【例文付】お誘いを上手に断るメールの書き方完全ガイド

ビジネス連絡
ビジネスシーンでは、取引先や上司からのお誘いを断らなければならない場面が必ずあります。しかし、断り方を間違えると相手に悪い印象を与え、今後の関係に悪影響を及ぼす可能性があります。

お誘いを断るメールでは、感謝の気持ちを伝えつつ、明確に断りの意思を示し、今後の関係を良好に保つことが重要です。本記事では、シーン別のテンプレート15選とともに、相手に好印象を与える断り方のコツを詳しく解説します。

適切な断り方をマスターすることで、相手との信頼関係を維持しながら、自分の都合も守ることができるようになります。

お誘いを断るメールの基本構造

効果的なお断りメールには、守るべき基本構造があります。この構造に沿って書くことで、相手に失礼のない丁寧な断りができます。

  1. 感謝の気持ちを伝える
    まず最初に、お誘いいただいたことに対する感謝を表現します。「このたびはお誘いいただき、ありがとうございます」など、相手の好意に対して敬意を示すことが大切です。
  2. 明確に断りの意思を示す
    曖昧な表現は避け、断る意思をはっきりと伝えます。「申し訳ございませんが、今回は見送らせていただきます」など、クッション言葉を使いながら明確に意思表示をします。
  3. 理由を簡潔に説明する
    断る理由を1〜2文で簡潔に述べます。詳しすぎる説明は不要ですが、相手が納得できる程度の理由は必要です。「先約がございまして」「社内の都合により」などが一般的です。
  4. 代替案やフォローを提示する
    可能であれば、別の機会での参加意欲を示したり、代替案を提案したりします。これにより、今後の関係継続への意欲を示すことができます。
  5. 丁寧に締めくくる
    最後は感謝の言葉や今後の関係継続を願う言葉で締めくくります。「今後ともよろしくお願いいたします」などが適切です。

この基本構造は、文化庁の「敬語の指針」で示されている相手への敬意と配慮を示す日本語コミュニケーションの基本原則に基づいています。同指針では、敬語の使用により「相手を大切に思う気持ちや敬意を表し、人間関係を円滑に保つ」ことが重要とされており、これはお断りメールにおいても同様です。

