本記事では、一次催促から最終通告まで、段階別の効果的な支払い催促メールの書き方を、実務で即使える20のテンプレートとともに詳しく解説します。法定利率や遅延損害金の正確な情報も含め、専門的かつ実践的なガイドをお届けします。
支払い催促メールの5つの基本原則
効果的な支払い催促メールを作成するには、以下の5つの原則を押さえることが重要です。これらを守ることで、取引先との関係を保ちながら確実な入金回収を実現できます。
- 段階的にアプローチする
一次は「やんわりと確認」、二次は「期限と方法を明確化」、三次は「最終期限と次の措置」へと段階的に強度を上げます。急激な強硬姿勢は関係悪化を招くため避けましょう。 - 一画面で要点を完結させる
未入金の事実・請求番号・金額・期日・振込先・希望対応期限を箇条書きで明記し、相手がスクロールなしで必要な情報をすべて確認できるようにします。 - 相手の手間を最小限にする
請求書の再添付や振込先の再掲により、相手が情報を探し回る手間を省きます。迅速な対応を促すためには、こうした配慮が効果的です。 - 行き違いへの配慮を忘れない
「行き違いでしたらご容赦ください」の一文を添え、既に支払い済みの可能性も考慮した丁寧な姿勢を示します。 - 法的事項は正確な情報に基づく
遅延損害金や法定利率について触れる際は、最新の法令に基づいた正確な情報を記載します。現在の法定利率は年3%(2026年3月31日まで)です。
支払い催促のタイミングと段階設計
支払い催促は適切なタイミングで段階的に行うことが重要です。以下の基本的な流れに沿って実施することで、効果的な回収が可能になります。
段階別のタイミングと対応方針
段階 | タイミング | 対応方針 | 主な内容 |
---|---|---|---|
一次催促 | 期日当日〜3日後 | やんわりと確認 | 行き違い配慮・入金予定日の確認・請求書再添付 |
二次催促 | 一次から3日〜1週間後 | 期限と方法を明確化 | 具体的な期限設定・振込先明記・影響の示唆 |
三次催促 | 二次から数日〜1週間後 | 最終期限と次の措置 | 最終期限・以降の対応予告・丁寧だが明確な警告 |
その他の手段 | 三次催促後 | 電話・書面・法的措置 | 電話確認・内容証明郵便・支払督促・法的手続き |
効果的な送信タイミング
支払い催促メールは午前中に送信することが推奨されます。相手がメールを確認した時点で、同日中に支払い手続きができる可能性が高くなるためです。また、期日当日の催促も問題ありません。「本日ご入金いただけそうでしょうか」といった自然な表現で確認しましょう。
支払い催促メールの件名テンプレート20選
実務でそのまま使える件名テンプレートを20パターンご紹介します。【 】内を実際の情報に置き換えてお使いください。
段階・場面 | 件名テンプレート | 使用タイミング |
---|---|---|
一次催促(基本) | 【ご確認】請求書【No.INV-001】のお支払いについて【8/30期日】 | 期日当日〜数日後の初回確認 |
一次催促(定例) | 【お支払いのお願い】【8月分○○サービス】請求の件 | 月次定例の支払い確認 |
一次催促(情報重視) | 【振込先再掲】請求書【No.INV-001】入金予定のご相談 | 振込先確認も含めた催促 |
二次催促(期限設定) | 【二次催促】【9/15(金)正午】までのご入金につきまして | 具体的期限を設定した催促 |
二次催促(状況確認) | 【経理ご担当者様向け】支払い予定日の共有依頼 | 支払い部門への直接的な確認 |
三次催促(最終) | 【最終のご連絡】【9/20】までにご入金がない場合のご案内 | 最終期限と措置の予告 |
特殊(部分入金) | 【部分入金の確認】残額のご入金につきまして | 一部入金後の残額請求 |
特殊(検収完了) | 【検収完了→ご請求】【プロジェクト名】支払期日のご確認 | 検収完了後の請求確認 |
特殊(合算請求) | 【合算請求】【7-8月分】入金のお願い | 複数月分合算の催促 |
緊急度高 | 【至急】本日中のご入金可否について | 当日中の対応が必要 |
情報確認 | 【請求書番号の照合】【INV-2025-0817】 | 請求書の特定が必要 |
再送・情報提供 | 【再送】請求書添付【先ほどのメールは無効】 | 請求書の再送付時 |
