本記事では、実務で即使える件名20選・本文15選とともに、相手に安心感を与え、次のステップ(発送・検収・領収書発行)までスムーズに進める入金確認メールの書き方を解説します。国税庁のインボイス制度や電子帳簿保存法の要件も含め、法的にも適正な対応方法をご紹介します。
参考:【例文付】支払い催促メールの書き方完全ガイド
参考:【例文付】検収依頼メールの書き方完全ガイド
参考:【例文付】英語の検収依頼メールの書き方完全ガイド
入金確認メールの5つの基本原則
効果的な入金確認メールには、共通する5つのポイントがあります。これらを意識することで、相手に安心感を与え、良好な関係を築けます。
- 確認でき次第すぐに送る
入金確認メールは、入金が確認できた段階でなるべく早く送ることが鉄則です。相手は「ちゃんと届いたかな?」と心配しているので、早い連絡ほど喜ばれます。 - 一画面で要点を完結させる
入金日・金額・対象・次の流れ・問い合わせ先を箇条書きにして、スクロールなしで必要な情報をすべて確認できるようにします。 - 感謝の気持ちを伝える
機械的な事務連絡ではなく、迅速な対応への感謝を込めることで、次の取引につながる関係性を築けます。 - 金額と詳細を正確に記載する
入金額が不明だと相手が不安になり、後々トラブルにつながるリスクもあります。請求内容と入金額の両方を明記しましょう。 - 次のアクションを明確にする
発送・検収・領収書発行など、今後の予定も併せて案内することで、相手が安心して次のステップを把握できます。
入金確認メールの件名テンプレート20選
実務でそのまま使える件名を場面別にご紹介します。【】内を実際の情報に置き換えてお使いください。
用途 | 件名テンプレート | 使用場面 |
---|---|---|
基本形 | 【入金確認】【請求No.INV-001】ご入金のお礼 | 法人間取引の標準パターン |
発送予定 | 【入金確認→発送手配】【8/21(月)出荷予定】のご案内 | 物販・配送を伴う取引 |
EC向け | 【ご入金ありがとうございます】【8/20発送予定】商品発送のご案内 | 個人顧客・EC事業 |
定期・月次 | 【8月分入金確認】定期サービス料金のお礼 | 月次定例の支払い |
前払い | 【前払い金確認】【8/22着手予定】プロジェクト開始のご案内 | 前払いを受けて作業開始 |
検収完了 | 【検収完了分入金確認】次工程開始のご連絡 | 検収後の入金・プロジェクト継続 |
部分入金 | 【一部入金確認】残額【¥50,000】のご案内 | 分割払い・一部入金の場合 |
領収書送付 | 【領収書送付】入金確認のお礼(適格請求書対応) | インボイス対応領収書を送付 |
名義確認 | 【入金名義確認】お振込人名のご教示をお願いします | 振込名義が異なる場合 |
金額相違 | 【入金額確認】請求金額との差額につきまして | 入金額が請求額と異なる場合 |
英語併記 | 【Payment Confirmed】入金確認のお礼 / Thank you | 国際取引・英語併記が必要 |
当日確認 | 【本日入金確認】迅速なお支払いのお礼 | 期日当日の入金確認 |
システム自動 | 【自動送信】入金確認のお知らせ【システム発行】 | 自動化システムからの確認 |
複数案件 | 【合算入金確認】【案件A+B】まとめてお支払いのお礼 | 複数請求の合算入金 |
未確認確認 | 【入金確認のお願い】本日時点で未確認(行き違いご容赦) | 期日経過後の確認依頼 |
詐欺対策 | 【重要】振込先変更なし・詐欺ご注意(入金確認) | 振込詐欺対策を含む確認 |
長期取引 | 【いつもありがとうございます】今月分入金確認のご報告 | 関係性重視の長期取引先 |
工事関係 | 【出来高入金確認】次回請求分のご案内 | 工事代金の段階的支払い |
金額明記 | 【¥123,456入金確認】お支払いのお礼(領収書送付) | 金額を件名で明確化 |
完了報告 | 【最終確認】入金状況のご案内(確認のみ) | シンプルな確認完了報告 |
入金確認メールの本文テンプレート15選
実際のメール本文で使える、場面別のテンプレートです。【】内を実際の情報に置き換えてお使いください。
基本パターン
1. 標準形(法人間取引)
【会社名】 【部署名】 【ご担当者名】 様 いつもお世話になっております。 【自社名】の【氏名】です。 このたびは迅速なお支払いをいただき、 誠にありがとうございました。 下記のとおりご入金を確認いたしました。 ■ 入金確認内容 ・入金日:【8月20日(月)】 ・金額:【¥123,456(税込)】 ・対象:【請求No.INV-2024-0820】【8月分○○サービス】 ■ 今後の予定 ・【8月21日(火)】:商品発送予定 ・【8月22日(水)】:到着予定 ・必要に応じて領収書(PDF)をお送りします ご不明な点がございましたら、 お気軽にお問い合わせください。 引き続き何卒よろしくお願いいたします。 ―――――――――――――――――― 【署名】 ――――――――――――――――――
