「支払期日を過ぎているが催促方法が分からない」「強く言いすぎて取引関係を悪化させるリスクが心配」そのような悩みを抱える経営者や経理担当者は少なくありません。
支払い催促は企業の資金繰りに直結する重要な業務ですが、適切な方法を知らずに対応すると、大切な取引先との関係を損なうリスクもあります。この記事では、取引先との信頼関係を維持しながら回収を促す支払い催促メールの書き方を、段階別のアプローチとともに解説します。
・催促と督促の違いと法的効力の基礎知識
・段階的アプローチによる催促手順
・実際のビジネスシーンで使える15のテンプレート
・取引関係を配慮した催促方法
・法定利率や遅延損害金に関する正確な知識
参考:【例文10選】アポイント依頼メールの書き方|返信率を高めるテンプレート集
参考:【例文付】再送依頼メールの書き方とテンプレート20選
参考:【例文付】領収書発行依頼メールの書き方完全ガイド
参考:【例文付】請求書の発行依頼メールの書き方完全ガイド
参考:承認依頼メールの書き方ガイド|そのまま使えるテンプレート9選と成功のコツ
参考:支払い催促メールの書き方|取引関係を壊さない段階的テンプレート15選
催促と督促の違いと法的効力
多くの方が混同しがちな「催促」と「督促」ですが、法的効力や性質において明確な違いがあります。
項目 | 催促 | 督促 |
---|---|---|
法的な性質 | お願い・依頼レベル | 要求・法的な警告 |
実施タイミング | 期日前後から可能 | 明確な債務不履行後 |
法的効力 | 時効中断効果なし | 時効完成猶予・更新効果あり |
文面の強度 | 丁寧で配慮のある表現 | 明確で法的な表現 |
関係性への影響 | 関係維持を重視 | 権利行使を重視 |
この記事では、取引関係を重視した「催促」メールに焦点を当てています。法的な「督促状」については、専門家へのご相談をお勧めします。
支払い催促メールの重要性
支払い催促メールは企業経営において重要な役割を果たしています。
企業経営への影響
売掛金の回収遅延は自社の資金繰りに直接影響します。適切な催促を行わないことで、取引先が支払い義務を軽視する可能性があります。一方で、過度に強硬な催促は取引関係の悪化を招く恐れがあります。
①資金繰りの安定化:迅速な回収により運転資金を確保
②取引先の意識向上:支払い義務の重要性を認識してもらう
③良好な関係継続:配慮のある催促で信頼関係を維持
催促開始の適切なタイミング
「いつから催促してもよいか」について、基本的なタイミングと業界慣習を整理します。
催促開始の基本原則
期日当日の午前中に「本日ご入金予定はいかがでしょうか」と確認することは問題ありません。
支払期日を1日でも過ぎた場合、催促を開始できます。ただし、取引関係を考慮して2〜3日程度の猶予を設けることが一般的です。
業界によって支払いサイクルが異なります。慣習を理解した上でタイミングを調整しましょう。
送信タイミングの推奨
催促メールは午前中に送信することを推奨します。相手がメールを確認した時点で、同日中に支払い手続きができる可能性があるためです。火曜日から木曜日の午前10時頃が、相手の業務に支障をきたしにくいタイミングです。
支払い催促メールの5つの基本原則
催促メールを作成する際の基本原則をご紹介します。
一次催促は「やんわりと確認」、二次催促は「期限と方法を明確化」、三次催促は「最終期限と次の措置の予告」へと段階的に強度を上げます。
未入金の事実、請求番号、金額、期日、振込先、希望対応期限を明記し、相手が必要な情報をすべて確認できるようにします。
請求書の再添付や振込先の再掲により、相手が情報を探し回る手間を省きます。
「行き違いでしたらご容赦ください」の一文を添え、既に支払い済みの可能性も考慮した丁寧な姿勢を示します。
遅延損害金や法定利率について触れる際は、正確な情報を記載します。現在の法定利率は年3%です。
段階別アプローチの設計方法