口座情報 | 【口座情報再案内】念のための再掲 | 振込先の再確認 |
国際対応 | 【Payment Reminder】入金催促(JP/EN) | 英語併記が必要な場合 |
長期取引先 | 【長期取引先向け】入金予定日のご教示のお願い | 信頼関係のある取引先 |
承認プロセス | 【稟議中のご状況確認】請求書の件 | 社内承認待ちの状況 |
手続き確認 | 【手続き上の不備確認】支払い処理の障害有無 | 技術的な問題の可能性 |
月次リマインド | 【月次】【8月分】請求の件(リマインド) | 定例支払いのリマインド |
関係性重視 | 【最終確認】ご入金またはご連絡のお願い | 関係性を重視した最終確認 |
システム化 | 【自動催促】未入金のお知らせ【システム送信】 | 自動化システムからの催促 |
支払い催促メールの本文テンプレート20選
実際のメール本文で使える、段階別のテンプレートをご紹介します。コピーして【 】内を置き換えるだけで使用できます。
一次催促(やんわり確認)
1. 基本形(初回・丁寧版)
【会社名】 【部署名】 【ご担当者名】 様 いつもお世話になっております。 【自社名】の【氏名】でございます。 請求書【No.INV-2025-0817】につきまして、 お支払い状況の確認をさせていただきたく ご連絡いたします。 ■ 請求内容 ・請求書番号:【INV-2025-0817】 ・請求金額:【¥123,456(税込)】 ・支払期日:【2025年8月30日(金)】 ・対象:【8月分○○サービス】 本日時点でご入金の確認が取れておりませんが、 お手数をおかけしますが、入金予定日を ご教示いただけますでしょうか。 念のため請求書を再添付いたします。 振込先情報も記載しております。 ■ 振込先 【○○銀行 ○○支店 普通 1234567 口座名義:カブシキガイシャ○○】 行き違いでお支払い済みの場合は、 本メールはご放念ください。 引き続き何卒よろしくお願いいたします。 ―――――――――――――――――― 【署名】 ■ 添付:【請求書_INV-2025-0817.pdf】 ――――――――――――――――――
2. 簡潔版(定例取引)
【会社名】 【ご担当者名】 様 いつもお世話になっております。 【自社名】の【氏名】です。 【8月分○○サービス】の請求書【No.INV-0817】 につきまして、未入金のようでしたので ご連絡いたします。 ■ 請求金額:【¥98,000(税込)】 ■ 支払期日:【8月30日(金)】 ご都合の良い入金予定日を一言で結構ですので ご教示いただけますと幸いです。 請求書を再添付しておりますので、 ご確認をお願いいたします。 引き続き何卒よろしくお願いいたします。 ―――――――――――――――――― 【署名】 ――――――――――――――――――
3. 当日確認版
【会社名】 【ご担当者名】 様 いつもお世話になっております。 【自社名】の【氏名】です。 本日が支払期日となっております 請求書【No.INV-0817】について、 ご入金のご予定はいかがでしょうか。 ■ 本日期日の請求 ・請求金額:【¥123,456(税込)】 ・対象:【○○サービス8月分】 お忙しい中恐れ入りますが、 本日中にご入金いただけそうでしょうか。 ご都合が悪い場合は、入金予定日を ご教示いただけますと幸いです。 何卒よろしくお願いいたします。 ―――――――――――――――――― 【署名】 ――――――――――――――――――
二次催促(期限と方法の明確化)
4. 期限設定版
【会社名】 【ご担当者名】 様 いつもお世話になっております。 【自社名】の【氏名】です。 下記請求書につきまして、未入金が 続いておりますので、期限を区切って お願い申し上げます。 ■ 請求内容 ・請求書番号:【INV-2025-0817】 ・請求金額:【¥123,456(税込)】 ・当初期日:【8月30日(金)】 ・対象:【8月分○○サービス】 ■ ご対応のお願い 【9月15日(金)正午】までに、下記いずれかの ご対応をお願いいたします。 ・ご入金のお手続き ・入金予定日のご連絡 ■ 振込先 【○○銀行 ○○支店 普通 1234567 口座名義:カブシキガイシャ○○】 ご協力のほど、よろしくお願いいたします。 ―――――――――――――――――― 【署名】 ――――――――――――――――――
