして【 】内を置き換えるだけで使用できます。

1. 基本パターン(初回依頼)

【会社名】
【部署名】
【氏名】 様

お世話になっております。【自社名】の【氏名】です。

【案件名/期間】の請求書をご発行いただきたく
ご連絡いたします。

■ 請求対象
・【対象A】【金額】
・【対象B】【金額】(内税/外税の別)

■ 請求書の宛名・送付方法
・宛名:【正式名称】
・送付:PDF添付(またはポータル)/郵送不要

■ 希望受領日(支払サイクルの都合)
・【8/20(火)17:00】まで
※受領が遅れると当月支払に間に合わない可能性があります。

恐れ入りますが、ご手配のほど
よろしくお願いいたします。

――――――――――――――――――――
【署名】
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2. 二回目依頼(背景説明付き)

【会社名】
【部署名】
【氏名】 様

お世話になっております。【自社名】の【氏名】です。

先日お願いいたしました請求書の件で、
再度ご連絡させていただきます。

社内の支払処理の都合上、【8/20(火)】までに
請求書を受領できると助かります。

難しい場合は、新しい受領予定日を
ご提案いただけますでしょうか。

お忙しい中恐縮ですが、ご協力のほど
よろしくお願いいたします。

――――――――――――――――――――
【署名】
――――――――――――――――――――

3. 最終通知(クロージング条件明示)

【会社名】
【部署名】
【氏名】 様

お世話になっております。【自社名】の【氏名】です。

たびたび恐れ入ります。
これにて最終のご連絡といたします。

【8/21(水)正午】までに受領できない場合、
今回分の支払いは翌サイクルで手配いたします。

ご迷惑をおかけして申し訳ございませんが、
ご了承いただけますと幸いです。

――――――――――――――――――――
【署名】
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4. 宛名・住所訂正依頼

【会社名】
【部署名】
【氏名】 様

お世話になっております。【自社名】の【氏名】です。

請求書の宛名を下記に訂正のうえ、
再発行をお願いいたします。

■ 訂正内容
・正:【新宛名/住所/部署名】
・誤:【旧宛名】

差替版のPDFをお送りいただけますでしょうか。

お手数をおかけして申し訳ございません。
よろしくお願いいたします。

――――――――――――――――――――
【署名】
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5. 金額・内訳訂正依頼

【会社名】
【部署名】
【氏名】 様

お世話になっております。【自社名】の【氏名】です。

内訳の【項目名】につき、金額の訂正が必要でした。

■ 修正内容
・正:【¥ 000,000】
・誤:【¥ 000,000】

お手数ですが、差替版(再発行)を
ご手配いただけますでしょうか。

ご迷惑をおかけして申し訳ございません。
よろしくお願いいたします。

――――――――――――――――――――
【署名】
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6. 適格請求書対応依頼

【会社名】
【部署名】
【氏名】 様

お世話になっております。【自社名】の【氏名】です。

仕入税額控除の関係上、請求書に下記のご記載を
お願いいたします。

■ 適格請求書の必要項目
・適格請求書発行事業者の登録番号
・税率ごとの合計金額・適用税率・消費税額
・取引年月日/取引内容/相手方名

恐れ入りますが、上記項目を含めた
請求書の発行をご検討ください。

――――――――――――――――――――
【署名】
――――――――――――――――――――

7. 部分請求依頼

【会社名】
【部署名】
【氏名】 様

お世話になっております。【自社名】の【氏名】です。

第1期分(3件)につき、部分請求の発行を
お願いいたします。

■ 部分請求の内容
・対象:【A/B/C】
・合意金額:【000,000円】(残額:【000,000円】)
・請求タイミング:【検収合格/マイルストン到達】

段階的なお支払いにご協力いただき、
ありがとうございます。
よろしくお願いいたします。

――――――――――――――――――――
【署名】
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8. 月次固定費依頼

【会社名】
【部署名】
【氏名】 様

お世話になっております。【自社名】の【氏名】です。

【サブスクリプション/運用保守】の【8月分】請求書について、
毎月末締め翌月末払いのため、当月分は【8/20(火)】までに
ご発行いただけますでしょうか。

今後は毎月同スケジュールでお願いできれば幸いです。

継続的なサービス提供に感謝いたします。
よろしくお願いいたします。

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【署名】
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9. 送付方法指定

【会社名】
【部署名】
【氏名】 様

お世話になっております。【自社名】の【氏名】です。

受信制限の都合により、請求書はPDF添付(2MB以内)
または期限付きリンクでお願いいたします。

■ 希望送付方法
・PDF添付:2MB以内
・クラウドリンク:有効期限をご教示ください

ご不便をおかけして申し訳ございません。
よろしくお願いいたします。

――――――――――――――――――――
【署名】
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10. ポータルアップロード依頼