支払い催促は適切なタイミングで段階的に行うことが重要です。
段階 | タイミング | 対応方針 | 主な内容 |
---|---|---|---|
一次催促 | 期日当日〜3日後 | やんわりと確認 | 行き違い配慮・入金予定日の確認・請求書再添付 |
二次催促 | 一次から1週間後 | 期限と方法を明確化 | 具体的な期限設定・振込先明記・影響の示唆 |
三次催促 | 二次から1週間後 | 最終期限と措置の予告 | 最終期限・以降の対応予告・丁寧だが明確な警告 |
その他の手段 | 三次催促後 | 電話・書面・法的措置 | 電話確認・内容証明郵便・支払督促・法的手続き |
件名テンプレート10選
メールを開いてもらうための件名テンプレートをご紹介します。
段階・場面 | 件名テンプレート | 使用タイミング |
---|---|---|
一次催促(基本) | 【ご確認】請求書No.○○のお支払いについて【○/○期日】 | 期日当日〜数日後の初回確認 |
一次催促(定例) | 【お支払いのお願い】○月分サービスご請求の件 | 月次定例の支払い確認 |
二次催促(期限設定) | 【二次催促】○/○(○)までのご入金につきまして | 具体的期限を設定した催促 |
三次催促(最終) | 【最終のご連絡】○/○までにご入金がない場合のご案内 | 最終期限と措置の予告 |
特殊(部分入金) | 【部分入金の確認】残額のご入金につきまして | 一部入金後の残額請求 |
緊急対応 | 【至急】本日中のご入金可否について | 当日中の対応が必要 |
承認プロセス | 【稟議中のご状況確認】請求書の件 | 社内承認待ちの状況 |
関係性重視 | 【最終確認】ご入金またはご連絡のお願い | 関係性を重視した最終確認 |
情報再送 | 【振込先再掲】請求書No.○○入金予定のご相談 | 振込先確認も含めた催促 |
経理担当向け | 【経理ご担当者様向け】支払い予定日の共有依頼 | 支払い部門への直接的な確認 |
金額規模別の対応指針
請求金額の規模によって、催促方法や期限設定を調整することが重要です。
金額規模 | 催促開始タイミング | 期限設定 | 対応の特徴 |
---|---|---|---|
少額(50万円未満) | 期日から3日後 | 1週間程度 | 簡潔で丁寧な催促を心がける |
中額(50万円以上500万円未満) | 期日翌日 | 5営業日程度 | 段階的アプローチを厳格に実施 |
高額(500万円以上) | 期日当日 | 3営業日以内 | 電話併用、上席への報告検討 |
段階別催促メールテンプレート15選
実際のメール本文で使える段階別のテンプレートをご紹介します。○○内を置き換えてご利用ください。
一次催促(やんわり確認)
1. 基本形(初回・丁寧版)
件名:【ご確認】請求書No.○○のお支払いについて【○/○期日】 【会社名】【部署名】 【氏名】様 いつもお世話になっております。 【会社名】の【氏名】でございます。 請求書No.○○につきまして、お支払い状況の確認を させていただきたくご連絡いたします。 ■ 請求内容 ・請求書番号:○○ ・請求金額:○○円(税込) ・支払期日:○年○月○日(○) ・対象:○○ 本日時点でご入金の確認が取れておりませんが、 入金予定日をご教示いただけますでしょうか。 念のため請求書を再添付いたします。 振込先情報も併せて記載しております。 ■ 振込先 ○○銀行 ○○支店 普通 ○○ 口座名義:○○ 行き違いでお支払い済みの場合は、 本メールはご放念ください。 引き続き何卒よろしくお願いいたします。 —------- 【会社名】【部署】 【氏名】 E-mail:【アドレス】 TEL:【番号】|携帯:【番号】 —-------
2. 当日確認版