5. 部分入金対応版
【会社名】 【ご担当者名】 様 いつもお世話になっております。 【自社名】の【氏名】です。 【¥50,000】のご入金を確認いたしました。 ありがとうございます。 残額につきまして、ご案内いたします。 ■ 残額について ・請求書番号:【INV-2025-0817】 ・残額:【¥73,456(税込)】 ・希望期日:【9月15日(金)】 【9月15日(金)】までに残額のご入金を お願いできますでしょうか。 ご都合が悪い場合は、入金予定日を ご教示ください。 何卒よろしくお願いいたします。 ―――――――――――――――――― 【署名】 ――――――――――――――――――
6. 検収完了案件版
【会社名】 【ご担当者名】 様 いつもお世話になっております。 【自社名】の【氏名】です。 【8月15日】にご検収いただきました 【プロジェクト名・フェーズ名】について、 請求書の入金確認が取れておりません。 ■ 検収完了分の請求 ・請求書番号:【INV-2025-0817】 ・請求金額:【¥456,789(税込)】 ・検収完了日:【8月15日】 ・当初期日:【8月30日】 【9月10日(月)】までにご入金、 または入金予定日をご教示ください。 検収のお手続きをいただき、 ありがとうございました。 引き続き何卒よろしくお願いいたします。 ―――――――――――――――――― 【署名】 ――――――――――――――――――
7. 担当部門確認版
【会社名】 【経理部】 【ご担当者名】 様 ※【営業ご担当者様】にもCcしております いつもお世話になっております。 【自社名】の【氏名】です。 下記請求書の支払い処理について、 経理ご担当者様に直接ご確認したく ご連絡いたします。 ■ 請求内容 ・請求書番号:【INV-2025-0817】 ・請求金額:【¥123,456(税込)】 ・期日:【8月30日】→経過 支払処理のご担当が変更になっている場合は、 ご指示をお願いいたします。 【9月12日(火)】までにご入金または ご連絡をいただけますと幸いです。 何卒よろしくお願いいたします。 ―――――――――――――――――― 【署名】 ――――――――――――――――――
三次催促(最終通告)
8. 最終期限設定版
【会社名】 【ご担当者名】 様 いつもお世話になっております。 【自社名】の【氏名】です。 たびたび恐れ入りますが、下記請求について 最終のご案内をさせていただきます。 ■ 対象請求書 ・請求書番号:【INV-2025-0817】 ・請求金額:【¥123,456(税込)】 ・当初期日:【8月30日】 ・経過日数:【15日】 ■ 最終期限 【9月20日(水)17:00(JST)】までに、 下記いずれかのご対応をお願いいたします。 ・ご入金のお手続き ・入金予定日のご連絡 期限までにご連絡をいただけない場合、 誠に遺憾ながら以下の対応を検討せざるを 得ません。 ・新規取引の一時停止 ・法的手続きの準備 長期にわたりお取引をいただいております関係を 重視し、円満な解決を希望しております。 ご多忙とは存じますが、ご理解とご協力を お願いいたします。 ―――――――――――――――――― 【署名】 ――――――――――――――――――
9. 長期取引先配慮版
【会社名】 【ご担当者名】 様 いつもお世話になっております。 【自社名】の【氏名】です。 長期にわたりお付き合いをいただいており、 心より感謝しております。 下記請求書について、ご事情の確認を 優先したく存じます。 ■ 対象請求書 ・請求書番号:【INV-2025-0817】 ・請求金額:【¥123,456(税込)】 ・期日:【8月30日】→経過 恐れ入りますが、【9月18日(月)】までに ご状況と入金予定日をご教示願えます でしょうか。 必要に応じて、お支払い方法のご相談も 承ります。 以降の段取りを最適化いたしますので、 率直にお聞かせください。 引き続き何卒よろしくお願いいたします。 ―――――――――――――――――― 【署名】 ――――――――――――――――――
10. 電話フォロー予告版