お誘いのお断りメールのテンプレート15選

実際のビジネスシーンで起こりうる様々な状況に対応したテンプレートをご紹介します。【】内をご自身の状況に合わせて変更してお使いください。

取引先・社外向けテンプレート

1. 基本的な会食・懇親会の断り

使用場面:取引先からの食事やイベントへのお誘いを丁寧に断りたい場合
件名:【日付】懇親会のお誘いについて

【会社名】
【部署名】【役職】【お名前】様

いつもお世話になっております。
【自社名】【部署名】の【自分の名前】です。

このたびは【懇親会・会食】にお誘いいただき、
誠にありがとうございます。

ぜひ参加させていただきたいのですが、
申し訳ございませんが、先約がございまして、
今回は見送らせていただきます。

せっかくのお誘いにお応えできず恐縮です。
また別の機会がございましたら、
ぜひお声がけいただければ幸いです。

今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

【署名】

2. セミナー・イベントの断り

使用場面:業界セミナーや展示会への参加を断る場合
件名:【イベント名】参加のご案内について

【会社名】
【ご担当者名】様

平素より大変お世話になっております。
【自社名】の【自分の名前】です。

このたびは【セミナー・イベント名】にご案内いただき、
ありがとうございます。

大変興味深い内容で参加を検討いたしましたが、
あいにく当日は社内の重要な会議と重なっており、
参加が難しい状況です。

もしセミナー資料の共有や、次回開催の際は
ぜひご案内いただければと存じます。

貴重な機会をご紹介いただき、
ありがとうございました。

【署名】

3. 当日の急なキャンセル

使用場面:急な事情で当日キャンセルする必要がある場合
件名:【緊急】本日の【会食・会議】について

【会社名】
【お名前】様

いつもお世話になっております。
【自社名】の【自分の名前】です。

本日【時間】からの【会食・打ち合わせ】の件で
緊急にご連絡いたします。

申し訳ございませんが、社内で急な対応が必要な
案件が発生し、本日の参加が困難になりました。

直前のご連絡となり、ご迷惑をおかけして
誠に申し訳ございません。

後日、改めて日程を調整させていただければと
存じます。お時間をいただけますでしょうか。

何卒ご理解のほど、よろしくお願いいたします。

【署名】

4. 費用が発生する場合の断り

使用場面:参加費が必要なイベントを断る場合
件名:【イベント名】参加について

【主催者名】様

ご案内をいただき、ありがとうございます。

【イベント名】について社内で検討いたしましたが、
現在の予算の都合上、今回の参加は
見送らせていただくことになりました。

魅力的な内容と拝見しており、参加できず残念です。

今後、予算が確保できる際には
ぜひ参加を検討させていただきたく存じます。

引き続きよろしくお願いいたします。

【署名】

5. 接待ゴルフの断り

使用場面:ゴルフコンペや接待ゴルフを断る場合
件名:ゴルフコンペのお誘いについて

【会社名】
【お名前】様

いつもお世話になっております。

このたびはゴルフコンペにお誘いいただき、
ありがとうございます。

申し訳ございませんが、持病の腰痛のため
ゴルフを控えるよう医師から指導されており、
今回は参加を見合わせていただきます。

せっかくのお誘いをお断りすることになり、
心苦しく思っております。

別の機会でお食事でもご一緒していただければ
大変嬉しく存じます。

今後ともよろしくお願いいたします。

【署名】

社内向けテンプレート

6. 上司からの飲み会の断り

使用場面:上司や先輩からの飲み会のお誘いを断る場合
件名:【日付】飲み会のお誘いについて

【役職】【お名前】様

お疲れさまです。
【自分の名前】です。

【日付】の飲み会にお誘いいただき、
ありがとうございます。

皆様との親睦を深める貴重な機会と存じますが、
あいにく家庭の事情により参加が難しく、
今回は失礼させていただきます。

次回機会がございましたら、
ぜひ参加させていただきたく存じます。

よろしくお願いいたします。

【自分の名前】

7. プロジェクト打ち上げの断り

使用場面:チームの打ち上げや慰労会を断る場合
件名:打ち上げ会について

チームの皆様

お疲れさまです。【自分の名前】です。

プロジェクト完了の打ち上げ会の件で
ご連絡いたします。

プロジェクトの成功を皆様と祝いたいのですが、
当日は以前から予定している用事があり、
参加できません。

皆様の頑張りを間近で見させていただき、
とても勉強になりました。
心からお疲れさまでした。

楽しい会になることをお祈りしております。

【自分の名前】

8. 歓送迎会の断り

使用場面:歓送迎会や会社のイベントを断る場合
件名:【新入社員】歓迎会について

【幹事様】

お疲れさまです。

【日付】の歓迎会の件でご連絡いたします。

新しいメンバーをお迎えする大切な機会ですが、
体調不良のため参加を控えさせていただきます。

後日、個別にご挨拶の機会をいただければと
思います。

ご理解のほど、よろしくお願いいたします。

【自分の名前】

特殊なケース

9. 結婚式・披露宴の断り