件名:【本日期日】請求書No.○○のご入金について 【会社名】【部署名】 【氏名】様 いつもお世話になっております。 【会社名】の【氏名】です。 本日が支払期日となっております請求書No.○○について、 ご入金のご予定はいかがでしょうか。 ■ 本日期日の請求 ・請求金額:○○円(税込) ・対象:○○ お忙しい中恐れ入りますが、本日中にご入金いただけそうでしょうか。 ご都合が悪い場合は、入金予定日をご教示いただけますと幸いです。 何卒よろしくお願いいたします。 —------- 【会社名】【部署】 【氏名】 E-mail:【アドレス】 TEL:【番号】|携帯:【番号】 —-------
3. 定例取引版
件名:【お支払いのお願い】○月分サービスご請求の件 【会社名】【部署名】 【氏名】様 いつもお世話になっております。 【会社名】の【氏名】です。 ○月分サービスの請求書No.○○につきまして、 未入金のようでしたのでご連絡いたします。 ■ 請求金額:○○円(税込) ■ 支払期日:○月○日(○) ご都合の良い入金予定日をご教示いただけますと幸いです。 請求書を再添付しておりますので、ご確認をお願いいたします。 引き続き何卒よろしくお願いいたします。 —------- 【会社名】【部署】 【氏名】 E-mail:【アドレス】 TEL:【番号】|携帯:【番号】 —-------
4. 事前リマインド版
件名:【リマインド】明日○/○がお支払期日です 【会社名】【部署名】 【氏名】様 いつもお世話になっております。 【会社名】の【氏名】です。 明日○月○日が下記請求書のお支払期日となっております。 ■ 請求内容 ・請求書番号:○○ ・請求金額:○○円(税込) ・支払期日:○月○日(○) 事前のリマインドとしてご連絡いたします。 お忙しい中恐れ入りますが、期日までのお支払いを よろしくお願いいたします。 ご質問等ございましたら、お気軽にお声がけください。 —------- 【会社名】【部署】 【氏名】 E-mail:【アドレス】 TEL:【番号】|携帯:【番号】 —-------
二次催促(期限と方法の明確化)
5. 期限設定版
件名:【二次催促】○/○(○)までのご入金につきまして 【会社名】【部署名】 【氏名】様 いつもお世話になっております。 【会社名】の【氏名】です。 下記請求書につきまして、未入金が続いておりますので、 期限を区切ってお願い申し上げます。 ■ 請求内容 ・請求書番号:○○ ・請求金額:○○円(税込) ・当初期日:○月○日(○) ・対象:○○ ■ ご対応のお願い ○月○日(○)正午までに、下記いずれかのご対応を お願いいたします。 ・ご入金のお手続き ・入金予定日のご連絡 ■ 振込先 ○○銀行 ○○支店 普通 ○○ 口座名義:○○ ご協力のほど、よろしくお願いいたします。 —------- 【会社名】【部署】 【氏名】 E-mail:【アドレス】 TEL:【番号】|携帯:【番号】 —-------
6. 部分入金確認版
件名:【部分入金の確認】残額のご入金につきまして 【会社名】【部署名】 【氏名】様 いつもお世話になっております。 【会社名】の【氏名】です。 ○○円のご入金を確認いたしました。ありがとうございます。 残額につきまして、ご案内いたします。 ■ 残額について ・請求書番号:○○ ・残額:○○円(税込) ・希望期日:○月○日(○) ○月○日(○)までに残額のご入金をお願いできますでしょうか。 ご都合が悪い場合は、入金予定日をご教示ください。 何卒よろしくお願いいたします。 —------- 【会社名】【部署】 【氏名】 E-mail:【アドレス】 TEL:【番号】|携帯:【番号】 —-------
7. 担当部門確認版
件名:【経理ご担当者様向け】支払い予定日の共有依頼 【会社名】 経理部 【氏名】様 ※営業ご担当者様にもCcしております いつもお世話になっております。 【会社名】の【氏名】です。 下記請求書の支払い処理について、経理ご担当者様に 直接ご確認したくご連絡いたします。 ■ 請求内容 ・請求書番号:○○ ・請求金額:○○円(税込) ・期日:○月○日→経過 支払処理のご担当が変更になっている場合は、 ご指示をお願いいたします。 ○月○日(○)までにご入金またはご連絡を いただけますと幸いです。 何卒よろしくお願いいたします。 —------- 【会社名】【部署】 【氏名】 E-mail:【アドレス】 TEL:【番号】|携帯:【番号】 —-------