【会社名】 【ご担当者名】 様 いつもお世話になっております。 【自社名】の【氏名】です。 請求書【No.INV-2025-0817】について、 緊急度が高いため、本日午後に お電話でも状況確認をさせてください。 ■ 電話連絡予定 ・時間:【14:00頃】を予定 ・内容:入金予定日の確認 ・所要時間:5分程度 お差し支えがございましたら、 ご都合の良い時間をご指定ください。 メールでの返信でも結構です。 何卒よろしくお願いいたします。 ―――――――――――――――――― 【署名】 【TEL: 03-1234-5678】 ――――――――――――――――――
特殊ケース対応
11. 口座変更・誤振込防止版
【会社名】 【ご担当者名】 様 いつもお世話になっております。 【自社名】の【氏名】です。 請求書【No.INV-2025-0817】について、 念のため振込先を再掲いたします。 ■ 重要:振込先情報 【新)○○銀行 ○○支店 普通 7654321 口座名義:カブシキガイシャ○○】 ※旧口座(××銀行)は使用しておりません。 ご注意ください。 ■ 請求内容 ・請求金額:【¥123,456(税込)】 ・期日:【8月30日】→経過 ご入金予定日をご教示いただけますと 幸いです。 口座変更に関してご質問がございましたら、 お電話でも承ります。 何卒よろしくお願いいたします。 ―――――――――――――――――― 【署名】 【TEL: 03-1234-5678(経理部直通)】 ――――――――――――――――――
12. 承認プロセス確認版
【会社名】 【ご担当者名】 様 いつもお世話になっております。 【自社名】の【氏名】です。 請求書【No.INV-2025-0817】について、 社内承認の進捗はいかがでしょうか。 ■ 請求内容 ・請求金額:【¥123,456(税込)】 ・期日:【8月30日】→経過 ・対象:【○○サービス8月分】 承認に必要な追加資料や情報がございましたら、 至急ご用意いたします。 承認予定日と入金見込み日を ご共有いただけますと幸いです。 スムーズなお手続きのため、 ご協力をお願いいたします。 ―――――――――――――――――― 【署名】 ――――――――――――――――――
13. 支払困難相談版
【会社名】 【ご担当者名】 様 いつもお世話になっております。 【自社名】の【氏名】です。 請求書【No.INV-2025-0817】について、 ご事情をお聞かせいただければと 思います。 ■ 対象請求書 ・請求金額:【¥123,456(税込)】 ・期日:【8月30日】→経過 お支払いが困難な状況でしたら、 分割払いやお支払い計画のご相談も 承ります。 ご事情を率直にお知らせください。 最適な解決策を一緒に検討させて いただきます。 まずは現在のご状況をお聞かせいただけますと 幸いです。 ―――――――――――――――――― 【署名】 ――――――――――――――――――
14. 英語併記版
Subject: Payment Reminder — Invoice INV-2025-0817 Dear 【Name】, We have not yet confirmed payment for the invoice below. 下記請求書のお支払いが未確認となっております。 ■ Invoice Details / 請求内容 ・Invoice No. / 請求書番号:INV-2025-0817 ・Amount / 金額:¥123,456 (incl. tax / 税込) ・Due Date / 支払期日:August 30, 2025 / 2025年8月30日 ・Services / 対象:August support services / 8月分サポート Could you please let us know your payment schedule by September 15, 12:00 JST? 【9月15日 正午】までに入金予定日を ご連絡いただけますでしょうか。 ■ Bank Details / 振込先 Bank: ○○ Bank / ○○銀行 Branch: ○○ / ○○支店 Account: 1234567 / 普通 1234567 Thank you for your cooperation. ご協力をお願いいたします。 Best regards, 【Name】 ―――――――――――――――――― 【署名/Signature】 ――――――――――――――――――
システム・自動化対応
15. 自動催促システム版