【会社名】
【部署名】
【氏名】 様

お世話になっております。【自社名】の【氏名】です。

請求書は当社精算ポータルへのアップロードで
受領しております。

■ アップロード手順
・URL:【システムURL】
・操作:申請「請求書アップロード」を選択
・入力項目:【案件名/金額/締め日】

ご不明点がございましたら、下記まで
お気軽にお知らせください。

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【署名】
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11. 検収完了後の発行依頼

【会社名】
【部署名】
【氏名】 様

お世話になっております。【自社名】の【氏名】です。

検収合格の証憑(検収書PDF)を添付いたします。
請求書のご発行をお願いいたします。

■ 請求書発行の詳細
・対象:【案件名・納品物】
・検収完了日:【日付】
・希望受領:【8/20】

検収手続きが完了しましたので、
請求書の発行をお願いいたします。

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【署名】
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12. 英語併記パターン

Subject: Invoice issuance request — [Project/Month]

Dear [Name],

Could you kindly issue the invoice for [project/month]? 
We would appreciate receiving it by Tue, Aug 20, 5:00 PM JST 
to meet our pay-cycle.

If easier, a PDF via email or a link with an expiry date 
would be perfect.

Thank you for your cooperation.

Kind regards,
[Name]

【日本語併記】
【案件名/期間】の請求書発行をお願いいたします。
支払いサイクルの都合上、【8/20(火)17:00】JST
までに受領できると助かります。

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【署名】
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13. 社内向け依頼指示

【部署名】 各位

お疲れ様です。【氏名】です。

【取引先名】へ請求書発行依頼のご連絡をお願いします。

■ 依頼内容
・希望受領:【8/20】
・テンプレート:下書きに保存済み
・送付後:受領予定日をご共有ください

スケジュール調整にご協力ください。
よろしくお願いいたします。

――――――――――――――――――――
【署名】
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14. 受領完了お礼

【会社名】
【部署名】
【氏名】 様

お世話になっております。【自社名】の【氏名】です。

請求書を確かに受領いたしました。
迅速なご手配に心より感謝いたします。

■ 支払予定
・支払予定日:【日付】
・処理状況:社内手続き中

何かご不明点がございましたら
お気軽にお知らせください。

今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

――――――――――――――――――――
【署名】
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よくある問題と改善事例

請求書発行依頼メールでよく見られる問題点と、より効果的な改善例をご紹介します。適切な表現により、スムーズな請求書発行プロセスが実現できます。

表現・依頼方法の改善事例

改善前 改善後 改善ポイント
至急、請求書ください。 当月支払の都合上、8/20(火)17:00までに受領希望です。難しい場合は受領予定日をご提案ください。 期限の理由と代替案を提示
インボイス対応でお願いします。 登録番号、税率ごとの合計金額と消費税額の記載をご確認ください。 必須項目を具体的に明記
請求書送ってください。 【案件名】の請求書発行をお願いします(宛名・金額・送付方法を明記) 対象と必要情報を具体化

法的要件の改善事例

改善前 改善后 改善ポイント
検収後でないと請求書は発行できません。 社内処理の都合で検収後の請求書発行をお願いします。 社内手続きの説明として整理
適格請求書制度に対応してください。 登録番号・税率ごとの金額・消費税額の記載をお願いします。 具体的な必要項目を明示
いつでもいいので請求書をください。 支払期日の関係で【日付】までに受領希望です。 支払いサイクルとの関係を説明

送付方法の改善事例

改善前 改善后 改善ポイント
大容量のスキャンファイルをそのまま送付 PDF 2MB以内または期限付きクラウドリンクで送付 受信環境への配慮
送付方法を指定しない PDF添付・ポータル登録・郵送などの希望方法を明記 相手の負担軽減と確実な受領
無期限のファイル共有リンク 有効期限を明記したセキュアなリンク共有 セキュリティと期限管理

請求書の発行依頼の法的注意点

請求書発行依頼を行う際に知っておくべき法的な要件をご説明します。特に適格請求書制度への対応が重要なポイントとなります。

適格請求書制度(インボイス制度)の要件

2023年10月から開始された適格請求書制度では、仕入税額控除を受けるために以下の項目が請求書に記載されている必要があります。請求書発行依頼の際は、これらの要件を満たした請求書の発行を依頼することが重要です。

  1. 適格請求書発行事業者の登録番号
    税務署に登録された「T」で始まる13桁の登録番号の記載が必要です。登録番号がない事業者からの請求書では仕入税額控除を受けられません。
  2. 税率ごとの合計金額と消費税額
    複数の税率(8%・10%)が混在する場合は、税率ごとに区分して金額を記載し、それぞれの消費税額を明記する必要があります。
  3. その他の必要項目
    取引年月日、取引内容、相手方の氏名または名称なども適格請求書の要件となります。従来の請求書項目に加えて確認が必要です。