2. 簡潔版(定例取引)
【会社名】 【ご担当者名】 様 いつもお世話になっております。 【自社名】の【氏名】です。 【8月分○○サービス】のお支払いを確認いたしました。 ありがとうございます。 ■ 確認内容 ・入金日:【8/20(月)】 ・金額:【¥98,000(税込)】 来月分の請求書は【8月末】に送付予定です。 引き続きよろしくお願いいたします。 ―――――――――――――――――― 【署名】 ――――――――――――――――――
EC・個人顧客向け
3. EC向け(発送予定含む)
この度はお支払いありがとうございます。 ご入金を確認いたしました。 ■ ご注文内容 ・商品名:【○○○○】 ・金額:【¥12,800(送料込)】 ・入金日:【8/20(月)】 ■ 発送予定 ・発送日:【8月21日(火)】 ・お届け予定:【8月22日(水)午前中】 ・配送業者:【○○運輸】 商品到着まで今しばらくお待ちください。 必要でしたら領収書PDFをメールでお送りします。 ご不明な点がございましたら、 お気軽にお問い合わせください。 ―――――――――――――――――― 【ショップ名】 【お問い合わせ先】 ――――――――――――――――――
特殊ケース対応
4. 領収書送付(インボイス対応)
【会社名】 【ご担当者名】 様 いつもお世話になっております。 【自社名】の【氏名】です。 ご入金の確認に伴い、適格請求書の記載要件を満たした 領収書(PDF)を添付いたします。 ■ 入金確認 ・入金日:【8月20日(月)】 ・金額:【¥123,456(税込)】 ・対象:【請求No.INV-2024-0820】 ■ 添付書類 ・【領収書_INV-2024-0820.pdf】 ・適格請求書発行事業者登録番号:【T1234567890123】 宛名・但し書き等に修正がございましたら お知らせください。 引き続き何卒よろしくお願いいたします。 ―――――――――――――――――― 【署名】 ――――――――――――――――――
5. 名義相違の確認
【会社名】 【ご担当者名】 様 いつもお世話になっております。 【自社名】の【氏名】です。 入金確認のため一点だけ確認させてください。 本日【田中太郎】名義で【¥123,456】の ご入金を確認しておりますが、 御社との関連をお教えください。 ■ 確認事項 ・振込名義:【田中太郎】 ・入金額:【¥123,456】 ・入金日:【8月20日(月)】 お手数をおかけしますが、 お振込名義をご教示いただけますでしょうか。 行き違いでしたらご容赦ください。 ―――――――――――――――――― 【署名】 ――――――――――――――――――
6. 金額相違(相殺・源泉等)
【会社名】 【ご担当者名】 様 いつもお世話になっております。 【自社名】の【氏名】です。 ご入金ありがとうございます。 金額について確認させてください。 ■ 請求額と入金額 ・請求金額:【¥123,456】 ・入金金額:【¥113,256】 ・差額:【¥10,200】 相殺や源泉徴収等のご事情がございましたら、 内容をご教示ください。 差額の処理についてはご相談のうえ 進めさせていただきます。 何卒よろしくお願いいたします。 ―――――――――――――――――― 【署名】 ――――――――――――――――――
7. 部分入金(残額案内)
【会社名】 【ご担当者名】 様 いつもお世話になっております。 【自社名】の【氏名】です。 【¥50,000】のご入金を確認いたしました。 ありがとうございます。 ■ 入金状況 ・今回入金:【¥50,000】 ・請求総額:【¥123,456】 ・残額:【¥73,456】 残額につきまして、入金予定日を お教えいただけますでしょうか。 分割でのお支払いが困難な場合は、 お支払い方法のご相談も承ります。 何卒よろしくお願いいたします。 ―――――――――――――――――― 【署名】 ――――――――――――――――――
8. 前払い・着手予定
【会社名】 【ご担当者名】 様 いつもお世話になっております。 【自社名】の【氏名】です。 前払い金のご入金を確認いたしました。 迅速なお手続きをありがとうございます。 ■ 入金確認 ・入金日:【8月20日(月)】 ・金額:【¥500,000(税込)】 ・対象:【プロジェクト○○ 着手金】 ■ 今後のスケジュール ・【8月22日(火)】:プロジェクト着手 ・【8月末】:第1回進捗報告 ・進捗は随時ご連絡いたします ご質問等ございましたら、 お気軽にお声がけください。 何卒よろしくお願いいたします。 ―――――――――――――――――― 【署名】 ――――――――――――――――――