【会社名】 【ご担当者名】 様 ※このメールは自動送信されています。 請求書【No.INV-2025-0817】のお支払いが 期日を過ぎております。 ■ 請求内容 ・請求金額:【¥123,456(税込)】 ・支払期日:【8月30日】→3日経過 ・対象:【8月分○○サービス】 ■ お願い 入金予定日をご教示ください。 請求書を再送いたします。 ■ お問い合わせ先 内容にご不明な点がございましたら、 下記担当者までご連絡ください。 ・担当者:【経理部 田中】 ・TEL:【03-1234-5678】 ・Mail:【keiri@company.co.jp】 何卒よろしくお願いいたします。 ―――――――――――――――――― 【自動送信システム】 ――――――――――――――――――
16. リマインド事前通知版
【会社名】 【ご担当者名】 様 いつもお世話になっております。 【自社名】の【氏名】です。 お支払い期日が近づいておりますので、 事前にご案内いたします。 ■ 支払期日のご案内 ・請求書番号:【INV-2025-0817】 ・請求金額:【¥123,456(税込)】 ・支払期日:【8月30日(金)】※明日 ・対象:【8月分○○サービス】 お忙しい中恐れ入りますが、 期日までのお支払いをお願いいたします。 ご質問等ございましたら、 お気軽にお声がけください。 何卒よろしくお願いいたします。 ―――――――――――――――――― 【署名】 ――――――――――――――――――
最終段階・クロージング
17. 最終通告前クッション版
【会社名】 【ご担当者名】 様 いつもお世話になっております。 【自社名】の【氏名】です。 本メールをもちまして、請求書 【No.INV-2025-0817】に関する 最終の確認とさせていただきます。 ■ 最終確認事項 ・請求金額:【¥123,456(税込)】 ・当初期日:【8月30日】→20日経過 ・対象:【8月分○○サービス】 恐れ入りますが、【9月25日(月)17:00】 までに下記いずれかのご対応をお願い申し上げます。 ・ご入金のお手続き ・ご連絡(ご事情・入金予定日等) 期限後は、やむを得ず次の段階の お手続きを検討いたします。 長期にわたるお取引関係を重視し、 可能な限り円満な解決を希望しております。 ご理解とご協力をお願いいたします。 ―――――――――――――――――― 【署名】 ――――――――――――――――――
18. 法的措置予告版
【会社名】 【ご担当者名】 様 いつもお世話になっております。 【自社名】の【氏名】です。 請求書【No.INV-2025-0817】について、 再三ご連絡をさせていただいておりますが、 お支払いもご連絡もいただけない状況です。 ■ 経過状況 ・請求金額:【¥123,456(税込)】 ・当初期日:【8月30日】→25日経過 ・催促回数:【3回】 誠に遺憾ではございますが、 【9月30日(土)】までにご入金または ご連絡をいただけない場合、 以下の手続きを進めさせていただきます。 ・内容証明郵便による正式な督促 ・支払督促の申立て ・必要に応じた法的措置 本来このような手続きは望むところでは ございませんが、やむを得ない状況と 判断いたします。 最終期限までに必ずご対応をお願いいたします。 ―――――――――――――――――― 【署名】 ――――――――――――――――――
19. 関係修復重視版
【会社名】 【ご担当者名】 様 いつもお世話になっております。 【自社名】の【氏名】です。 請求書【No.INV-2025-0817】について、 長期間未入金の状態が続いており、 心配しております。 ■ 現在の状況 ・請求金額:【¥123,456(税込)】 ・期日:【8月30日】→経過 ・対象:【8月分○○サービス】 何らかのご事情があることと推察いたします。 お支払いが困難な状況でしたら、 解決方法を一緒に検討させてください。 ・分割払いのご相談 ・支払時期の調整 ・その他のご提案 今後とも良好な関係を継続したく、 まずはご状況をお聞かせいただけますと 幸いです。 お忙しい中恐れ入りますが、 ご連絡をお待ちしております。 ―――――――――――――――――― 【署名】 ――――――――――――――――――
20. 完全クロージング版