8. 承認プロセス確認版
件名:【稟議中のご状況確認】請求書の件 【会社名】【部署名】 【氏名】様 いつもお世話になっております。 【会社名】の【氏名】です。 請求書No.○○について、社内承認の進捗はいかがでしょうか。 ■ 請求内容 ・請求金額:○○円(税込) ・期日:○月○日→経過 ・対象:○○ 承認に必要な追加資料や情報がございましたら、 至急ご用意いたします。 承認予定日と入金見込み日をご共有いただけますと幸いです。 スムーズなお手続きのため、ご協力をお願いいたします。 —------- 【会社名】【部署】 【氏名】 E-mail:【アドレス】 TEL:【番号】|携帯:【番号】 —-------
三次催促(最終期限と措置の予告)
9. 最終期限設定版
件名:【最終のご連絡】○/○までにご入金がない場合のご案内 【会社名】【部署名】 【氏名】様 いつもお世話になっております。 【会社名】の【氏名】です。 たびたび恐れ入りますが、下記請求について 最終のご案内をさせていただきます。 ■ 対象請求書 ・請求書番号:○○ ・請求金額:○○円(税込) ・当初期日:○月○日 ・経過日数:○日 ■ 最終期限 ○月○日(○)17:00までに、下記いずれかの ご対応をお願いいたします。 ・ご入金のお手続き ・入金予定日のご連絡 期限までにご連絡をいただけない場合、 誠に遺憾ながら以下の対応を検討せざるを得ません。 ・新規取引の一時停止 ・法的手続きの準備 長期にわたりお取引をいただいております関係を重視し、 円満な解決を希望しております。 ご多忙とは存じますが、ご理解とご協力をお願いいたします。 —------- 【会社名】【部署】 【氏名】 E-mail:【アドレス】 TEL:【番号】|携帯:【番号】 —-------
10. 長期取引先配慮版
件名:【最終確認】ご入金またはご連絡のお願い 【会社名】【部署名】 【氏名】様 いつもお世話になっております。 【会社名】の【氏名】です。 長期にわたりお付き合いをいただいており、心より感謝しております。 下記請求書について、ご事情の確認を優先したく存じます。 ■ 対象請求書 ・請求書番号:○○ ・請求金額:○○円(税込) ・期日:○月○日→経過 恐れ入りますが、○月○日(○)までにご状況と 入金予定日をご教示願えますでしょうか。 必要に応じて、お支払い方法のご相談も承ります。 率直にお聞かせいただければ、最適な解決策を 一緒に検討させていただきます。 引き続き何卒よろしくお願いいたします。 —------- 【会社名】【部署】 【氏名】 E-mail:【アドレス】 TEL:【番号】|携帯:【番号】 —-------
特殊ケース対応
11. 振込先変更案内版
件名:【重要】振込先変更のご案内と入金確認 【会社名】【部署名】 【氏名】様 いつもお世話になっております。 【会社名】の【氏名】です。 請求書No.○○について、念のため振込先を再掲いたします。 ■ 重要:振込先情報 新)○○銀行 ○○支店 普通 ○○ 口座名義:○○ ※旧口座(○○銀行)は使用しておりません。ご注意ください。 ■ 請求内容 ・請求金額:○○円(税込) ・期日:○月○日→経過 ご入金予定日をご教示いただけますと幸いです。 口座変更に関してご質問がございましたら、 お電話でも承ります。 何卒よろしくお願いいたします。 —------- 【会社名】【部署】 【氏名】 E-mail:【アドレス】 TEL:【番号】(経理部直通) —-------
12. 支払困難相談版