9. 検収完了案件
【会社名】 【ご担当者名】 様 いつもお世話になっております。 【自社名】の【氏名】です。 【8月15日】にご検収いただきました 【プロジェクト○○ フェーズ1】について、 ご入金を確認いたしました。 ■ 検収完了分の入金確認 ・検収完了日:【8月15日】 ・入金日:【8月20日】 ・金額:【¥456,789(税込)】 ■ 次のステップ ・フェーズ2開始:【8月25日予定】 ・詳細スケジュールは別途ご連絡します 引き続き何卒よろしくお願いいたします。 ―――――――――――――――――― 【署名】 ――――――――――――――――――
確認・催促パターン
10. 入金未確認(やんわり確認)
【会社名】 【ご担当者名】 様 いつもお世話になっております。 【自社名】の【氏名】です。 【請求書No.INV-2024-0815】(支払期日:【8月20日】) につきまして、本日時点で入金の確認が 取れておりません。 銀行の処理タイミングにより反映前の 可能性もございます。 行き違いでお支払い済みでしたら 本メールはご容赦ください。 入金予定日を一言お知らせいただけますと 幸いです。 引き続き何卒よろしくお願いいたします。 ―――――――――――――――――― 【署名】 ――――――――――――――――――
11. 英語併記版
Subject: Payment Confirmed — Thank you / 入金確認のお礼 Dear 【Name】, Thank you for your payment. We have confirmed the receipt on August 20 for ¥123,456. このたびはお支払いありがとうございます。 【8月20日】付で【¥123,456】の入金を確認いたしました。 We will proceed with shipment on August 21. 次の工程【8月21日出荷】へ進めます。 Please let us know if you need a receipt PDF. 領収書PDFが必要でしたらお知らせください。 Best regards / 何卒よろしくお願いいたします, 【Name】 ―――――――――――――――――― 【Signature / 署名】 ――――――――――――――――――
12. 口座詐欺対策版
【会社名】 【ご担当者名】 様 いつもお世話になっております。 【自社名】の【氏名】です。 ご入金を確認いたしました。 ありがとうございます。 ■ 入金確認 ・入金日:【8月20日(月)】 ・金額:【¥123,456(税込)】 なお、当社の振込口座に変更はございません。 口座変更のご案内は、必ず電話とメールの 複数経路でご連絡いたします。 不審な口座変更案内がございましたら すぐにお知らせください。 引き続き何卒よろしくお願いいたします。 ―――――――――――――――――― 【署名】 【緊急連絡先:03-1234-5678】 ――――――――――――――――――
13. システム自動送信版
※このメールは自動送信されています 【会社名】 【ご担当者名】 様 ご入金を確認いたしました。 ありがとうございます。 ■ 入金確認 ・入金日:【8月20日(月)】 ・金額:【¥123,456(税込)】 ・対象:【請求No.INV-2024-0820】 ■ お問い合わせ先 内容にご不明な点がございましたら、 下記担当者までご連絡ください。 ・担当者:【経理部 田中】 ・TEL:【03-1234-5678】 ・Mail:【keiri@company.co.jp】 何卒よろしくお願いいたします。 ―――――――――――――――――― 【自動送信システム】 ――――――――――――――――――
14. 月次定例(差分なし)
【会社名】 【ご担当者名】 様 いつもお世話になっております。 【自社名】の【氏名】です。 【8月分】のご入金を確認いたしました。 ありがとうございます。 前月からの変更点や未処理案件は ございません。 領収書が不要の場合はこのまま ご放念ください。 来月もよろしくお願いいたします。 ―――――――――――――――――― 【署名】 ――――――――――――――――――
15. 最終確認・シンプル版
【会社名】 【ご担当者名】 様 いつもお世話になっております。 【自社名】の【氏名】です。 本日付でご入金を確認いたしました。 ありがとうございました。 以後、入金確認に関するご連絡は 必要な場面のみとさせていただきます。 引き続き何卒よろしくお願いいたします。 ―――――――――――――――――― 【署名】 ――――――――――――――――――
入金確認メールの送信タイミングと法的注意点