【会社名】 【ご担当者名】 様 いつもお世話になっております。 【自社名】の【氏名】です。 請求書【No.INV-2025-0817】について、 これまで複数回ご連絡をさせていただき ましたが、ご入金もご連絡もいただけない 状況が続いております。 本メールをもちまして、メールでの ご連絡は最終とさせていただきます。 ■ 最終期限 【10月5日(木)17:00】 期限後は、法的手続きに移行いたします。 ・内容証明郵便による督促 ・支払督促の申立て ・必要に応じたその他の法的措置 これまでのお取引に感謝しており、 このような展開は本意ではございませんが、 やむを得ない判断とご理解ください。 最終期限までに必ずご対応をお願いいたします。 ―――――――――――――――――― 【署名】 ――――――――――――――――――
遅延損害金と法定利率について
支払いが遅延した場合の遅延損害金について、正確な情報を把握しておくことは重要です。催促メールで触れる際は、以下の最新情報に基づいて記載しましょう。
現在の法定利率
2020年4月の民法改正により、法定利率は年3%とされ、3年ごとに見直される変動制が導入されました。現在の状況は以下の通りです。
- 2020年4月1日〜2023年3月31日
法定利率は年3%でした。 - 2023年4月1日〜2026年3月31日(現在)
基準割合の変動が1%未満だったため、法定利率は年3%のまま据え置かれています。 - 2026年4月1日以降
次回の見直しにより変動の可能性があります。
約定利率と法定利率
遅延損害金の利率には「約定利率」と「法定利率」があります。契約で利率を定めている場合は約定利率が優先され、定めていない場合は法定利率(年3%)が適用されます。ただし、利息制限法による上限があるため、無制限に高い利率を設定することはできません。
催促メールでの言及方法
遅延損害金について催促メールで触れる場合は、以下のような表現が適切です。
なお、お支払いが遅延している期間については、 契約に基づく遅延損害金(年○%)が発生いたします。 詳細については、別途ご案内いたします。
効果的な文末表現バンク
催促メールの印象を左右する文末表現を、状況に応じて使い分けましょう。
段階別文末表現
段階・状況 | 文末表現 | 使用場面 |
---|---|---|
一次催促(基本) | 引き続き何卒よろしくお願いいたします。 | 最も汎用性の高い丁寧な表現 |
協力依頼 | ご協力のほど、よろしくお願いいたします。 | 相手の協力を求める場合 |
行き違い配慮 | 行き違いでしたら本メールはご放念ください。 | 既に支払い済みの可能性を考慮 |
受領確認希望 | 受領のみご一報いただけますと幸いです。 | メール確認の返信を求める場合 |
遅延への配慮 | ご迷惑をおかけしますが、ご了承いただけますと幸いです。 | こちらの都合で急かす場合 |
最終案内 | 本メールをもちまして最終のご連絡といたします。 | 三次催促や最終通告時 |
英語表現(併記用)
- We appreciate your cooperation.
(ご協力をお願いいたします) - Kindly let us know your payment date.
(入金予定日をお知らせください) - Thank you for your prompt attention to this matter.
(迅速なご対応をありがとうございます)
よくある失敗例と改善方法
支払い催促メールでよく見られる問題点と、より効果的な改善例をご紹介します。適切な表現により、相手との関係を保ちながら確実な回収が可能になります。
失敗例(NG) | 改善例(OK) | 改善ポイント |
---|---|---|
「お支払い、どうなっていますか?」 | 請求No.・金額・期日・振込先・希望期限を箇条書きで明記 | 具体的で行動しやすい情報提供 |
1日に何度も催促メールを送信 | 段階を踏み、数日〜1週間の間隔で強度を調整 | 計画的で効果的なアプローチ |
前メールの情報を相手に探させる | 請求書を再添付し、要点を再掲して手間を削減 | 相手の負担軽減と迅速な対応促進 |
「取り急ぎ」だけで期限なし | 具体的な期日・時刻と代替提案を明記 | 明確なアクション要求 |
最初から法的措置を匂わす | 最終段階で期限と以降の対応を淡々と案内 | 段階的な圧力強化と関係性配慮 |
よくある質問
Q1. 支払期日当日に催促メールを送っても良いですか?