件名:【ご相談】お支払いに関するお困りごとについて 【会社名】【部署名】 【氏名】様 いつもお世話になっております。 【会社名】の【氏名】です。 請求書No.○○について、ご事情をお聞かせいただければと思います。 ■ 対象請求書 ・請求金額:○○円(税込) ・期日:○月○日→経過 お支払いが困難な状況でしたら、分割払いや お支払い計画のご相談も承ります。 ご事情を率直にお知らせください。 最適な解決策を一緒に検討させていただきます。 まずは現在のご状況をお聞かせいただけますと幸いです。 —------- 【会社名】【部署】 【氏名】 E-mail:【アドレス】 TEL:【番号】|携帯:【番号】 —-------
13. 新規取引先向け丁寧版
件名:【ご確認】初回お取引のお支払いについて 【会社名】【部署名】 【氏名】様 いつもお世話になっております。 【会社名】の【氏名】です。 この度は初回のお取引をいただき、ありがとうございました。 下記請求書について、お支払い状況をご確認いただけますでしょうか。 ■ 請求内容(初回お取引分) ・請求書番号:○○ ・請求金額:○○円(税込) ・支払期日:○月○日(○) ・対象:○○ 新規のお取引でお手続きにお時間がかかることも ございますので、入金予定日をご教示いただけますと幸いです。 ご不明な点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。 今後ともよろしくお願いいたします。 —------- 【会社名】【部署】 【氏名】 E-mail:【アドレス】 TEL:【番号】|携帯:【番号】 —-------
14. 海外取引先向け(英語併記)
件名:Payment Reminder - Invoice No.○○ / お支払いのご案内 Dear 【氏名】, We have not yet confirmed payment for the invoice below. 下記請求書のお支払いが未確認となっております。 ■ Invoice Details / 請求内容 ・Invoice No. / 請求書番号:○○ ・Amount / 金額:¥○○ (incl. tax / 税込) ・Due Date / 支払期日:○○, 2025 ・Services / 対象:○○ Could you please let us know your payment schedule by ○○, 12:00 JST? ○月○日正午までに入金予定日をご連絡いただけますでしょうか。 ■ Bank Details / 振込先 Bank: ○○ Bank / ○○銀行 Branch: ○○ / ○○支店 Account: ○○ / 普通 ○○ Thank you for your cooperation. ご協力をお願いいたします。 Best regards, 【氏名】 —------- 【会社名】【部署】 【氏名】 E-mail:【アドレス】 TEL:【番号】|携帯:【番号】 —-------
15. 最終通告前クッション版
件名:【重要】お支払いに関する最終確認のお願い 【会社名】【部署名】 【氏名】様 いつもお世話になっております。 【会社名】の【氏名】です。 本メールをもちまして、請求書No.○○に関する 最終の確認とさせていただきます。 ■ 最終確認事項 ・請求金額:○○円(税込) ・当初期日:○月○日→○日経過 ・対象:○○ 恐れ入りますが、○月○日(○)17:00までに 下記いずれかのご対応をお願い申し上げます。 ・ご入金のお手続き ・ご連絡(ご事情・入金予定日等) 期限後は、やむを得ず次の段階のお手続きを検討いたします。 長期にわたるお取引関係を重視し、可能な限り 円満な解決を希望しております。 ご理解とご協力をお願いいたします。 —------- 【会社名】【部署】 【氏名】 E-mail:【アドレス】 TEL:【番号】|携帯:【番号】 —-------
業界別の催促メール作成ポイント
業界によって商慣習や支払いサイクルが異なるため、催促方法も調整が必要です。