会計処理上の注意点

請求書は会計処理や税務申告において重要な証憑書類となります。以下の点に注意して請求書発行を依頼しましょう。

  1. 記載内容の正確性
    宛名、金額、取引内容、取引日などの記載内容に誤りがないよう、依頼時に正確な情報を伝えることが重要です。
  2. 保存義務への対応
    法人税法により、請求書は一定期間の保存が義務付けられています。電子データでの保存を行う場合は、電子帳簿保存法の要件も考慮する必要があります。
  3. 支払いスケジュールとの整合性
    社内の支払い処理スケジュールに合わせて、適切なタイミングで請求書発行を依頼することで、円滑な経理処理が可能になります。
法的要件のポイント:
・適格請求書の必要項目(登録番号・税率別金額・消費税額等)
・正確な記載内容(宛名・金額・取引内容・取引日)
・会計処理・税務申告における証憑書類としての重要性
・電子帳簿保存法への対応(電子保存の場合)

請求書の発行依頼メールの運用ルール

請求書発行依頼メールを効果的に運用するための3つの重要なルールをご紹介します。

  1. 明確な情報提供と期限設定
    請求対象・必要情報・希望受領日を具体的に記載し、支払いサイクルとの関係を説明します。相手が迷わずに対応できる情報量に調整することが重要です。
  2. 適切な送付方法の指定
    PDF添付(2MB以内)または期限付きクラウドリンクを指定し、相手の受信環境に配慮します。大容量ファイルは期限を明記したリンク共有が安全です。
  3. 法的要件への適切な対応
    適格請求書制度や下請法の要件を理解し、必要な項目や期限を適切に依頼します。法的リスクを避けながら円滑な取引を進めることが重要です。

よくある質問

Q1. 請求書発行の依頼はいつ送るべきですか?

A. 締め日・支払日の逆算で受領希望日を設定します。遅延リスクを一言添えることで相手の理解と協力を得やすくなります。通常は支払処理に必要な日数を考慮して余裕をもって依頼しましょう。

Q2. 適格請求書制度での必須項目は何ですか?

A. 登録番号・税率ごとの合計金額・適用税率・消費税額・取引日・取引内容・相手方名などです。仕入税額控除を受けるために必要な項目で、2023年10月から適用されています。

Q3. 請求書発行のタイミングはいつが適切ですか?

A. 契約条件や社内の支払いスケジュールに応じて設定します。月末締め翌月末払いなど、事前に合意した支払条件に基づいて、適切なタイミングで請求書発行を依頼しましょう。

Q4. 宛名や金額に誤りがあった場合は?

A. 差替え再発行を依頼します。修正点を「正/誤」で具体的に列挙すると、相手が迅速に対応できます。丁寧なお詫びの言葉も忘れずに含めましょう。

Q5. 添付ファイルとリンク共有の使い分けは?

A. 小容量(2MB以内)はPDF添付、大容量は期限付きリンク共有が基本です。リンクを使用する場合は有効期限を明記し、相手の受信環境に配慮しましょう。

Q6. 英語で依頼する際の注意点は?

A. 「pay-cycle」や「due date」を説明に含め、タイムゾーン(JST/UTC)を明記します。文化的な背景も考慮し、丁寧で明確な表現を心がけることが重要です。

送信前の確認チェックリスト

90秒でできる送信前チェック:
□ 件名に【請求書発行依頼】+対象+受領希望日を記載
□ 本文に請求対象・必要情報・受領期限・依頼内容を明記
□ 適格請求書要件を満たす依頼内容になっている
□ 支払いサイクルの背景(締め日/支払日)を説明
□ 送付方法(PDF/リンク)と受信制限への配慮
□ 数字・敬語・句読点の統一性を確認

まとめ

請求書発行依頼メールは、支払いサイクルを円滑に進めるための重要なコミュニケーションツールです。明確な期限設定と背景説明適格請求書制度への対応法的要件の遵守を心がけることで、双方にとって効率的な請求・支払いプロセスが実現できます。

今回ご紹介した20の件名テンプレートと14種類の本文例を状況に応じて活用し、改善事例を参考にメール品質を向上させてください。継続的な実践により、信頼関係の構築と業務効率化の両立が可能になるでしょう。

次のアクション:
次回請求書発行依頼を行う際は、今回のテンプレートを活用して相手への配慮と法的要件の遵守を両立させてください。適切な依頼により、支払いサイクルの改善と取引先との信頼関係強化を実現できます。