A. 問題ありません。むしろ適切なタイミングです。期日当日であれば「本日ご入金いただけそうでしょうか」といった自然な表現で確認することで、単純な忘れを防ぐことができます。午前中に送信すれば、相手が同日中に手続きできる可能性が高くなります。
Q2. 2回目の催促メールはいつ送るのが適切ですか?
A. 一次催促から3日〜1週間後が目安です。この段階では文面の強度をやや上げ、具体的な期限と影響を明示します。ただし、取引先との関係性や業界慣習を考慮して調整することも重要です。
Q3. 3回目の催促では何を書くべきですか?
A. 最終期限と連絡がない場合の対応を丁寧に明示します。法的措置の可能性を示唆しつつも、関係修復を重視した表現を心がけます。「出荷停止」「新規取引の一時停止」など、具体的な影響を伝えることで緊急性を訴求できます。
Q4. 催促メールで請求書を再添付するのはマナー違反ですか?
A. 推奨される対応です。相手の手間を減らせます。「念のため請求書を再添付いたします」という一文を添えることで、配慮のある対応として受け取られます。振込先情報も含めて再掲することで、迅速な支払いを促進できます。
Q5. 遅延損害金についてはどう扱うべきですか?
A. 契約で利率を定めている場合は約定利率、定めていない場合は法定利率(現在年3%)が適用されます。催促メールで言及する場合は、契約条項に基づいた正確な情報を記載し、詳細は別途案内する旨を伝えることが適切です。
Q6. メールで反応がない場合はどう対応すべきですか?
A. 電話→書面→最終通告の順で段階を上げます。メール3回送付後も反応がない場合は、電話での確認、内容証明郵便による督促状、支払督促の申立てなど、より強力な手段を検討します。ただし、関係性を考慮した適切な判断が必要です。
送信前の確認チェックリスト
□ 請求No.・金額・期日・振込先を本文に明記している
□ 希望期限(日時)と具体的なアクション要求を入れている
□ 請求書を再添付している(相手の手間軽減)
□ 段階(一次→二次→三次)の強度が適切である
□ 行き違い配慮と礼節を保った表現になっている
□ 件名で内容が即座に判別できる
□ 宛先(To・Cc・Bcc)が適切に設定されている
□ 法的事項(遅延損害金等)は正確な情報に基づいている
□ 相手の立場に配慮した丁寧な文面である
□ 誤字脱字がないか最終確認済み
まとめ
支払い催促メールは、取引先との信頼関係を維持しながら確実な入金回収を実現するための重要なコミュニケーションツールです。段階的なアプローチと相手への配慮を基本とし、一次催促から最終通告まで計画的に対応することが成功の鍵となります。
特に重要なのは、相手が「次に何をすればよいか」を明確にすることです。請求番号・金額・期日・振込先・希望対応期限を一画面で確認できるよう整理し、請求書の再添付により相手の手間を最小限にすることで、迅速な対応を促すことができます。
また、法定利率などの法的事項については、常に最新の正確な情報に基づいて対応することが重要です。現在の法定利率は年3%(2026年3月31日まで)であり、契約で定めがない場合はこの利率が適用されます。
メールでの催促に限界を感じた場合は、電話での確認や書面による督促、さらには法的手続きも視野に入れた段階的な対応を検討しましょう。ただし、どの段階においても相手との関係性を重視し、円満な解決を目指す姿勢を忘れないことが大切です。
支払い催促は「相手を責める」のではなく「一緒に解決する」という姿勢で臨むことが重要です。明確な情報提供と適切な期限設定により、相手が行動しやすい環境を整えることで、関係性を保ちながら確実な回収を実現できます。困難な状況でも、建設的な対話を通じて最適な解決策を見つけていきましょう。