使用場面:同僚や取引先の結婚式を断る場合
件名:結婚式のご招待について

【お名前】様

この度はご結婚おめでとうございます。
心よりお祝い申し上げます。

披露宴にお招きいただき、ありがとうございます。

ぜひお祝いに駆けつけたいのですが、
あいにく当日は海外出張の予定があり、
参加が叶いません。

お二人の門出をお祝いできず、残念でなりません。

心ばかりのお祝いをお送りさせていただきます。
お二人の末永いお幸せをお祈りしております。

【署名】

10. 懇親旅行の断り

使用場面:社員旅行や懇親旅行を断る場合
件名:【社員旅行】参加について

【総務部】ご担当者様

お疲れさまです。

【日程】の社員旅行の件でご連絡いたします。

皆様との親睦を深める良い機会と存じますが、
家族の介護のため泊まりでの参加が困難で、
今回は見送らせていただきます。

ご理解いただければ幸いです。

皆様が楽しい時間を過ごされることを
心よりお祈りしております。

【自分の名前】

11. 講演・登壇依頼の断り

使用場面:講演や勉強会での発表を断る場合
件名:講演のご依頼について

【主催者様】

このたびは貴重な講演の機会をご提供いただき、
ありがとうございます。

光栄なお話をいただきましたが、
現在の業務の都合上、十分な準備時間を
確保することが難しく、今回は辞退させて
いただきたく存じます。

せっかくのご依頼にお応えできず、
申し訳ございません。

今後、スケジュールに余裕ができましたら、
ぜひお声がけいただければ幸いです。

【署名】

12. オンラインイベントの断り

使用場面:ウェビナーやオンライン懇親会を断る場合
件名:オンラインセミナーのご案内について

【ご担当者様】

ご案内をいただき、ありがとうございます。

【セミナー名】について検討いたしましたが、
当日は社内の重要な会議と重なっており、
参加が困難です。

録画配信やアーカイブ視聴の予定が
ございましたら、ご案内いただければ幸いです。

引き続きよろしくお願いいたします。

【署名】

13. 一度承諾後のキャンセル

使用場面:一度参加を承諾したが、後からキャンセルする場合
件名:【日付】【イベント名】参加について(変更のお願い)

【主催者様】

いつもお世話になっております。

先日参加をお約束いたしました【イベント名】の件で
ご連絡いたします。

一度お返事をいたしましたが、急な出張が決まり、
誠に申し訳ございませんが参加を取り消させて
いただきたく存じます。

直前の変更となり、ご迷惑をおかけして
大変申し訳ございません。

今後このようなことがないよう、
気をつけてまいります。

何卒ご理解のほど、よろしくお願いいたします。

【署名】

14. 健康上の理由での断り

使用場面:体調や健康上の理由で参加を断る場合
件名:【イベント名】参加について

【お名前】様

お誘いいただき、ありがとうございます。

ぜひ参加させていただきたいのですが、
現在体調を崩しており、医師からしばらく
外出を控えるよう指導されております。

そのため、今回は参加を見合わせて
いただきたく存じます。

体調が回復次第、また機会がございましたら
ぜひお声がけください。

ご理解のほど、よろしくお願いいたします。

【署名】

15. 複数回お誘いを受けた場合

使用場面:何度もお誘いを受けているが断り続ける場合
件名:お誘いについて

【お名前】様

いつも温かいお誘いをいただき、
ありがとうございます。

毎回お声がけいただいているにも関わらず、
参加できずに申し訳ございません。

現在、家庭の事情により平日夜や休日の
外出が難しい状況が続いております。

この状況が落ち着きましたら、
ぜひ参加させていただきたく存じます。

いつもお気遣いいただき、心より感謝しております。

【署名】

相手に好印象を与えるお誘いのお断りメール件名の書き方

お断りメールでは、件名で内容が分かるようにすることが重要です。相手が一目で断りのメールだと理解でき、かつ失礼にならない件名を心がけましょう。

シーン 件名例 ポイント
基本的な断り 【日付】懇親会のお誘いについて 日付を入れて具体的に
セミナー・イベント 【イベント名】参加のご案内について イベント名を明記
当日キャンセル 【緊急】本日の会食について 【緊急】で急ぎを表現
一度承諾後の変更 【変更のお願い】懇親会参加について 変更であることを明記
お礼も含める場合 ご招待のお礼と欠席のご連絡 感謝と断りを両方表現

お誘いのお断りメールでよく使うフレーズ集

状況に応じて使い分けられるフレーズを覚えておくと、スムーズにメールを作成できます。

感謝を表すフレーズ

  • このたびはお誘いいただき、誠にありがとうございます
  • 貴重な機会をご案内いただき、ありがとうございます
  • ご丁寧にお声がけいただき、恐縮です
  • 温かいお誘いをいただき、心より感謝いたします

クッション言葉

  • 申し訳ございませんが
  • 恐れ入りますが
  • あいにく
  • 残念ながら
  • 誠に恐縮ですが

明確な断りの表現

  • 今回は見送らせていただきます
  • 参加を控えさせていただきます
  • 辞退させていただきたく存じます
  • お伺いすることができません
  • 参加が困難です