業界 | 特徴・注意点 | 推奨されるアプローチ | 具体例 |
---|---|---|---|
建設業 | 工事完了後の検収に時間がかかる 下請け構造が複雑 |
検収状況の確認を含める 元請けとの調整状況を聞く |
「検収手続きの進捗はいかがでしょうか」「元請様との調整が必要でしたらお知らせください」 |
IT・システム | 検収条件が厳格 稟議プロセスが長い |
承認プロセスの進捗確認 必要書類の追加対応 |
「稟議の進捗状況をお聞かせください」「追加資料が必要でしたらご用意いたします」 |
製造業 | 月末締め翌月末払いが一般的 経理部門の権限が強い |
経理部門への直接連絡 支払いサイクルの確認 |
「経理ご担当者様に直接ご確認させてください」「支払いスケジュールをご教示ください」 |
小売・サービス | 現金収支の変動が大きい 季節要因の影響あり |
分割払いの提案 繁忙期の考慮 |
「分割でのお支払いもご相談承ります」「繁忙期を考慮した支払い計画を検討いたします」 |
遅延損害金と法定利率の最新情報
支払いが遅延した場合の遅延損害金について、正確な情報を記載しておくことは重要です。
現在の法定利率
2020年4月の民法改正により、法定利率は年3%とされ、3年ごとに見直される変動制が導入されました。現在の状況は以下の通りです。
法定利率は年3%でした。
基準割合の変動が1%未満だったため、法定利率は年3%のまま据え置かれています。
次回の見直しにより変動の可能性があります。
催促メールでの言及方法
遅延損害金について催促メールで触れる場合は、以下のような表現が適切です。
「なお、お支払いが遅延している期間については、契約に基づく遅延損害金が発生いたします。詳細については、別途ご案内いたします。」
催促メール送信後の対応フロー
催促メールを送信した後の対応も重要です。以下のフローに沿って進めることを推奨します。
1日後:返信確認(開封確認がある場合はチェック)
3日後:反応がない場合は電話でフォロー
1週間後:次段階の催促メール送信
2週間後:書面による督促状の検討
1ヶ月後:法的手続きの相談開始
よくある失敗例と改善策
支払い催促メールでよく見られる問題点と改善例をご紹介します。
失敗例(NG) | 改善例(OK) | 改善ポイント |
---|---|---|
「お支払い、どうなっていますか?」 | 請求No.・金額・期日・振込先・希望期限を箇条書きで明記 | 具体的で行動しやすい情報提供 |
1日に何度も催促メールを送信 | 段階を踏み、1週間程度の間隔で強度を調整 | 計画的で段階的なアプローチ |
前メールの情報を相手に探させる | 請求書を再添付し、要点を再掲して手間を削減 | 相手の負担軽減と迅速な対応促進 |
「取り急ぎ」だけで期限なし | 具体的な期日・時刻と代替提案を明記 | 明確なアクション要求 |
最初から法的措置を匂わす | 最終段階で期限と以降の対応を淡々と案内 | 段階的な圧力強化と関係性配慮 |
送信前の確認チェックリスト
□ 請求No.・金額・期日・振込先を本文に明記している
□ 希望期限(日時)と具体的なアクション要求を入れている
□ 請求書を再添付している(相手の手間軽減)
□ 段階(一次→二次→三次)の強度が適切である
□ 行き違い配慮と礼節を保った表現になっている
□ 件名で内容が即座に判別できる
□ 宛先(To・Cc・Bcc)が適切に設定されている
□ 法的事項(遅延損害金等)は正確な情報に基づいている
□ 相手の立場に配慮した丁寧な文面である
□ 誤字脱字がないか最終確認済み
よくある質問
支払期日当日に催促メールを送っても良いですか?
問題ありません。期日当日であれば「本日ご入金いただけそうでしょうか」といった自然な表現で確認することで、単純な忘れを防ぐことができます。午前中に送信すれば、相手が同日中に手続きできる可能性があります。
2回目の催促メールはいつ送るのが適切ですか?