銀行処理時間を考慮したタイミング
銀行振込の反映タイミングには特徴があります:
- 即時反映:平日日中(9:00-15:00)は多くの銀行間で即時反映
- 翌営業日扱い:平日15:00以降、土日祝日の振込は翌営業日に反映
- 休日明けの遅れ:連休明けや月末は処理が集中し、反映が遅れる場合がある
そのため、期日当日に確認できない場合は「行き違いの可能性」を考慮した文面で対応することが大切です。
インボイス制度・電子帳簿保存法への対応
国税庁によると、2023年10月からのインボイス制度により、適格請求書の記載要件を満たした領収書が必要です。また、電子帳簿保存法では、電子データでやり取りした書類は電子のまま保存することが義務付けられています。
よくある失敗例と改善方法
失敗例(NG) | 改善例(OK) | 改善ポイント |
---|---|---|
「入金ありました」だけで詳細なし | 入金日・金額・対象・次の流れを箇条書きで明記 | 具体的で確認しやすい情報提供 |
機械的で感情のない定型文のみ | 迅速な対応への感謝と今後の関係継続への期待を表現 | 人間味のある温かい文章 |
入金確認だけで次のアクションが不明 | 発送・検収・領収書発行など次のステップを明示 | 相手の安心感と予測可能性の向上 |
処理時間を考慮せず即座に催促 | 銀行処理タイミングによる遅れの可能性を考慮 | 相手への配慮と現実的な対応 |
問い合わせ先が不明確 | 担当者名・連絡先・対応時間を明記 | アフターフォローの充実 |
よくある質問
Q1. 入金確認メールはいつ送るのが最適ですか?
A. 入金を確認でき次第、すぐに送ることが基本です。ただし、銀行振込は平日15:00以降や土日祝日は翌営業日扱いになることがあるため、期日当日に確認できない場合は「処理タイミングによる遅れの可能性」を考慮した文面で対応しましょう。
Q2. 入金額が請求額と異なる場合はどう対応すべきですか?
A. まず事実を確認し、相手に理由を尋ねることが大切です。源泉徴収、相殺、振込手数料の差し引きなど正当な理由がある場合も多いため、まずは相手の事情を確認してから対応方法を協議しましょう。
Q3. 領収書はメールに添付して送ってよいですか?
A. 電子データでの送付は問題ありません。ただし、インボイス制度に対応するため、適格請求書の記載要件を満たした領収書である必要があります。また、電子帳簿保存法により、電子データは電子のまま保存することが義務付けられています。
Q4. 振込名義が会社名と異なる場合はどう確認すべきですか?
A. 丁寧に確認の理由を説明し、関係性を尋ねることが適切です。「個人名での振込みですが、御社との関連をお教えください」といった表現で、相手の事情を理解しようとする姿勢を示しましょう。
Q5. 自動送信システムを使用する場合の注意点は?
A. システム送信であることを明記し、問い合わせ先を必ず記載してください。担当者の連絡先を記載することで、質問や問題があった際の対応ルートを確保しましょう。
Q6. 入金確認メールに返信は必要ですか?
A. 基本的には返信不要ですが、確認事項がある場合は返信をお願いしましょう。「受領のみご一報いただけますと幸いです」といった表現で、簡単な確認返信を求めることで、確実な情報共有ができます。
入金確認メールの送信前のチェックリスト
□ 入金日・金額・対象案件を正確に記載している
□ 感謝の気持ちが伝わる表現を含めている
□ 次のアクション(発送・検収等)を明示している
□ 問い合わせ先・担当者を明記している
□ 件名で内容が即座に判別できる
□ 宛先(To・Cc・Bcc)が適切に設定されている
□ 領収書送付時はインボイス要件を満たしている
□ 金額や日付に誤りがないか確認済み
□ 相手の立場に配慮した丁寧な文面である
□ 誤字脱字がないか最終確認済み
まとめ
入金確認メールは、単なる事務連絡ではなく、取引先との信頼関係を深める重要なコミュニケーションです。迅速な対応と丁寧な感謝の表現により、相手の不安を解消し、次の取引へとつなげることができます。
今日から実践できるポイントは次の3つです:
- スピード重視:入金確認でき次第、その日のうちに送信
- 情報を整理:入金日・金額・対象・次のアクションを箇条書きで明記
- 感謝を込める:機械的ではなく、温かみのある表現を心がける
また、インボイス制度や電子帳簿保存法といった法的要件も適切に対応することで、コンプライアンスを保ちながら効率的な業務運営が可能になります。
入金確認メールの目的は「相手の不安を解消すること」です。迅速で正確な情報提供と温かい感謝の表現を組み合わせることで、機械的な事務連絡ではなく、人と人とのつながりを大切にした丁寧なコミュニケーションが実現できます。これが長期的な信頼関係構築の基盤となります。