理由を述べるフレーズ

  • 先約がございまして
  • 社内の都合により
  • 家庭の事情で
  • 体調の関係で
  • スケジュールの都合上

今後の関係性を保つフレーズ

  • また別の機会がございましたら、ぜひお声がけください
  • 次回はぜひ参加させていただきたく存じます
  • 今後ともどうぞよろしくお願いいたします
  • 引き続きよろしくお願いいたします

よくある失敗例と改善方法

お断りメールでよく見られる問題点と、その改善方法をご紹介します。

失敗例(NG) 改善例(OK) なぜNGなのか
「参加できません」(短すぎる) 「申し訳ございませんが、先約があり参加が困難です」 感謝や配慮が感じられない
「検討します」(曖昧) 「今回は見送らせていただきます」 断りの意思が不明確
理由を詳しく説明しすぎる 「社内の都合により」で簡潔に 相手の時間を奪い、言い訳に聞こえる
「断りします」(直接的すぎる) 「辞退させていただきます」 冷たい印象を与える
お礼や配慮の言葉なし 感謝とフォローの言葉を必ず入れる 失礼な印象を与える

よくある質問

Q1. 断りの理由は詳しく説明する必要がありますか?

A. 詳しすぎる理由説明は不要です。「先約がございまして」「社内の都合により」など、相手が納得できる程度の簡潔な理由で十分です。長すぎる説明は言い訳と受け取られる可能性があります。

Q2. 一度承諾したお誘いをキャンセルする場合の注意点は?

A. できるだけ早めに連絡し、誠実にお詫びすることが重要です。特に費用が発生している場合は、その旨についても触れ、必要に応じて費用負担の申し出をするなど、誠意を示しましょう。

Q3. 何度もお誘いを受けている場合の断り方は?

A. 感謝の気持ちを強く表現し、継続的に参加が困難な理由を伝えましょう。「いつもお声がけいただき、ありがとうございます」から始め、状況が変われば参加したい意思があることを伝えることで、関係性を保てます。

Q4. 上司からのお誘いを断る時の注意点は?

A. より丁寧な敬語を使い、次回への参加意欲を示すことが大切です。社内の人間関係に配慮し、「次回はぜひ参加させていただきたく存じます」など、前向きな姿勢を見せることで、印象を良く保てます。

Q5. 当日急にキャンセルする場合はメールだけで良いですか?

A. 可能であれば電話で先に連絡し、後からメールで詳細を送るのが理想です。当日キャンセルは相手に大きな迷惑をかけるため、メールだけでなく、より直接的な方法で誠意を示すことが重要です。

Q6. 返信はいつまでにするべきですか?

A. お誘いを受けてから24時間以内、遅くとも48時間以内には返信しましょう。早めの返信は相手への配慮を示し、相手も他の準備ができるため、迅速な対応が望ましいです。

まとめ

お誘いを上手に断ることは、ビジネスにおける重要なコミュニケーションスキルです。感謝→明確な断り→簡潔な理由→フォロー→丁寧な締めという基本構造を守ることで、相手との関係を損なうことなく、自分の都合を伝えることができます。

成功のポイントは次の3つです:

  1. 相手への敬意を忘れない:お誘いいただいたことに対する感謝の気持ちを必ず表現する
  2. 明確で誠実な意思表示:曖昧な表現は避け、クッション言葉を使いながらはっきりと断る
  3. 今後の関係性への配慮:代替案の提示や次回への参加意欲を示すことで、継続的な関係を保つ

これらのテンプレートとコツを活用して、相手との良好な関係を維持しながら、適切にお誘いを断ることができるようになりましょう。適切な断り方は、むしろ相手からの信頼を高める結果にもつながります。

コミュニケーションのマナー
お断りメールは「相手を拒絶すること」ではなく「今回のタイミングが合わないことを伝えること」です。感謝と敬意を持って対応することで、今後も良好なビジネス関係を築くことができます。

参考文献・情報源

本記事の内容は、以下の権威ある情報源および専門的な資料に基づいて作成されています。

  • 文化庁「敬語の指針」(平成19年2月文化審議会答申)
    日本語における敬語使用の基本原則と、相手への敬意を示すコミュニケーションの指針を提供する政府の公式ガイドライン。
  • ビジネスメールコミュニケーション専門機関の研究
    ビジネスメール協会やメール配信システム事業者による実務的なメールマナー研究と業界標準の確立。