一次催促から1週間後が目安です。この段階では文面の強度をやや上げ、具体的な期限と影響を明示します。ただし、取引先との関係性や業界慣習を考慮して調整することも重要です。
3回目の催促では何を書くべきですか?
最終期限と連絡がない場合の対応を丁寧に明示します。法的措置の可能性を示唆しつつも、関係修復を重視した表現を心がけます。「新規取引の一時停止」「法的手続きの準備」など、具体的な影響を伝えることで緊急性を訴求できます。
催促メールで請求書を再添付するのはマナー違反ですか?
推奨される対応です。「念のため請求書を再添付いたします」という一文を添えることで、配慮のある対応として受け取られます。振込先情報も含めて再掲することで、迅速な支払いを促進できます。
遅延損害金についてはどう扱うべきですか?
契約で利率を定めている場合は約定利率、定めていない場合は法定利率(現在年3%)が適用されます。催促メールで言及する場合は、契約条項に基づいた正確な情報を記載し、詳細は別途案内する旨を伝えることが適切です。
メールで反応がない場合はどう対応すべきですか?
電話→書面→最終通告の順で段階を上げます。メール3回送付後も反応がない場合は、電話での確認、内容証明郵便による督促状、支払督促の申立てなど、より強力な手段を検討します。ただし、関係性を考慮した適切な判断が必要です。
支払い困難と言われた場合の対応は?
まずは相手の事情を聞き、分割払いや支払い時期の調整など、現実的な解決策を一緒に検討します。書面で合意内容を明確にし、新しい支払い計画に基づいて進めることが重要です。完全に支払いを諦めるのではなく、回収可能な方法を模索しましょう。
海外取引先への催促で注意すべき点は?
時差を考慮した送信時間、現地の商慣習や祝日の把握、必要に応じた英語併記などが重要です。また、国際送金には時間がかかることを考慮し、通常より長めの期限設定をすることも検討しましょう。
まとめ
支払い催促メールは、取引先との信頼関係を維持しながら回収を促すための重要なツールです。段階的なアプローチと相手への配慮を基本とし、一次催促から最終通告まで計画的に対応することが重要です。
相手が「次に何をすればよいか」を明確にすることが大切です。請求番号・金額・期日・振込先・希望対応期限を分かりやすく整理し、請求書の再添付により相手の手間を最小限にすることで、迅速な対応を促すことができます。
また、催促と督促の違いを理解し、現在の法定利率(年3%)などの法的知識も正確に把握しておくことが大切です。メールでの催促に限界を感じた場合は、電話での確認や書面による督促など、段階的な対応を検討しましょう。
・相手の立場に立った配慮ある表現を心がける
・段階的なアプローチで関係性を維持する
・具体的で実行しやすい情報提供を行う
最も大切なのは、相手を責めるのではなく「一緒に解決する」という姿勢で臨むことです。明確な情報提供と適切な期限設定により、相手が行動しやすい環境を整えることで、関係性を保ちながら回収を目指すことができます。
参考文献・引用情報
- 法務省:令和5年4月1日以降の法定利率について
- 遅延損害金とは?法定利率や、契約書のレビューポイントを解説【民法改正対応】 | 契約ウォッチ – 2025年4月28日
- 遅延損害金とは?計算方法や上限利率、民法改正による変更点などをわかりやすく解説 | マネーフォワード クラウド契約 – 2025年4月30日
- 法定利率とは?弁護士がわかりやすく解説|2025年最新版 | デイライト法律事務所 – 2025年1月16日
- 支払督促・催促メール書き方・例文~テンプレートや送信のタイミング | Paid(ペイド)
- 【やんわり伝える】入金催促メールの送り方!印象が悪くならないコツも伝授 | NTTファイナンス株式会社
- 失敗しない、支払い催促メールの書き方とは?例文あり | INVOY – 2024年11月14日
- 請求書を催促するメールの書き方と文例を紹介!請求書が未着の場合や未払いへの対処法も – バクラク – 2024年6月25日